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【CHANGES】第2話 私は発達障害になった



佐々木正悟 前回の続きです。

「あんこんすきおうすねす…」
「パードン?」

カンザスシティのスターバックスコーヒーで、このやりとりを3回して、私は撤退しました。
あきらめがいいのが私の特徴です。

あなたのやり方は、まるで自閉症の子供みたい

目の前に座っている教養豊かな貴婦人は、私と同級生です。心理学専攻です。

歳は、一般学生よりも10は年上の私よりさらに10は上ですが、アメリカではふつうにあることでした。

私たちはスタバで心理学の与太話で盛り上がっていたのですが、何かのはずみで私が「無意識」と言ったのが通じず、二度言っても通じず、三度言っても通じなかったので、すると私ではなくアメリカ人の方が腹を立てるといういつものパターンを思いだし、急いで

  • unconsciousness

と書いたところ、

「なぜあなたは日本人なのに、それをすぐ正確に綴ることができる?(ちょっとした会話もままならないくせに)」

と、ひどく驚かれたので、

「自分は、学校で「英単語テスト」というものを大量にやらされ、ことごとく丸暗記するのに大変な努力をして来たのだ。けれど、それをローマ字読みしているから、まともに発音ができないのだ」

と答えたわけです。

しかしいつも通り、こんな複雑な内容は、3割くらいしか相手には伝わりません。

「ローマンワッ?」(ローマ文字がどうした?)

また面倒なことになってきたぞ…と私は内心うんざりしつつ、

「たとえばこれだったら、あんこんすきおうすねす、と覚えておけば…」

そして冒頭のやりとりを繰り広げたところでした。

筆談を背中に書く伝言ゲームさながらに、なんとか言わんとすることが相手に伝わったときふいに貴婦人が言ったのです。

あなたのやり方は、まるで自閉症の子供みたい

これもしょせんは与太話に過ぎなかったはずなのに、妙に私には引っかかりました。

私は自閉症なのか?

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