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すぐにイラッとする癖をやめたい



大橋悦夫今年も半分が過ぎました。そんな今年の正月に、昨年一年を振り返って「今年以降はこれをやめよう」と心に誓った習慣があります。習慣というより癖なのですが、まぁ癖は習慣ですから習慣でいいでしょう。

それは、すぐにイラッとすること。要するに怒る癖です。

「イラッ」を完全に封じ込めるのは困難かもしれませんが、身の回りには「怒りっぽい」の対極にある人がけっこういます。

僕の見えないところで激しく怒っているかもしれませんが(可能性はあるでしょう)、少なくとも僕にとっては「きわめて穏やかな人」ということになっています。

つまり、「イラッ」としてもそれを人前に出さないようにしたいわけです。

自分の思う通りの対応をしてくれないと、すぐにイラッとしてしまう。自分で書いていて恥ずかしい限りですが…。

試されている

たとえば、タクシーで、あまり道に詳しくない運転手に当たったとき。

  • いちいち道を聞かれて煩わしく感じる。
  • 道を聞かれずとも、変なルートを通らないか気が気でない。
  • 曲がるべきところを曲がらずに直進してしまったときなどは、つい声を出してしまう。
  • お金を払っているのになんでナビしないといけないのか。
  • お人好しだと思われたくない。
  • 馬鹿にされたくない。

冷静になって考えてみると、こういうシチュエーションに遭遇することはあり得ることです。毎回ではないにせよ、一定頻度で巻き込まれているように思います。

一方、道に詳しいのは当たり前で、運転が丁寧で、言葉遣いやマナーも最高な運転手に巡り会えることもあります。

まるで帳尻を合わせるかのようです。

もしかすると、「ハズレ」の運転手に当たったときでも、“徳の高い乗客”でいることで目に見えないポイントが付与されて、このポイントが一定数貯まると「当たり」の運転手を引き寄せてくれる、という“グラウンドルール”があるのかもしれません。

そう考えると、ちょっとゲームっぽくなって楽しくなってきます。

試されているのです。

“グラウンドルール”に従ってみる

実際、つい最近乗ったタクシーは左腕の目立つ位置に白い腕章を付けている運転手でした。その腕章には「実習中」という文字。別の言葉だったかもしれませんがとにかく「まだ新米ですよ」というサインです。

「ああ、これはナビ案件だ…」と即座に落胆しかけますが、その日は何となく気持ちに余裕があり、まぁいいか、と泰然自若モードに。

行き先を告げると、案の定

  • 「すいません、ちょっと分からないので教えていただけますか…😓」

と返されます。

道案内をしつつ、

  • 「渋谷から駒沢通りに抜けるときは蛇崩(じゃくずれ)を抜けると早いんですよ😊」

などと聞かれてもいないのにドヤ顔で教えたりします(すみません、この日は少し酔っていました)。

ともあれ、運転手は道中終始腰が低く、

  • 「道が分からなくても怒らない乗客で良かった…😅」

という安堵感からか、リラックスしているように感じられました。

むろん、運転手としては新米であろうとベテランであろうと同じ料金を請求する以上は「道が分からなければお客さんに教えてもらえばいい」というスタンスはNGでしょう。

一方、乗客としてはお金を払う立場だからといって、

  • 「こっちはカネ払ってんだぞ!😡」

というスタンスもまたNGだと思うのです。

ともあれ、今回は特にイラッとすることなく、終始なごやかに車中で過ごすことができました。まぁ、普段は常に殺伐としている、わけでもありませんが、今回はいつになく気分が良かったです。

決め手は腕章という“標識”が早々に提示されていたことだと考えられます。いわゆる「先行オーガナイザー」です。腕章のおかげで心の準備ができました。

執事のような運転手

この記事を書くまで忘れていましたが、それからぴったり7日後に乗ったタクシーがすごかったのです。

  • ~でございますね
  • ~でよろしゅうございますか
  • それはけっこうでございますね

などと、どこぞの執事かと思わせるような上流階級な言葉遣いで、それでいて慇懃無礼なところはいっさいない。当然身なりもきちんとしていて、運転も丁寧。

さらに、道路事情にも精通しているようで「今日は日曜日ですので、この交差点を曲がったほうが早く着きます」といったサービスもありました。「早く、安く、快適な移動」を追求しているように感じられます。

いまふり返ってみると、この執事さんは7日前に付与された「ポイント特典」だったのかもしれません。

「死ぬまで修行ですね。私もあなたも(笑)」

私淑している栢野克己(かやのかつみ)さんの著書『小さな会社の稼ぐ技術』にこんなくだりがありました。

夢と戦略と感謝(略して「夢・戦・感(ゆめ・せん・かん)」と略される)について書かれているのですが、最後の「感謝」については以下のようないっさい飾らない書き方でものされています。

そして、感謝。

私もこれを忘れて何度も痛い目に遭いました。社長にも、これを忘れている人が多いですね。特に若手ベンチャー系。強烈な夢や戦略で短期的に成り上がる。「成功したオレはすごい」とうぬぼれ、周囲への感謝を忘れて自滅する。

芸能人も、月給数万円の下積み時代を経て、年収1000万円超で傲慢不遜になる「小成功病」で消えていきます。「感謝=性格の良さ」であり、これを改善していくことが一番難しいかもしれません。私も早起き会で親や妻への感謝、トイレ掃除、ありがとうを1万回も唱えましたが、すぐに元に戻ります。

死ぬまで修行ですね。私もあなたも(笑)。

こういうとき、「私は実践できていますから、あなたも実践しましょうね」という書き方はよく見かけます。本人にはそのつもりはないのでしょうが、つい上から目線になってしまうのです。

でも、栢野さんの場合、正直に「私も完全には実践できていませんが、がんばります。あなたも一緒にがんばりましょうね」という飾らない、いや、むしろ赤裸々な書き方です。だからこそ読者をして背筋が伸ばさせるのでしょう。