記録をつけてふり返ると、いいことがあります。
ただ、この一行だけではインパクトに欠けるせいか「なんかもっとすごいことないの?」という無言のプレッシャーを感じます。
結論からいうと「すごい」効果は残念ながら期待できないのですが、「けっこういい」効果は確実に得られています。だからこそ、記録とふり返りを続けることができています。
そんな僕がふり返るときに注目していることを今回はご紹介します。
「思ったより良かったこと」に注目する
「ふり返る」と聞くと、「反省」を連想します。
「反省」からは「良くなかった点を改善する」というニュアンスが漂います。
当然のことながら「良かった点」もあるはずです。
にもかかわらず「改善」に意識が向きすぎるがゆえに、「良かった点」がスルーされがちなのではないかと思うのです。
- 良かった → 改善不要 → 放っておいてもOK → 重要ではない
という思考の流れが生じるわけです。
でも、単に「良かった」だけでなく「思ったより良かった」のですから、そこに何らかの、次回以降にも活かせるヒントがあるはずです。
例えば、月間の売上実績が「思ったより良くなかった」としたら、当然その原因を分析しようとするでしょう。
一方、「思ったより良かった」場合は「良かったね」と胸をなで下ろして終わりにするのではなく、「なぜ良かったのか?」を分析してみるのです。
「なぜ、良かったのか?」という問いかけを通して、次回も再び「思ったより良かった」という結果が引き寄せやすくするためです。
再現性を高めるわけです。
「思ったより良かったこと」に注目するための仕組み
一日の終わりに、以下のテンプレートに沿って日記を書いていますが、この中にある「今後も続けるべきことは?」という問いがまさにこれです。
■0.今日新しく始めたことは?
・■1.今後も続けるべきことは?
・■2.それを続けるためのコツは?
・■3.不満に感じていることは何か?
・■4.原因は?
・■5.次はどうすべき?
・■6.まず何をする?
・
「今後も続ける」ということは、それが「良かった」と判断しているからであり、その「良かった」を再現するべく、次の問いで、「それを続けるためのコツは?」としているわけです。
この問いに答えることで、次回は具体的にどうすればいいのか(=コツ)を言葉で整理できますので、再現性が高まります。
「同じ失敗を繰り返さずに済むようになること」に加えて、「同じ成功を繰り返せるようになること」も記録とふり返りをすることで得られる「いいこと」の1つなのです。
仕組みを改善する
今回ご紹介したテンプレートについては、以下の記事で詳しくご紹介していますが、この時と今とではテンプレートの構成が変化しています。これも、記録とふり返りの賜といえます。
とにかく読み返すだけでOK
記録とふり返りは、プロジェクトを進めるうえでも役に立ちます。
というより、プロジェクトを進めることの実態は記録とふり返りがすべてだといってもいいくらいです。
『はじめてのGTD』に以下のように書かれています。
ルーズリーフ式の手帳やバインダーは、ひとつのプロジェクトに対して、1ページでも複数のページでも自由に割り当てられるのが強みだ。
私は長年、持ち運べるくらいの大きさのバインダーを愛用し、最初のページに「プロジェクトリスト」を、その後ろに「プロジェクトの参考情報」を綴じている。新しいルーズリーフも入れてあるので、プロジェクトの計画や具体的な内容、思いついたことをいつでも書き留めることができる。
これらはいずれもプロジェクトに関する思考の整理に効果を発揮する。ポイントは、書き込んだことをそのプロジェクトに必要な頻度でレビューし、やるべき行動を忘れていないかを常にチェックしていくことだ。
これらの書き込みは、不要になったり現実的でなくなったりした時点で捨てたり削除したほうがいい。でないとシステムの“鮮度”が落ちてしまう。この種のアイデアを集めておくことは、私には大きなメリットをもたらしてくれている。
といってもそれはアイデアをすべて活用しているということではなく、思考の助けになっているという意味だ(実際に使うアイデアはごく一部にすぎない)。
僕自身はルーズリーフの代わりにEvernoteをプロジェクトノートとして活用していますが、やっていることは同じです。
あるプロジェクトを進めようと思ったら、そのプロジェクトに関するノート(プロジェクトノート)を開き、そこに書かれていることをただ読み返す。
すると、すでに完了していることについての記述はササっと読み進めることができ、未完了の記述はじっくりと読み解くことになります。
そこに書かれていることは、過去の自分が書いたことですから、読み返すことで過去の自分から今の自分に引き継ぎが行われるのです。
同時に、「次はこうしたほうがいい」というアイデアが自然と湧いてきますので、それを書き足していきます。
そのようにして記述を繁らせていき、そのうち実行可能な部分はタスクとして認識されるので、実行に移していきます。
すぐにその場で実行できないことについては、いつ行うのかを決めたうえで、カレンダーやTaskChuteに転記していきます。
あとは、実行するタイミングになれば、カレンダーやTaskChute上で“再会”することになりますので、そこで思い出すことができ、つつがなく実現していくことになります。
「プロジェクトを進めよう!」と思うと、おおいにプレッシャーを感じるものですが、「プロジェクトノートを読み返すだけでOK」ということであれば、さほど負荷を感じることなく取りかかることができます。
それでいて、プロジェクトはきちんと前に進みます。
↓昨日、全面改訂版が出ましたね。さっそく入手したので、これから読み比べてみます。