Evernote の育て方のコツは「いかにして Evernote にいれて忘れられるか」という点にあります。でもノートが 1000 個近くなってくると、忘れるどころか、何が入っているのか混乱してくるかもしれません。
そこである時点で、Evernote のノートを整理して利用しやすくしたくなる瞬間がでてきます。
今日はそんな Evernote のリファクタリングについて、自分が四苦八苦しているところを中心にご紹介したいと思います。
ノートブックの整理
ノートブックをつくったときにはどんどん情報を入れるつもりだったのが、その後ほとんど放置されているノートブックがないでしょうか?
私の場合、右の画像にあるような「Memory(思い出)」と「作業記録」というノートブックがほとんどノートがないことがわかります。これは「思い出」に関してはその後タグで対応するようになったせいと、作業記録は「仕事」「ブログ」などといった個別のテーマのノートブックに収容されていて「作業記録」だけでノートブックを作っても利用することが少なかったことに起因しているようです。
こうしたノートブックに入っているノートは別のノートにマージするか、タグをつけていったん「受信箱」(デフォルトのノートブック)に戻しておくとよいでしょう。
タグの整理
タグの整理には2種類あります。一つめは、先ほどのノートブックと同じく、作ったのはよいですがほとんど利用していないタグを、実際に利用しているものにマージする作業です。
これを行うにはタグを「ノート数の順序」に並び替えて、下にあるものから消してゆくことになります。ノート数がゼロのものは安心して消せますが、ノート数が少ないものは多いものと比較しつつ作業を進めていきます。
二つめに、タグの用語がぶれているものを統合するというステップがあります。たとえば私は iStockPhoto で手に入れたストックフォトを途中まで「ストックフォト」というタグで整理していましたが、その後「istockphoto」というタグを作るようになりました。タグをいれるとき「is-」と入力すれば自動補完して便利だったからです。
こうした意味の「ブレ」が存在するタグはいったんマージしたいタグの下に階層タグとして整理して、あとで統合していきます。安易にマージすると、あとでやり直しがきかないため、こうした二段階で行います。
「受信箱」の整理
Evernote を使っているとどうしても「デフォルトのノートブック」に入っているノートが最も多くなります。
GTD を実践している人などはこれをゼロにもっていきたい衝動にかられるかもしれませんが、いつでも検索できる Evernote なら、かならずしもそうした必要はありません。
ただ、あきらかに他のノートブックに入っていなくてはいけないノートや、付けるべきタグがついていないノートは迷子になってしまいますので、それだけを探し出して整理しておくようにしましょう。
たとえば私の場合、「受信箱」の次にもっともノート数が多いのは「ブログ(資料)」というノートブックなので、クリップしたノートのうち、ブログに関連しているものだけをつぎつぎにこのノートにいれておきます。これだけでもかなりデフォルトのノートブックがスリム化して見通しが付きやすくなります。
保存された検索の整理
Evernote の便利さをささえているメカニズムはその検索性の高さです。ノートブックとタグに目を通したあとなら、特にどのようなノートが多いのか勘所がつかめているでしょうから、「保存された検索」にも手を加えておきます。
もっともたくさん存在するタグやノートが多数存在するノートブックについては、1クリックで検索をできるように「保存された検索」を作っておきましょう。
また、iPhone から投稿したノートの多くには「無題」というタイトルが付けられていることがありますので、「無題」で検索を行ってタイトルを編集しておくことも忘れないようにしましょう。
最後に
ほかにもできることはさまざまにありますが、実は私などはこの程度の適当さでやめています。それは、Evernote 自体がそれほど整理しなくても情報を引き出せるように作られているからです。
「完全に情報を掌握しなければ」という決意とともに Evernote の整理を始めると終りのない作業になってしまいがちです。
しかし実際には、検索でだいたいのことが見つかりますので、特に重要な 20% 程度のノートが適切なノートブックに入っていて、タグが付けられていることを確認すれば、そこから先はユーザビリティーはあまり変化しません。
Evernote の整理をするときには、積み上げた情報のうえに降り積もったホコリをちょっとはらうというくらいの感覚で手短にすませるようにしましょう。
今週の本
私は Evernote への偏愛からもわかるように「記憶すること」に対して執念にも似た思い入れがあります。
iPhone と Evernote で記録できることはなるべくそこでとらえますが、それ以外のアナログなスケッチだとか、書付けはモレスキン手帳のなかにとらえています。
このたび、そんなモレスキン手帳について本を書きあげまして、9月10日発売される運びになりました! タイトルは『モレスキン「伝説のノート」活用術』(ダイヤモンド社)です。
共著者はブログ・モレスキナリーの著者で、古今東西のモレスキンのユースケースとテクニックに通じている中牟田洋子さんです。
アナログな手帳についての本ですが、Evernote との連携の仕方についても触れています。Evernote ユーザーの方には興味深い内容にしあげることができたと思いますので、よろしければ!
今日は娘の1歳の誕生日で、それを記念して Flickr、Dropbox、Evernote のなかから写真や動画、そして手形などのドキュメントをまとめて見ていました。
娘の人生はこうしてクラウドのなかで記録されてゆくのだなあと感慨ひとしおです。でもバックアップもちゃんとしておかないと!
▼堀 E. 正岳:
Evernoteエバンジェリスト。「Evernoteハンドブック」の執筆や「Evernote日本語掲示板」のモデレータを通して、愛してやまないEvernoteの育て方を伝道中。Lifehacking.jp主宰。