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本連載も今回が最後となりました。
最終回はお片づけと家族の関係について。
お片づけサービスのお客様からもセミナーの受講生からも必ず出てくる片づけの悩みは、
- 「家族が・・・」
です。
- 頑張って片づけても家族が捨ててくれない、片づけてくれない
- 自分が片づけられないため、家族に責められる、あきれられる
1人暮らしなら片づけの悩みは自分次第でなんとかなりますが、家族で暮らす場合、片づけはモノの問題ではなく、人の問題であることも多いですね。せっかくの我が家で、部屋が心地良くなかったり家族とのコミュニケーションがぎくしゃくしていたりすると、一番くつろげるはずの場所を失ってしまいます。
ぜひ部屋をスッキリさせながら家族とのコミュニケーションも改善しましょう。
自分が片づけられない場合
正しいやり方を学ぶ
片づけは全ての活動にかかわるスキルにもかかわらず、学んだ記憶はありませんよね。
効率の悪いやり方で一生懸命頑張ってきた「もったいない人」は、これまでの連載を参考にしながら正しい手順を学んで手ごたえを実感しながらとりかかりましょう。
「大片づけ」に関しては、得意な友人やプロの助けを借りるのも効率的です。
続けられる方法を見つける
「何を手に入れるためなら頑張れるのか」を考えましょう。
自分時間をつくるため、家族の笑顔を見るため、お気に入りのソファーが映える部屋にするため、など、モチベーションのあがる目的を見つけることが大切です。
途中で挫折しない仕組みも大切。無理のない計画をたてる、成果を報告しあう仲間を持つ、人を呼ぶ、片づけ後の「ご褒美タイム」を持つ、家族に褒めてもらう・手伝ってもらうなど、自分に合った方法を見つけてください。
家族が片づけてくれない場合
「片づけやすさ」を見直す
家族がなかなか協力してくれない時は、彼らの目線に立って「片づけやすさ」のチェック。
片づけ場所を決めた主婦(主夫)が気づかなかった不便があるかもしれません。きちんとたためない子どもの引出しならざっくりたたんで入る量にする、右利きの夫(妻)には右側の引出しを譲ってあげるなど、相手のやりやすい方法に変更。
わからない時は「この場所だと戻しにくい?どこだったら戻してくれる?」と直接聞けばいいのです。
まずは自分から
相手は変えられなくても自分を変えることはできます。
家族が・・・と嘆く前に、まずは自分からはじめましょう。自分1人で決められるモノやスペースを見直し、その結果として生まれる空間や時間、心のゆとりを満喫しましょう。
軽やかに心地良く過ごしているあなたを見て、家族も何かを感じてくれるかもしれません。実際、「自分がやりはじめたら家族も自分のモノを減らし始めた」ということはよくあります。
そのためのコツを9つ、連載のまとめもかねてご紹介します。
- 家族の「捨てられない」を尊重する
相手のモノが気になる時は、つい「何がなんでも○○を減らしてもらおう」という意気込みで声をかけがちです。でもその前にちょっと振り返ってみましょう。
- 相手の想いを共有する
捨てられないモノには、本人でなければわからない思い出やこだわりがあります。それを最初からガラクタ扱いすることは、相手にとっては自分を否定されたようで傷つくことでもあります。夫(妻)ならではの思い出やこだわりを知り、興味を持って受け入れましょう。恋人時代は自然としていたことのはず(笑)。
相手の気持ちを尊重することで「一部なら減らしてもいい」と言ってもらえることもありますし、逆にあなたの方が気にならなくなるかもしれません。
- 量を確認する
「相手の目障りなモノ」の実際の量を聞いてみると、大した量ではない場合もままあります。それほどかさばらないなら収納を工夫してスペースをつくってあげ、もっとこだわりのないアイテムを減らすことを考えた方が良いでしょう。
- 相手から見た自分のモノは?
「自分のモノは全部大事、相手のモノは全部ガラクタ」になっていませんか? 相手にお願いする前に自分のモノも振り返りましょう。
- 勝手に捨てない
配偶者でも子どもでも一番信頼感をそこねる行為です。一時的にはモノが減らせても、次からはもっと捨ててもらえなくなる可能性もあるので、このやり方は避けましょう。
- 高すぎるレベルを求めない
片づけ上手さんにありがちですが、自分の好みだからと家族に対しても「モデルルームのような部屋、雑誌の写真のようなきっちり収納」を求めていないか振り返ってみましょう。自分がよかれと思ってやっていることが、残りの家族にとっては「何もここまでしなくても・・・」になっているかもしれません。
- 責めずに伝える
普段のリクエストは「○を~して」と淡々と伝えましょう。何度伝えてもやってもらえない時は、テーブルにすわるなど改まった形で伝えることで、真剣さを感じてもらいましょう。「あなたが~してくれない」という伝え方は責める口調になってしまうため、「私は~して欲しい」と、「Iメッセージ」で伝えましょう。
- 感謝する
家族がやってくれた時は「やって当然」ではなく「ありがとう」、「やってくれたんだね」と感謝を伝えましょう。本当は各自でするのが当たり前のことでも、感謝することで気持ちよく続けてくれるなら、言葉の出し惜しみをせずに声をかけましょう。
- だまってやってあげる
「私が散らかしたんじゃないのに!」、「一度やったら次からやってくれないかも?」と思う気持ちもあるでしょうが、イライラするぐらいならさっさとやってスッキリした方が手早いこともあります。「どっちが正しい」という力比べだけでは、家族間の思いやりは生まれません。相手が疲れていそうな時などはだまって片づけてあげましょう。
お片づけは「ゴール」ではなく、家族全員が心地良い時間を過ごすための「ツール」。
「お互いを思いやる関係を普段から築き、必要な時には言いづらいことでもきちんと伝える」ことがなによりのコツです。
頑張りすぎず、でもあきらめずに、上手に家族そしてお片づけと付き合ってくださいね。
▼橋口真樹子:
家庭から幸せの輪を広げるお片づけカウンセラー。自宅セミナーでは我が家のリアルな収納を公開、お片づけに悩むお宅のカウンセリングでは「片づかない理由」をスッキリ解決。日本プロフェッショナルオーガナイザー協会(JAPO)主催の「お片づけのプロ養成講座」講師も務める。