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仕事のワークベンチとして利用できるようになった Evernote for iPad

堀 E. 正岳
ノマドワーキングという言葉ばかりがバズワードとして飛び交うようになっていますが、現実感をもって「いつでも」「どこでも」仕事をしているという人はそれほど多くはないかもしれません。

しかし、ただしいツールと、その取扱い方を会得すると、バスにのっている一瞬、ミーティングが始まる前の数分といった、「非活性時間」を「活性時間」に変えることができます。

iPhone がそうした近道を作るデバイスであることは「iPhone 情報整理術」で紹介しましたが、iPad もその独自のしかたで近道を産み出してくれます。

そしてそのパートナーに Evernote がつかえるのです。

「仕事」を複層化する

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たとえばブログの原稿を書く場合を例に考えてみましょう。そこには「構想」「資料集め」そして実際の「執筆」「推敲」といったレベルがあります。

しかし実際にかかる時間を考えてみると、手を動かして執筆をするまえの構想のステップはメモ書き一枚から始めることもできます。時間もそれほどかかるわけではありません。もっと長い書籍全体の構想なら長い時間をかけることも予想できますが、短い記事や、書籍の一節であっても、必要なツールは割合簡単で済むものです。

しかし一方で、記事の核となる部分を生み出す創意工夫はこの最初のステップに要求されます。そして実際の作業に落としこむにつれて手間が増える一方、執筆それ自体はしだいに創造性を離れて「作業」に近づいていきます。

こうして仕事をいくつかの層にわけて考えてみると、iPad のようなデバイスが下層の、構想や多少の資料集めの部分で活躍することがわかると思います。

iPad でノマドワーキングするということは、デバイスに向いたこのスイートスポットをみつけて、その部分をあらゆる瞬間をみつけて実践することといえるのです。

仕事の骨組みをつくっておく

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ブログ記事の例を続けて、Evernote をどのように組み込むかみてみましょう。たとえば一つの記事のアイディアが思い浮かび、題名、そして起承転結、あるいは序破急の流れがなんとなくイメージできたとします。

このとき、この骨組みだけでも Evernote for iPad のメモ入力機能を利用して書き込んでおきます。どうしても利用したい文章があったらこの時点でノートに加えておくことにします。しかしこの段階で詳細を書き込む必要はありません。

実際この原稿でも、見出しだけの最初の骨組みは Evernote に書きためてありました。アイディアの流れさえおさえておけば、あとで肉付けをするのは楽になるのです。

このステップを実行するのは、それこそどこでもかまいません。あえて机の前のゆっくりとした時間はもっと時間のかかる執筆にわりあて、骨組みづくりはその前にバスの中などで進めておくことができれば、ノマドワーキングの実践に近づくことができます。

ウェブから情報をコピーして貼りつけておく

ブログだったら画像を集めたり、引用しているブログから話題を集めたりといった段階になります。これも Evernote for iPad の得意とするところです。

集めた画像は一つのノートブックに集めておき、用途をメモに残しておくことで実際の執筆前に雑然とした資料集めのフェーズをすでに済ましているということが可能になります。

ノートブックを共有してファイルや素材をやりとりする

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それでは Evernote for iPad は下書きや資料集めなどだけにしか役に立たないかというと、そうともいえません。

先日『できるポケット iPadを快適に使いこなす 基本&活用ワザ150』を発刊された松村太郎さんは、本の半分ほどを Evernote で執筆して編集者に対して共有しているそうです。

現時点では Evernote の共有機能の限界もあって一方的な共有になるのですが、それでも、どんな出先から書いていてもファイルが別の人のもとに常に届いているという状態を自動的に作れるので便利です。

仕事を「時間」「アテンション」の関数で切り分ける

仕事のすべてを Evernote for iPad のうえで行うことはできませんが、可能なことと不可能なことを切り分けて、可能な部分をノマド的に行うことで机の前での大幅な負担軽減を創りだすことは可能です。

いうなれば、「時間」と割り当てることのできる注意力「アテンション」の関数として仕事を意識するということでもあるのです。

これらを応用すると、ボイスメモでブレインストーミングを行ったり、パソコン側から目を通すべきファイルを Evernote に置いておいて出先で確認し、オフィスに戻るまでにレスポンスを考えるということもできるようになってきます。

Evernote for iPad、このアプリがあなたの仕事の流れの中心、いわゆるワークベンチとなることだって可能なのです。今回は執筆を中心にかんがえてみましたが、ぜひ皆さんの職種にあわせて仕事の複層化と、iPad に頼れる範囲を見定めてください。

 

今週の本

上でも紹介しましたが iPad の入門本としても、じつによくできているのが松本太郎さんの『できるポケット iPadを快適に使いこなす 基本&活用ワザ150』です。

考えてみれば、私たちは Apple の基調講演くらいでしか iPad の詳細な操作方法は学んでいません。インターフェースが直感的だからなんとなく使えていますが、まとめて解説を読むことで新しい発見もあります。

iPad ユーザーのかたはぜひ手にとってみてください。

松村太郎, できるシリーズ編集部
インプレスジャパン ( 2010-06-18 )
ISBN: 9784844328803
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

 

▼編集後記:
堀 E. 正岳
6/23 に予定されていた全世界の Evernote Meetup に先駆けた Meetup Tokyo は盛況の中無事開催されました。

会場でもっとも聴衆を沸かせたのは司会をつとめた私のトーク…ではなく、いつも陽気な CEO の Phil のスピーチでした。

このようすだけでも一見の価値ありですので、Ustream で保存されたイベントの様子を御覧いただきたいと思います。