フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 | |
小林弘人(監修・解説)
日本放送出版協会 2009-11-21 おすすめ平均 |
「好きなことをして、生きていくのは難しい」とはよく言われることです。インターネット時代がやってきて、「ついに好きなことをして生きていける時代が来た!」と思わせる雰囲気が生じたものの、「やはりそううまくいかなかった」と感じている人も多そうです。ことに、それなりの数の購読者のついているブロガーさんなどは、そう感じているかもしれません。
そういう人が必ず読むべき本が出ています。『FREE』です。インターネットを使って生きていこうと単純に考えたとき、一番問題になるのが、お金を得にくいこと。アフィリエイトという手段がありますが、生活するに十分な対価を得ようとすると、アルバイトをした方がまだ楽だということになりがちです。
「優良ブロガー」をはじめとし、本にしても売れそうなものを書いていながら、月に千円も得られずにいる人が多いのは、発想が古いからです。と、著者は言います。しかしそれは無理からぬことです。なぜなら、何らかの対価を得る方法について、「これまであった方法」に私たちの頭があまりに慣れている一方、「これからの方法」を教わったり読んだりした経験など、ゼロに等しいからです。
『FREE』の著者は、丁寧に「オンラインで生計を立てる方法」をまとめてくれています。私たちが簡単に陥りがちな誤解についても、丁寧に反論しています。以下で紹介するのは巻末のほんの一端です。これだけでも十分恐ろしげに見える「ルール」ですが、このルールが恐ろしげに見えるのは、慣れないせいです。このルールはむしろ、理不尽を飲み込むしかないと思い知らせる人生から、多くの人を解放してくれる新しい可能性なのです。
●無料のルール
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
説明不要でしょう。ただ、本書ではこれにどれほど抵抗してもムダだということが、大量の事例を挙げて強調されています。今後その事例はどんどん増えるはずです。
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
こちらはむしろ大事です。アトムとは要するに物理的な経済の話であり、この場合には「インターネットの外」という程度の意味ですが、そもそも「無料に向かう」のは、「消費者が無料に極端に惹きつけられる」からです。ここにはとても心理的な要素が働いています。以上の2つから、当然次のルールへと至ります。
3.フリーは止まらない
法律や不正コピー防止コードや「恐ろしい警告」などによって「フリーになるのをとどめよう」と努力しても、「それを打ち破るものが必ず出てくる」ということです。つまり「オンラインで生計を立てよう」「好きなことをして食べていこう」と考える人が、決してやってはいけないこととは、「不正コピー防止のための努力」なのです。
けれども多くの人が実際、このために多大の努力を払っています。何らかの「デジタル有料ツール」を作り上げ、「不正コピー防止措置」を施し、「無料で出回ったりしなければ稼げるはず」と期待するのです。この努力がむなしいのなら、何をすれば生計を立てられるのでしょう?
4.フリーからもお金儲けはできる
「無料だからと言って誰からもお金を取れないわけではない」。著者のこの指摘はとても大事です。同じようなもの、ほぼ同じ価値のものが「無料」だとして、それでもお金を払うものとは、どんなものでしょうか? あるいは、どんな人がそれにお金を払うというのでしょうか? 著者は、次のような人々のことを例に挙げます。これらの特定の条件が満たされていれば、有料をいとわない人たちによって、大量の無料ユーザーを支えることになるというのが、新しいビジネスモデルだと指摘しているわけです。
・時間を節約したい人
・リスクを避けたい人
・自分の好きなものだからお金を払うという人
・ステイタスにお金を払う人
なお、本書では「フリーを利用した50のビジネスモデル」が紹介されていますが、そうしたビジネスモデルがTwitterの#freemiumjpで収集されています。ちょっとのぞいてみても面白いでしょう。
http://twitter.com/#search?q=%23freemiumjp
また、本書自体もそうしたビジネスモデルを一部体現しています。1万人限定ですが、「<フリー版>ウェブ書籍『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』の無料閲覧キャンペーン」が行われていました。
http://www.freemium.jp/
5.市場を再評価する
こちらについては、本書をお読みください。たとえば、携帯電話は無料で配り、通信費で利益を得るといった方法について考察することを言っています。
6.ゼロにする
どうせゼロになるものであれば、できるだけ早く無料にしてしまおう、という考え方です。そうすればそのことによって注目を集めることができます。注目されれば、ゼロにしたものの周辺から、利益を得ることができるということです。
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
たとえば私は書籍原稿を書くことでその稿料をいただいています。しかし、私とまったく同じような内容のことを、ほぼ同じレベルでどんどんブログにアップする方が登場すれば、私はその人とかなり苦しい競争をしなければなりません。
こうなれば私は結局のところ、本に書くような内容をブログにどんどんアップして、書籍原稿以外のところで利益を上げるか、誰もブログには書けないような話を、本に盛り込まねばならなくなるでしょう。
ルールは10ありますが、【前編】ではここまでにします。ここから、少し話が違ってくるからです。【後編】は来週になりますが、それまで待ちきれないという方は、有料の書籍のほうをどうぞ。
第2回 実践!マインドハックセミナーを12月18日(金)に大手町にて開催いたします。
テーマは、「タスクの構造化実践編」です。サブテーマとして「GTD的方法の必要性」を考えております。 タスクの一元化は、今では不可能! というよりもむしろ、分散しているタスクをどうシームレスに管理するか。
「すごい人」でも完全に一元化している人は見かけません。そこでこのセミナーで、「巧みに分散させている人たち」の実践している「GTD的な方法」をやってみたいと思います。私としては比較的、ワーク中心のセミナーです。
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