仕事をしていると、
「思った以上に時間がかかった」
あるいは、
「思った以上に時間がかかっている(まだ終わりそうもない)」
という状況に陥ることがあります。
また、
「気づいたらもうこんな時間だ」
という驚きを覚えることもあります。
後者の「もうこんな時間」は、「思った以上に時間がかかっている」に似ていますが、ここでは「仕事に没頭していたため、時間がたつのを忘れていた」というニュアンスです。
前者の「まだ終わらない」に、「思うように進まない作業を前に、頻繁に時間を気にして焦っている」というイメージがあるのに比べると、後者の「もうこんな時間」には余裕が感じられます。つまり、仕事に追われるのではなく、追いかけるような感覚です。
できることなら、時間に追われるよりも時間を追いかけたいものです。そこで、この2つの時間感覚について少し考えてみます。
まず、「思った以上に時間がかかっている」という場合は、思いとは裏腹の結果を突きつけられている状況、と言えます。言い換えれば、無意識に目の前から排除していたこと、すなわち
「これぐらい時間をかければ終わるだろう、まさか終わらないことはあるまい」
というほのかな期待が覆され、それが露わになっているわけです。
一方、「もうこんな時間」には、それだけの時間が必要なことをある程度想定していたものの、実際に体感してみると「もうこんな時間」と感じられる場合です。
まぁ、微妙な違いではありますが、要するに、時間に追われる仕事というのは、あまりポジティブには向き合えない、言わば「やっつけ仕事」になりがちで、たとえ完了させることができたとしても、
「ふぅ〜、やっと終わった・・・」
という疲労感が先に立って、達成感が薄れてしまいがちですが、時間を追いかける仕事は、自分が想定した時間内に次々と消化できている、という手応えが感じられ、当然充実感や達成感も得られやすくなるでしょう。
そのためには、仕事を始める前に、その日に予定しているすべての仕事について、どれぐらいの時間がかかるかを見積もっておくことです。こうすることで、現実にかかった時間と比べることができるようになり、自分の時間感覚の感度を確かめることができます。
この感度が高ければ、正確な見積もりをもとにした現実的なスケジュールを作ることができ、このスケジュールに沿って仕事をすることは、手応えや達成感が保証されているようなものですから、自然とやる気も出てくるはずです。
時間を見積もらずにタスクリストだけを眺めて、
「本当にこんなに終わるのかな?」
という疑問を抱きながら取りかかると、常に時間が気になりますから、それだけで気疲れしてしまい、本来仕事に振り向けるべきエネルギーをムダに使ってしまうことにもなります。つまり、自ら時間に追いかけられる状況に身を置くことになるわけです。
こうなると毎日がギャンブルで、射幸心は煽られるかもしれませんが、心穏やかに仕事をするのは難しくなるでしょう。