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第2回 EVERENOTEアイデア発想術ー情報フロー&メモ環境の構築編/ ビギナーズ・ハック2nd

北真也

第2話:I’ll be….

ここは東京某所、ST電機第一ソリューション事業部。

早朝4時を過ぎようとするころ、一人の青年の意識が遙か時空の彼方へと飛び立とうとしていた。

ベック君:パト●ッシュ、僕はもう疲れたよ・・・

前回、先輩からの無茶ぶりで徹夜を余儀なくされた青年、ベック君。謎のマンガ家マスターノキバのアドバイスもあり、まずは情報をEVERNOTEに整理していたが、ついに体力の限界を迎えてしまった。

ベック君:ああ・・天使が見える・・

その一言を最後に、ベック君は眠りに落ちた。

・・・と思ったその矢先、けたたましい轟音がエレベータホールから鳴り響く。鉄と鉄が激しくぶつかり合う音が聞こえたかと思うと、厚さ12cmの鋼鉄製の扉に蜂の巣状の穴が空き、鈍い音と共にコンクリート製の壁にも弾痕ができていた。

ベック君:え、え、何このガトリング感

xxx:ベック君、こっちだ。

フロア中央のエレベータホールに続く扉に釘付けになっていたベック君の背後から声が聞こえた。振り返るとそこには、革ジャンに身を包んだオオハシ部長らしき人物が立っていた。

ベック君:オオハシ部長!

xxx:私は未来の君によって送り込まれたターミネーター「O-84」だ。

ベック君:未来!? 何言ってんすか、オオハシ部長!

O-84:今はゆっくり説明している暇はない。早くこっちへ。

O-84と名乗るその人物は、ベック君を左脇に抱えるやいなや、右手でオフィスのはめ殺しの窓をたたき割った。

ベック君:ちょwオオハシ部長、どんだけパワフルなんですか!! この窓強化防弾ガラスですよ!!

O-84:やつがきた。しっかり掴まっていろ。

O-84はそういうと、勢いよく窓の外に飛び出した。

ベック君:ええええーー、ここ24階!!

O-84:少し衝撃が来るが、我慢しろ

高さにして約100m、落下時間4.5秒、地表面に達した時点での速度160km/時。
ベック君が走馬燈の様に自分の人生に思いを巡らせている間、O-84は一切顔色を変えない。

いよいよ地表に叩きつけられようかという瞬間、ベック君の頭の中は「オワタ\(^o^)/」で埋め尽くされたその時、まるでアニメの様な金属音が聞こえたかと思うと、O-84のくるぶしより下の部位から猛烈な火柱が吹き出された。O-84を中心に颶風(ぐふう)が巻き起こり、路肩に止められた車がまるで紙でできているかの様に軽やかに宙に巻き上げられる。

ベック君:(何、このアトム感)

着地の瞬間、流石に軽い衝撃があったが、ベック君が「イテ」と呟く程度のものであった。O-84のふくらはぎあたりから「プシュー」と廃熱の音が聞こえたかと思うと、巻き上げられた車が自由落下を始め、金属が曲げられる音とガラスが割れる音があちこちから聞こえ、少し遅れてそこかしこで爆発音と爆風が襲ってきた。

O-84は元いたビルの24階に向き直すやいなや、いつの間にか右手に携えていたグレネードランチャーM-203(M-727に装着)を空に向かってぶっ放した。

鈍い金属音と共に水銀の様な物が辺り一面に飛び散る。

ベック君:(何、このターミネーター2感)

O-84:これで暫くやつは動けないが、これで倒せたわけではない。

ベック君:よくわかんないけど、溶鉱炉的なものは川崎の工業地帯に行けばあるはず。

O-84:よし、いくぞ!!

何故か東京某所に無造作に置かれていたサイドカー付のハーレー的バイクで二人は首都高湾岸線を駆けた。その間、後ろからT-1000的なターミネータが2回ぐらい襲撃をしてきたが、その辺は適当にいなして、東扇島あたりのJ○Eスチールの溶鉱炉あたりにT-1000を沈めたあたりまでは筋書き通りで話が進んでいく。

ベック君:どうしても、いくんだねO-84

O-84:ああ、俺の中のプロセッサが奴らの手に渡らせてはいけない。

ベック君:O-84!!!

溶鉱炉に沈むO-84ははじめてニヤリと不敵な笑みを作ると

O-84:I’ll be Beck。ベック君だけに・・くくく。

ベック君:・・・え!?(I’ll be backはT2じゃないのに!!)

ビクッと盛大にジャーキングをかますベック君。
顔を上げるとオフィスの時計は8時を指していた。

ラシタ主任: I’ll be beckって、そやったら今までのベックは誰やねんって話やろ。

オオハシ部長:I’ll be Beck・・ククク。ところで、ベック君、今日の昼までに資料できそう?

ベック君:あ、あぁ、大丈夫です!2時間で形にします。

その後、ベック君はこれまでの資料をまとめたEVERNOTEを開き、先ほどみた夢の世界をベースに世にも奇抜な5年後の事業戦略をまとめた資料を創り上げたのでした。社長曰く「ぶっ飛んでるけど、面白い」と好評を得たとか得なかったとか。めでたしめでたし。

EVERENOTEアイデア発想術ー情報フロー&メモ環境の構築編

前回はアイデアを出すための型として「アイデアのつくりかた」という本を参考に

  1. 関連しそうな資料を集める
  2. 集めた資料を咀嚼(整理・分析・加工)する
  3. アイデアを孵化させる
  4. アイデアを思いつく
  5. アイデアを具体化させ、発展させる

といった型を持ちましょうと言うお話でした。今回は実際にこの型をEVERNOTEで実践してみたいと思います。

少し長くなりそうなので、2回に分け、今回は上記ステップをEVERNOTEで実現するための「情報フローとメモ環境の構築」について紹介し、次回に「情報の加工とアウトプットの技術」を紹介したいと思います。

■EVERNOTEに情報フローを構築する

先の5STEPにおいてEVERNOTEが大いに活躍するのは1と2のSTEPです。EVERNOTEに資料を集め、それにちょいちょい手を加えていく作業です。資料というのは大きく分けて「メモ」と「参考資料」の2つがあるとお考え下さい。「メモ」というのは自分の思いつき(着想)をメモしたもので、「参考資料」というのはどこかから持ってきた資料です。

1と2のSTEPを実現するために、この2つの資料をアウトプットに応じて上手く収集・加工していくフローをEVERNOTEに構築しましょう。下記は参考までに私のアウトプット毎のフロー図です。角丸の四角がノートブックだとお考え下さい。

スライド1

例えば、BLOGネタであれば「ネタ」「下書き」「記事済み」の3段階があって、「ネタ」段階は自分の思いつきメモもあれば、参考資料もあり得ます。ここから自分のBLOG記事になりそうな物をピックアップして「下書き」に昇格させます。最終はそれをBLOGエディタなどでBLOG記事に加工してアップしたらば下書きは「記事済みメモ」へ送り、完成した記事をサイドクリップして「公開済み記事」のフォルダに入れるという流れになります。

スライド2

例えば、人前に立ってお話をする機会があればそれをプロジェクトとして捉え、「■xxxセミナー」といったノートブックを作成し、そこに参考資料やらメモやらを突っ込み、タグ付けを行ったり、追記したりという加工を繰り返します。アウトプットが完了次第メモや資料はアーカイブフォルダ(上図には入れ忘れてますが・・)、成果物は「作成済み資料」に格納します。

ちなみに、私は会社でEVERNOTEが使えない状況ですので、資料作成に関しては少し違ったというか、かなり泥臭いアプローチを取るのですが・・・それはまた別の機会に紹介したいと思います。(ただ、流れとしてはEVERNOTEを使った情報収集・加工と大差はないです。不便なだけで。)

■アイデアを思いつく前提条件を作り出しアイデアを逃さないメモ環境を構築する

先の情報フローを作ろうの下りでいきなり「アウトプット」まで話が飛んでしまいましたが、実際に大変なのは集めた「メモ」や「参考資料」から新しい組み合わせたる「アイデア」を思いつくところです。そこで登場するのが、前回も紹介した「三上」なのですが、ここでアイデアを思い浮かばせる為にはいくつか条件があると考えています。

まず大前提として次の2点が満たされている必要があります。

  1. ある事柄についていつも考えている(テーマが明確)
  2. 一通り考え尽くして何だか行き詰まっている(パターン網羅済み)

この前提条件が満たされた状態で全く異なることを考えたり、行ったりするとアイデアが湧いてくるように思います。考えて煮詰まった時に散歩に出たり、お風呂に入ったらアイデアをひらめいたという経験は誰しもが持っているのではないかと思います。

ちなみに、前提2のパターン網羅に関して言えば、文章でも箇条書きでも殴り書きでもフロー図でもマインドマップでもいいので、わかりきっていることをとにかく紙に思いつく限り書き出すということが重要だと考えています。あくまで個人的な考えですが、「網羅」という意味に於いてはデジタルのマインドマップが、スペースに限りがなく、追加削除修正がやりやすいため、使い勝手が良いのではないかと考えています。

スライド4

前提条件を作り出した後はアイデアが湧くのを松ばかりですが、この時に重要になるのが如何にアイデアを逃さないためのメモ環境を構築するかです。メモを常に持ち歩くことがアイデア発想系の基本の様に思われがちですが、メモを取るというのはこの段階(STEP4)において有効なスキルなのです。

私は極力取り漏らしをなくすために、家、鞄、職場にメモ帳とボールペンを配置し、アナログのメモであればSHOTNOTE、デジタルのメモであればATOK Padを用いてメモを取り、最終的にはEVERNOTEに集約させることにしています。メモを分散させて取り漏らしをなくし、EVERNOTEに集約して散逸を防いでいます。

スライド3


ATOK Pad

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SHOT NOTE

無料
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以前セミナーで伺った話では、大橋さんはお風呂場でメモを取るために三菱の「PowerTank」とLifeの「アウトドア」というメモを用いておられるとのことです。お風呂場でよくアイデアを思いつくという方はこういったグッズも取り入れてみるのも一つ良い手段でしょう。





最後に

今回はEVERNOTEでアイデアを生み出すための情報フローの構築と、メモ環境の構築について紹介しました。次回は集めた情報を如何に加工するか、ひらめいたアイデアを如何に形にしていくかといった「情報の加工とアウトプットの技術」について紹介します。

ではまた来年お会いしましょう!

参考図書

EVERNOTEを使った知的生産といえばこの本


今回紹介した内容の全体像は拙著「クラウド「超」活用術」を参照頂ければつかめると思います。


▼今週の一冊

普段から懇意にさせて頂いているkazumotoさんこと酒井一太さん(@kazumoto)がこの度処女作を上梓されました。

kazumotoさんのブログ「Find the Meaning of my life」は多くの方から愛され、今や月間15万PVを超える人気ブログです。その溢れんばかりの文才にはいつも嫉妬に近い感情を抱いていたぐらいなので、個人的には「遂に真打ち登場か!」と万感の思いであります。ラシタさんと3人でGoogleWaveで語り合ったあの日が懐かしい!

ただ、書かれている内容は、この表現が正しいかどうか自信がないのですが、ただひたすらに壮絶です。kazumotoさんとはもう3年ほどの付き合いになりますし、彼のBLOGで色々読んで理解していたつもりでしたが、改めて読んでいると本当に壮絶という言葉に尽きます。

当たり前のことができなくなる、眠れなくなる、自殺念慮に囚われる、身体も感情もコントロールできなくなる、人と話すことに恐怖を覚える・・・そういった症状と向かうことを想像しただけでも想像を絶します。

更に「うつ」を乗り越えるために様々な取り組みをされるのですが、その中でも特にガツンときたのが、朝起きて出社する練習をしたり、見知らぬ人に話しかけて道を尋ねたり、ウェイターやコンビニの店員さんに声をかけたりして「できる」ことを確認するという取り組みです。これほどの道程を辿って、kazumotoさんの今があるのだと思うと涙せずにはおれませんでした。

私の周囲にもうつと診断され休職を余儀なくされたり、今なおリハビリで苦労している同僚が何人かいます。近しい友人が「死にたい」というのを必死で止めたこともありました。何故私は彼らがそこまで追い詰められるまで何も出来なかったのかと苦悶したこともありました。本書がもっと以前に出版され、私がそれを読んでいたならば、打てる手はきっともっと沢山あったのだろうと思います。

勿論、そんなことを言っても過ぎた過去は戻ってきませんが、本書を読まなかった未来よりも本書を読んだ未来の方が、きっと私の周囲の人の笑顔が多くなるのだろうと思います。本書はそういう本なのだと確信しています。


 

▼編集後記:
北真也



今年も大変お世話になりました!
楽しんで頂ける様一層努力してまりますので、
来年も何卒宜しくお願い致します !


▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。