この連載の1で「ブログを書く」という話をしたのに、次がいきなり「家計簿」とは、何とも現実的な上に話に一貫性がない、と思われるかもしれません。
本当はこの話が第1回でもよかったのです。どんなに「やってみなければ分からない」「大丈夫。君は大丈夫」などと言われても、不安は深刻です。不安とはお金の不安のこと以外の何ものでもありません。
お金の不安と闘うには、記録をとるのが一番です。実に実につまらない話に聞こえるでしょう。家計簿をつけたところでお金は1円も増えないのです。繰り返しますが、家計簿をつけたところでお金は1円も増えません。
それでも、まずブログを書き、次に家計簿をつける。これが私の考えるノマドワーカーの必須行動です。
いつまで「ブログを書いて」いられるのか?
前回と今回を足して言えることはただ1つ。「お金がなくなるまでの間」ブログに好きなことを書いていられます。これがなによりノマド・ワーカーのなすべきことだと私は思います。
前回、ノマド・ワーカーなら「少なくとも自由にものを言いたい」と書きました。しかしそれをただ1度やるだけであれば、なにもわざわざノマド・ワーカーになったりする必要はないでしょう。とにかく言いたいことを1エントリすれば事足ります。
しかしノマド・ワーカーになってしまって「言いたいことを言う」ことにしたとすれば、次に考えるべきことは「それでいつまでそうしていられるの?」という問いに答えることです。これは「お金の続く限り」でしょう。
ではいつまでお金は続くの?
ごく単純な計算式で表せばこうなります。
貯金額 ÷ (1日当たりの平均支出 – 1日当たりの平均収入)
単純にはこの値がマイナスになるようなら(収入が支出を上回るので)、安泰は半永久的に続くことになります。ただ、ある種の特別収入がある(独立祝い金のような)と「平均収入」が狂いますから、そうしたものは取り除くか、なるべくたくさんのデータをとって平均値を出す必要があります。
その意味でも1日でも早く、開いている全ての銀行口座とクレジットを含む、全収入と全支出を把握する必要があるのです。これは、会社勤めしていても確かにできることですから、何かの準備のためにやっておいて損はありません。
サバイバルはネタである
日、1日と貯金が目減りしていく中で、ブログなど書いていられるかと当然、思う日が来るでしょう。けれども私のようにぬるま湯に浸かって生きてきた人間でも、定義上知らざるを得ないことがありました。自由とは、合理的ではない理由でも選択するから、自由なのです。
お金があるからブログなど書いていられる。もちろんその通りです。でもお金がなくてもブログを書く。それが自由意志の価値というものでしょう。私にできるのかと言われると、黙ってしまいそうですが。
とは言え、そういう極限状態で「あえてやっていること」に人は自然と興味をそそられます。手持ちの資金が乏しいのに「ノマド」などに手を出し、挙げ句の果てにPVも得られない「ブログ」なんかにかかずらわっている「おめでたい人」のエントリは、逆説的に面白いのです。
毎日なくなっていく貯金額。想像していたのとは似ても似つかない「自由な」ノマド・ワーカーという生き方。そんな中で選択し、お金までかけてしまったサーバや、ブログ・エディタや、家計簿ソフト(いくらしましたか?)。
ネガティブなことは口にしないと「ミッション」にはあるのに愚痴たらたらになっていくブログ。会社生活をなつかしみかねない現状。それらがブログのネタになります。それと限ることはありませんが、そうしたものを読みたいと私なら思います。
私だけではないでしょう。虎視眈々と「次のノマド・ワーカー」を狙っている人たちだって読むはずですし、「すでにあきらめてしまった人」もなぜか読んでしまいます。なにより、その後どういう展開が待っていようと、書いている「ノマド・ワーカー」自身がこれを繰り返し読むことになるはずです。
総額を把握している家計簿は、この「戦い」をカウントダウンしてくれます。戦いの中、優秀な頭脳がつまらないアイデアをたくさん捻出してくれるでしょう。アイデアの評価にかかわらず、困窮を極めているならそのうちのいくつかを実行に移すしかありません。思いがけないことに「つまらないアイデア」のいくつかが当たったりもして、世の広さと現実の複雑さを安堵の中で垣間見ることができます。
これが「不安と期待」というものの正体であり、実は誰もが知りたがっている「リアル」なのです。
8月26日 第4回タスクセラピー 「仕事管理は手帳だけ」からの脱却(東京都) |
おかげさまでご好評いただいているタスクセラピーですが、気がつけば次回は第4回です。
第4回はもう一度原点に立ち返り、初心者のためのタスク管理と、スマートフォンの活用をテーマにしたいと思います。
チェックリストを作ってその通りにこなしていくだけですむなら、たぶん「タスク管理」や「タスクセラピー」に興味を持つことはないでしょう。問題はどんなタスクリストを持ていて、それに何をどう書き込み、その後どのようにしているかなのです。
いわば自分が持っているシステムと、そのシステムの運用がタスク管理のキモになるわけです。
「そんなものはそもそも想像すらしたことがない」という方にこそご参加いただきたいのですが(たった一度でもいいので)、「そういったシステムを何度か試みたものの、一度もうまく扱えたことがない」という方にもぜひいらしていただければと思います。