iPhoneアプリ「AutoSleep」を使って日々の睡眠記録をとっています。
AutoSleepについては以下の記事でご紹介しています。
10月後半から、それまで6時間前後だった睡眠時間を強制的に7時間に固定する試みを始めました。
最初のうちは「すでに目が覚めているのに、まだ7時間たっていないからベッドに居よう」という、実にナンセンスに感じることがたびたびありました。
それが、続けるうちに「7時間ベッドにいる」ことに慣れてきました。おそらく「7時間もベッドにいるなんてとんでもない」という罪悪感のようなものが足を引っ張っていたのでしょう。
今まで6インチの容れ物で済ませてきたところを7インチにサイズアップしたことで、最初はスペースを持てあましていたものの、慣れるに従い、増えたスペースをうまく使えるようになった、というイメージでしょうか。
実感できる成果も出始めました。
- 困難な仕事に対峙したときに、逃げずに正面から向き合えるようになった
- 短期記憶が改善した(一度見た数値や文字列を保持できる時間が増え事務作業の効率がアップ)
- 注意が分散しにくくなった(注意を向けるべきところに向けられるようになり、奪われそうになっても簡単には負けなくなった)
※いずれも数値ベースで検証したわけではなく、あくまでも実感ベースです。
さらに続けるうちに、「7時間以上寝ているのに調子がイマイチ」という日が出てきました。
要するに7時間以上ベッドにいさえすればOK、という簡単な話ではなかったわけです。
トータルの睡眠時間は「売上」、深い睡眠は「利益」
同じ7時間でも、「深い睡眠」が占める割合が少ないと「調子がイマイチ」になるようです。まぁ、考えてみれば当たり前の話です。
これは何かに似ているなと考えていたら、ふと思い至りました。
- トータルの睡眠時間は売上のようなもの。多いに越したことはないが、その中の深い睡眠という利益の多寡こそが重要。
ということに。
とはいえ、最初のゴールとして「7時間眠る」は有効
トータルで何時間眠ったか(売上)よりも、深い睡眠(利益)の多寡に注目したほうがいい。
…のですが「深い睡眠」それ自体は意識的に増やすことが難しい(直接コントロールするための“レバー”が見当たらない)ので、トータルの睡眠時間を増やす(就寝・起床は直接コントロールできる)ことで、間接的にコントロールするしかありません。
これは、利益それ自体を増やすことはできず、まず売上を立てるところからしか始められないことに似ています。
従って、まずは現状よりも長く眠る(僕の場合は7時間に設定)ことで「深い睡眠」の変化をウォッチすることになります。
「深い睡眠をウォッチする」ために、たすくまに作ったリピートタスク
毎朝のルーチンの中で、AutoSleepのログを確認し、スクリーンショットを取るというリピートタスクがすでにあります。
それまでは漫然とスクリーンショットを取るだけだったのですが、「深い睡眠」を追いかけるべく、「たすくま」に以下のようなリピートタスクを作りました。
取るスクリーンショットはAutoSleepの以下の画面で、右下の円が深い睡眠です(⑦の隣の数字は一週間の平均時間です)。
スクリーンショットを取ったら、その画像をこのタスクに添付しつつ「深い睡眠」の時間をタスク名の末尾に入力します。「4:05」なら「405」とタイプすることで変換候補に「4:05」が現れるので、入力の手間はさほどではありません。
過去ログでこのタスクのみを抽出表示させることで、「深い睡眠」の履歴が一望できます(これがやりたいがためにタスク名の末尾に時間を入力しています)。
「深い睡眠」を安定させるために改めて読んだ本
一度読んで「これは良い本だ」と満足していた『スタンフォード式 最高の睡眠』を、今回の取り組みを始めたのを機に改めて読んでみました。
最初の90分がとにかく重要
やはり「売上」よりも「利益」が重要でした。とりわけ最初の90分が重要、と。
これは、ビジネスにおける「初速」に似ていますね。初速がふるわなければ挽回は難しいわけです。
つまり、何時間寝ようが、最初の90分が崩れれば、残りも総崩れになってしまうということだ。「6時間睡眠の人」と「8時間睡眠の人」がいた場合、眠り始めの質いかんで、「6時間睡眠の人」のほうがぐっすり眠れていてすっきりしていることだってありえるのだ。(p.100)
「睡眠で一番大事なのはいつ?」と聞かれれぼ、それはやはり「最初の90分」。黄金の睡眠時間に関しては、やはり「90分」だというのが私の意見だ。肝心なのは最初のもっとも深いノンレム睡眠に無事たどり着くこと。(p.102))
「初速」を稼ぐハック
最初に読んだときももろに影響を受けて実践したのがこれです。
オペラ歌手が寝しなにウォッカを飲んで眠る、というエピソード。オペラは上演時間が長く、幕が下りるのが夜の11時になることもある、ということで、終わってすぐに帰宅しても「喝采と歓声に包まれた脳と体は極度の興奮状態にある」ために、すぐには寝付けない。
そこで、アルコールの力を借りるというわけです。僕の場合は寝しなにウィスキーをストレートで一口飲む、を実践しています。
もちろん、飲み過ぎは逆効果。
大量のアルコールは睡眠の質を下げるが、度数が強くても量が少なければその心配はない。もちろん体質もあるが、飲んですぐに眠ることで、最初の90分、しっかりと深く眠れているのだろう。
ウォッカはアルコール度数が40度。なかには90度近いものもある強い酒だ。ワインはおよそ14度、ビールは5度程度だが、このようなアルコール度数の低い酒をだらだらと長時問飲むより、一口含んで目を閉じるのは入眠にはいいと思われる。(p.97)
まとめ
ということで、トータルの睡眠時間(売上)を伸ばしつつも、その濃度を高める、すなわち深い睡眠(利益)を確保することに意識を向ける、そのために記録を取ってふり返る、というお話でした。
今回ご紹介した『スタンフォード式 最高の睡眠』には他にも以下のようなトピックがあり、いずれも参考になるかと思います。
- 翌朝までにどうしてもやらないといけない仕事がある場合の対処法
- 就寝90分前に入浴(湯船に15分つかる)を済ませるとスムーズに入眠できる
- すぐ寝るときは「シャワー」または「足湯」
- 正しい羊の数え方
- 靴下をはいたまま寝ないほうがいい理由
- 「明日早い」ときの秘策
- 就寝時刻は後ろにずらすのは簡単、前にずらすのは困難