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BT034:何が「好き」かは読み返した時に分かる

Hakozaki Junction - 01Hakozaki Junction – 01 / Kabacchi


前回の佐々木さんの記事の中で次のような下りがありました。

» BT033:「好き」なことについて書く

「でもそれはちょっと不安だ。だって好きなことはあるけれど、それについて書いたところで誰も感心してくれないかもしれない。もっと感心させられるネタを手に入れ、文章力も備わったら、ブログを書くことにしよう。それまでは実力を養おう」

こう考えたとき、ブログは止まります。人を感心させられるネタも、まず見つからないでしょう。なぜならそのネタで人が感心するかどうかは、結局出してみなければわからないからです。

ブログを始めない理由として多くの人が「ネタがない」「時間がない」「文章力がない」という3つの理由のいずれかあるいはすべてを口にします(「才能がない」という人もいますが、これはネタと文章力を掛け合わせたようなものでしょう)。

また、ブログ塾に寄せられる「悩み」でよく目にするのが、「本当に書きたいことが書けない」というもの。他人の目を意識していることから来る心のブレーキです。

このブレーキを解除するにはどうすればいいでしょうか。

これまでにも触れてきたことですが、ブログを始めたばかりの時というのは読者はほとんどいません。いたとしても、読者は書き手であるあなたのことなどつゆほども知らないでしょう。

そうなると「あ、この人ったら、こんなこと書いてらぁ!」などと思われることは皆無です。

他人の目を意識するような人であれば、実名ではなく匿名でブログを始めるでしょうから、なおさら“心配ご無用”。

普段、身の回りの人には決して見せない自分の一面をウェブを通じて見ず知らずの人に開示する気恥ずかしさとプレッシャーがハードルになるのですが、このハードルこそがブログの参入障壁です。

「自分が書こうとしているテーマですでに名の知れたブログがある」ことはハードルにはなりません。ハードルは自分の中にあるのです。

「住宅都市整理公団」別棟というブログがあります。

このブログからは以下のような本が出版されています。


いずれもこのブログのテーマがもとになっています。団地やジャンクションといった、誰もが普段から当たり前のように目にしているものばかりですが、それに対するどうにも押さえられない気持ちをブログを通じて発露させていった結果といえるでしょう。

たとえば、「ジャンクション」については以下のエントリーが始まりです。

» 「住宅都市整理公団」別棟 : ジャンクション熱、高まる

以前デイリーポータルZで「ジャンクションを鑑賞する」という記事を書いた。ジャンクション好きはけっこういて、ぼく自身も記事を書く以前から気になっていたが、最近はさらに興味がわいてきた。

この記事をきっかけにぞくぞくとジャンクションの写真がこのブログを埋め尽くすようになります(川口ジャンクション阿波座ジャンクションなどなど)。

やがて出版が決まり、さらには同好の士を募って「ジャンクションツアー」なども開催されるようになります。

とはいえ、最初から「ジャンクション」というテーマに絞り込みきれたわけではないようです。

このブログを最初から読んでいくと、その時々で関心のあるテーマが記事として上げられていることがうかがわれます。


ブログ開設当初から「僕はジャンクションが好きだからジャンクションのブログを作ろう」という一直線なスタートではなかった、ということです(現在読むことができるこのブログのエントリーから推測する限りにおいて)。

ブログの良いところは書いたものは読み返すことができる、という点です。時間をかけて書いたということは、それだけの価値を自分が認めたということです。

自分が書いたものを読み返すということは、過去に自分が「価値あり」とみなしたものに再度向き合うことを意味します。

今この瞬間は「思いつき」や「衝動」といった点としかみなせないものでも、書いて残しておくことで、再びそこに向き合った時、点と点がつながり線になります。

こうなって初めて「あ、自分はやっぱりこれが好きなんだな」という結論を納得ずくで自信をもって下すことができるのです。

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