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Evernoteがないとコンピュータはつまらなくなる



佐々木正悟 改めて振り返ってみて、シゴタノ!にはEvernoteの記事が非常に多いです。しかもけっこう読まれています。

» カテゴリー:Evernoteの育て方
» タグ:Evernote

ただ、どの記事もあまりにも「達人が書いた親切なEvernote入門」という趣に過ぎます。もちろん、そうなるのは当然と言えば当然です。なぜなら書いている人はみんなEvernoteが大好きだからです。

しかし読者としてやはり気になるのは、どうしてそんなにEvernoteが好きなのか?というところ。領収書をことごとく、大事なメールをことごとく、Twitter記事をことごとくEvernoteに入れられるから、だからEvernoteが好きなのか? そうではないでしょう。

混ぜたり分けたりすると見えてくるものがある

突然ここで、まだなんにも決まってない米大統領選を仮想で取り上げます。共和党候補は、便宜上トランプ氏に断定。民主党候補はヒラリーさんに決定。

べつに他の候補に含むところはありませんが、Evernoteをなぜ私がそんなに好きなのかの説明に使うためなので、だれでもいいのです。

この二候補のどちらがどのように戦い、結末がどうなるかについて、一定の興味を私がもっていると仮定します。

さっそくEvernoteに次のような2つのノートブック(フォルダ)を用意します。

  • 米大統領選(スタック)
  • └トランプ(ノートブック)
  • └ヒラリー(ノートブック)

そして大統領選に関する限り、私がみつけたあらゆる情報、ウェブクリップするあらゆる情報、私の感想、友人の感想、Twitterなどでの言及のすべてをEvernoteに取り込むことにします。

なかで、トランプ氏に関する情報は「トランプ」フォルダに、ヒラリーさんに関する情報は「ヒラリー」フォルダに投げ込みます。

すでにこの段階で面白いことが起こります。

まず、私が集めたり目にできている情報は、意外に多くないということに気づくのです。これは、Evernoteを使っているとすぐに気づくことです。

情報過剰だ。座るがままにあらゆる情報を手に入れられる。グローバルからの情報だ。

荘厳華麗なようですが、米大統領選に関する「すべての」情報は、私が集められる限りにおいてEvernoteのスタック「米大統領選」にあるはずで、その数はせいぜい15なのです。意識的に集めないなら、そんなものです。

次に、どちらかのフォルダに、情報量の偏りがあるでしょう。たぶんトランプ氏のフォルダに集まる方が多いでしょう。私はトランプ氏のファンではない、にもかかわらず!

というようなことが、イッパツでわかるのです。Evernoteを使うということには、こうした面白さがあります。

とにかく、ノートの数が15くらいじゃ、どうしようもない。ということで、どんどん情報を意識的に集めようとします。

そうするとなると、ただ「トランプ情報」「ヒラリー情報」を集めるだけではつまらないから、「トランプを褒めている情報」「非難している情報」「ヒラリーを褒めている」「非難している」あたりに分けて、それぞれを集中的に集めるようになります。

だからといって、フォルダを4つ作ったのでは、「トランプを褒めている情報」と「けなしている情報」を分けておくことになり、それを一括して「トランプ情報」としてみたいときに不便ですから、タグを使います。

  • トランプ支持(タグ)
  • トランプ批判(タグ)
  • ヒラリー支持(タグ)
  • ヒラリー批判(タグ)

こうしてタグができるわけです。

タグ付けという作業は少々面倒ながら、Evernoteのいいところは、分けてさえおけば混ぜることは容易だということです。

米国の情報、日本の情報、女性の意見、男性の意見。それぞれのタグを付けておけば、すべてをまとめて読むことも、それぞれを分けて読むことも、少し苦労すれば、日本発、男性の、トランプ支持の意見と、米国発、女性の、トランプ非難の意見を、分けて読んだりすることも可能になります。

こういうことをすることは、面白い、と私は思うのです。そしてこういうことは、リアルタイムで情報を追いながら、なんとなく頭の中でもやっていたりするのですが、頭のキャパシティはEvernoteには遠く及ばず(だから15件で多いと感じたりするのですし)、頭が情報を分けたり混ぜたりするのは、Evenoteよりはるかに雑然としています(そこがアナログ脳の良さでもありますが)。

頭とは違うツールを使って、もっと易々と、整然と、それでもなるべくアナログ的な情報を操作する様子を、眺めたくなるのです。

そんなものを眺めていて初めて、見えてくることが、あるときにはあるのです。

▼編集後記:
佐々木正悟



Evernoteには「いろんな顔」があります。初心者向けの本はそれをどうしても「1つの顔」のように見せてしまいがちです。資料の倉庫にどのくらいの面白さがあるのか、といぶかしく思われているのかもしれませんが、一瞬で整理したり、一瞬でその整理を壊したりできるというところに、Evernoteを使う面白さがあるのです。

子どもの成長について、1歳のころの写真と4歳のころの写真と10歳のころの写真を並べると、たちまち見えるところがあります。同時に「成長する」ことがすなわち「よいこと」でありつつ、すなわち「よいこと」ではないというようなことも、たちまち見えてしまうでしょう。

子どもの写真をもつ親なら、そんなことはみんな知っていますが、自分のブログ、自分のツイッター、自分の書棚、自分の健康診断についても、おんなじことがいくらでもやれるということは、Evernoteでもないと、なかなかわからないことです。

さらに自分の嗜好、自分の思考、自分の仕事のネタなどの「成長」や「活用価値」を、実務的に利用しながら同時に堪能もできるというようなものは、Evernoteをおいて他にありません。

Evernote仕事術
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