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自由に使える時間を生み出すための5つのポイント/今日からできる仕事術・第1回

▼お知らせ:
大橋悦夫
 シゴタノ!ブックスの公開を記念して、著者の方々の短期連載企画を進行中です。

第3弾は『無駄をなくして仕事を早くする20問トレーニング』および『仕事を楽しむ人のタイムマネジメント』の著者・西村克己さんです。

西村さんは、日本総合研究所で主任研究員として民間企業の経営コンサルティング、講演会、社員研修を多数手がけられた後、03年に芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授に就任。現在までに単行本を96 冊出版されています(累計180万部)。


著者・西村克己より

西村克己みなさん、初めまして! 「将来を切り開く力を身につける」「自分の時間を大切に生きる」を信条に、著者をしております西村克己(にしむら・かつみ)です。このたび、シゴタノ!ブックスで電子書籍を上梓したのを機に連載させていただくことになりました。

わたしは、高校生時代から「マネジメント」に興味があり、大学の学科は「経営工学科」を選びました。卒業後、8年間富士フイルムで、経営効率化推進室に勤務し、生産系のマネジメントを専門として、工場建設や工場設計などの多数のプロジェクトに関わりました。

「他流試合がしたい」「外の世界で勝負して実力を発揮したい」という思いが勝ち、1992年、バブル経済の全盛期に転職しました。住友銀行のシンクタンクとして新規発足した、日本総合研究所に転勤し、13年間、経営コンサルタントになりました。13年間は、売上ノルマとの戦いでした。コンサルタントは稼いでナンボの世界、年間4千万円のネット売上(経費を差し引いた粗利)が毎年のノルマです。正直疲れました。

そこでわたしは、このノルマ地獄から抜け出すために、自分のブランドを確立すべく、1999年に出版の道を切り開きました。ノルマを達成するのに必要だった時間を、出版社の人脈開拓と、執筆時間にあてました。戦略用語でいうと、自分の時間の「選択と集中」です。

これらの業務を通して、わたしの専門分野は、大きく分けて、「戦略」「マネジメント」「思考法」の3つになりました。出版の効果は絶大でした。本が名刺代わりとなり、営業をしなくても仕事が舞い込むビジネスモデルを確立しました。

そして、出版のおかげで、13年間のノルマとの戦いからの戦略離脱が可能になりました。2003年に、芝浦工業大学の社会人大学院の教授に採用され、「経営戦略論」と「プロジェクトマネジメント」の講座を持つことができました。

教授職で5年間勤務した後、2008年に自分の時間を手に入れるべく、客員教授に退きました。出版(単行本)はすでに95冊になり、累積販売部数は180万部を越えています。現在、書店流通の紙媒体の単行本を年間10冊以上出しています。これらが可能になっているのも、まさに「タイムマネジメント」「仕事術」のおかげだと胸を張っていえます。

わたしは、時間を成果につなげることが大好きです。たとえば、「1時間机に座ったら、2000~3000字の原稿が完成している」とか、「書いた単行本の原稿(10万字以上)が、書き直しなしで一発OKで本になる」という仕事のやり方が好きです。修正時間や試行錯誤の時間をゼロにできれば、仕事の効率は最大化するのです。

さて、わたしの話はそろそろにします。今回は6回シリーズで「仕事術」についてエッセンスをご紹介します。

全6回のテーマは、次の通りです。

  • 第1回目 自由に使える時間を生み出そう
  • 第2回目 仕事が速い人はタイムマネジメントが上手い
  • 第3回目 ムダ取りで時間あたりのアウトプットを増やす
  • 第4回目 人から見たスピードをアップさせる
  • 第5回目 考えるスピードをアップさせる
  • 第6回目 ストレスフリーの人間関係の作り方


第1回目の今回は「自由に使える時間を生み出そう」です。

1.時間が人の最大の経営資源

会社にとっての経営資源は、「ヒト・モノ・カネ・情報」として知られています。では個人の資源は何でしょうか? ズバリ、「時間とお金」です。時間とお金のうち、自分の意思ですぐに改善できるのは「時間」です。時間は、自分にとって最大の資源なのです。

時間を制する者は、精神的に豊かな生活を送れます。自分の時間が充実している人が、本当の心の幸せではないでしょうか。「自分がやりたいことに時間を使っている」こと。そして、その結果「世の中の役に立っていること」ことの両立を、「自己実現」といいます。自己実現の状態が、人間の最上級の段階であると、精神学者のアブラハム・マズローは提唱しています。これは、マズローの「段階欲求説」で有名です。

2.「時間がない」といういいわけをしない

「時間がない」という口癖の人はいませんか? もし口癖になっているとすれば、その人は時間に支配されています。時間の奴隷に成り下がっているのです。時間がないのではなく、「時間を作る」決意が必要です。

「時間は全ての人類に平等であり、1日24時間を増やすことができない」ということは、誰もが知っている大前提になります。待ったなしで、1日24時間が日々過ぎていくのです。この限られた資源である時間をいかに成果につなげるかが、成功者か否かを決めるのです。成功者はほぼ例外なく、成果につながる時間の使い方をしています。だからこそ、成功という成果を手にしているのです。

「時間がない」という口癖の人は、成功者から相手にされません。成功者からみれば、「時間を作ることができない人だな」とか、「自分の無能さを時間のせいにしているな」と思います。要領が悪い人という言い方もあります。成功者からみれば、時間がないという口癖の人と付き合うこと自体が時間のムダと判断されます。つまり、いい人脈を開拓できないという結果になるのです。

3.時間は与えられるのではなく作るという決意を持つ

時間は、物理的には1日24時間平等ですが、ムダな使い方をすると、時間がいくらあっても足らないという気持ちになります。つまり、時間がないという口癖になるのです。

たとえば、あなたが休暇をとって旅行に行きたいと思ったらどうでしょうか? 無理をしてでも、休暇を取るために何らかの手を打つのではないでしょうか? 「時間がないから休暇などとれない」という根っから仕事好きの人を除けば、休暇を取るために何らかの手を打つはずです。少なくとも、「休暇届を出す」という時間は確保するでしょう。

「時間を作る気がないから、時間がない」と考えるのです。仕事や私生活にかかわらず、本当にやりたいこと(目的)があれば、時間を作るはずです。時間がないという口癖の人は、もしかしたら、生きる目的を見失っているのかもしれません。私生活だけでなく、仕事においても目的を見失っている人は不幸です。他人や組織に自分の時間を支配されて生きているのですから。まさに時間の奴隷です。

4.やった方がいい仕事は、やらなくてもいい仕事であることが多い

時間を生み出すにはどうすればいいのでしょうか。まずは、「ゼロにできる仕事はないか?」を問いかけます。「やった方がいい」と思うと、やらなくてもいい仕事までやってしまいます。やった方がいいではなく、「やらなければならない仕事なのか?」を問いかけます。やった方がいい仕事は、やらなくてもいい仕事であることが多いのです。

「やった方がいい」が口癖は、いつも時間がないと感じる人に多いのです。本当にやらなければならない仕事は何かを絞り込みます。逆に、「やらなければならない」と考えると、使命感がわき、やる気がでます。結果的に、仕事への集中力が高まり、仕事の質と効率が高まるのです。

「やらなければならない」と考えたら、次に、「なぜこの仕事が必要なのか?」「何のためにやるのか?」を考えてください。すると、1つの仕事の中に、重要度が高い部分と、重要度が低い部分が見えてきます。何が大切で、何が大切でないのかを区別するのです。重要度が高い部分の完成度を高め、重要度が低い部分の完成度は平均点をねらいます。

5.安請け合いの仕事をなくす

そもそも、あなたがやらなくてもいい仕事を安請け合いしていないか、総点検が必要です。仕事を安易に断るという意味ではありません。雑用係になっていないかを自問自答するのです。人からの頼みを断れない人は、安請け合いの仕事が増えています。安請け合いの仕事とは、相手が喜ぶだろうからと、善意で何でも仕事を請けてしまうことです。いつしか、雑用係になっているのです。

安請け合いの仕事か、自分の仕事かを区別するには、自己の確立が不可欠です。そのためには2つが重要です。

1つめは、「自分は何のプロなのか?」、または「自分は何のプロを目指すのか」を明確に持っておくことです。何のプロかを明確にすることで、専門分野を高めるという使命感が芽生えます。

2つめは、「自分の組織からの役割期待は何か?」を明確に持っておくことです。「役割期待」とは、「人が、社会から要求される役割のこと」です。たとえば、新入社員であれば、まじめに指示されたことが実行できることが役割期待でしょう。中堅社員になると、プロフェッショナルな専門分野を活かして、組織の目標を達成することでしょう。

おわりに

時間は個人にとっての「資源」であること。そして、1日24時間は平等であることです。「時間をいかに生み出すか?」を、今一度考えてみませんか?

次回以降も、時間を成果につなげるためのヒントをご紹介していきます。

▼シゴタノ!ブックス:スピードと時間管理をサッと学べる2冊

  • 1.『無駄をなくして仕事を早くする20問トレーニング』

ビジネスマンにとって「早いですね」は最高の褒め言葉です。そして、仕事をテキパキとこなし、時間を有効に活用している人は人生も充実しているものです。あなたも時間を使いこなして、「仕事が早い」と言われる人を目指しませんか?

本書は問題形式になっていて、気楽に回答を考え、解説を読み進めることで仕事を「早く」する思考を養うことができます。

問題は1つの章に5問の構成になっており、第1章から第4章までの20問という負担の少ない分量でトレーニングをしていくことができます。

無駄をなくして仕事を早くする20問トレーニング




  • 2.『仕事を楽しむ人のタイムマネジメント』

いつも時間が足りないと感じる方に読んで頂きたい本です。

1日を大切に使うために1つひとつの作業の効率を上げることはとても大事なことです。しかし、その努力も間違った方向に進んでしまっていては意味がありません。本書では時間を有意義に使うタイムマネジメントをご紹介していきます。

上手に時間を使っているつもりでも、気が付くと本来の目的とは違う方向に時間をかけてしまっていたということもあります。仕事の順番を変えるだけで驚くほどパフォーマンスが上がることもあります。

ムダな時間は、意識をすればいろいろなところから発見することができるものなのです。

「時間があったら」と思った瞬間から、時間に振り回されてしまいます。時間に振り回されるのではなく、タイムマネジメントを意識することで時間を有意義に使い、充実した1日を過ごしてみませんか?

仕事を楽しむ人のタイムマネジメント



▼西村克己:
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。富士フイルム、日本総合研究所を経て芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授に就任。専門分野は、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考、タイムマネジメント、プロジェクトマネジメント。現在までに96冊の著書がある(累計180万部)。