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『給食のオバサンだった私が下北沢で自分の店を持ちつつデザイナーで社長をやれている理由』の二大ポイント

ユウコ
大会社の若社長が綴る自伝やビジネス書も面白いですが、それと同じくらい「普通のひとがどうやってひとに知られるようになったか」というはなしは面白いものです。

むしろ、私に直接関係するのは後者なので、書店でそういう本を見つけては読んでいます。前回の記事 こんな人が「仕事の未来を作る」フリーランスに向く~2つのチェックポイントでご紹介した『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』も、元々普通のひとだった内沼さんがどうやって「ブックコーディネータ」という新しいお仕事のプレイヤーとして認知されていったか、というお話が書かれているものです。

今回とりあげる本も、前回に引き続き「普通のひとがどうやってひとに知られるようになったか」というお話。タイトルもまったくそのまま、『給食のオバサンだった私が下北沢で自分の店を持ちつつデザイナーで社長をやれている理由』です。

こうやって記事を起こすとき、普段ですとタイトル付けにものすごく悩むのですが、今回はこの書名があまりに素晴らしかったのでそのまま使わせていただきました。

書籍の内容もまさにこの通り。

著者の、コヤナギ ユウさんが高校卒業後19才でいわゆる“給食のオバサン”になってから、ライターやデザイナー、自営業を経て最終的に会社を興し、32才で下北沢にお店を出すまでの試行錯誤が赤裸々に書かれています。

(書籍の中に、コヤナギ式てんしょくすごろくというのがイラストで書かれていて、なんマスあるかと数えてみたら14個。つまり、14回のてんしょく(副業、自営業、会社設立等も含む)を経験されていることが分かりました。さすが突き抜けてます。)

いくら元が普通のお嬢さんだったとはいえ、こんなにぶっ飛んだ生き様を見せつけられたら、フルタイムで会社に通いつめる会社員にとっては大して役立たないのでは・・・?と、読む前は興味半分不安半分という感じだったのですが、読んでみたら私にもみなさまにとっても参考になりそうな部分が少なからずありました。今日はその中から幾つかを引用を交えて紹介したいと思います。

まず最初に、改めて肝に銘じるとともに、勇気づけられる思いがした部分から。

 

1.とにかく行動がすべて。行動すれば何か起こる

帰る人が道を急ぐ午後10時~午前0時の渋谷。コヤナギさんは「自分に出来ることは?」と考え、絵をポストカードにして販売するというお仕事を思いつき、実際にやってみました。すると、イベントへの出展のお誘いや、CDジャケットを描いてくれないかという依頼、さらには雑誌編集さんの目に留まり、カットのお仕事のお話までいただいたというのです。(P52-53)

私はこの一文を読んで、「渋谷の路上に作品を置くなんて、勇気があるなあ」とびっくりしました。昼は若者の街、朝夜はビジネスパーソンの街に変貌する渋谷は、たしかに人通りは多いもののみんなせかせかとしていて正直路上でイベントをする場所としてはどうなのかな?と疑問に思ってしまったからです。

けれども考えてみれば確かに“勇気さえあれば何とかなるな”とも感じました。別に渋谷の駅構内を陣取ったからといって怪我するわけじゃないし、強盗に遭ったりもしない。もしかしたらおまわりさんに少ししかられるかもしれないけれど、物質的に失うものはなにもない。だったらやってみたらいいじゃない?と。

しかも、行動した結果、何件ものお仕事に結びつくお話をもらったというのですから、本当に凄いこと。

恐れや不安を一旦取り除いて考えて、それからやってみる。これが大事な事なんだなあと思いました。さっそく真似できるところはないかしら?と頭を巡らしているところです。

 

2.安請け合いしよう。

前回ご紹介した『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』も、今回の『給食のオバサン~』も、どちらも“何でも屋になること” や、“安請け合いすること”を推奨しています。

今回の『給食のオバサン~』の場合、安請け合いすることで、現在の能力以上のことを背負い込んで背伸びをするのでスキルが伸びる(P69)というのがその理由。

駆け出しのころは、自分でもスキルの不足をひしひしと感じる場面も少なからずあるもの。それでも、「頑張ります!」という心意気で仕事を受け、精一杯それに応えることが大事、ということなんですね。

この心意気は、フリーランスだけでなく普通のビジネスパーソンにも有効じゃないでしょうか。私自信も全く経験がなく「えっ?それ何?とりあえずググらなきゃ」というレベルの仕事を依頼されたときにはこう言っています。

「やってみます!」「頑張ります!」

便利な言葉です。

相手だって、不慣れなことなら試行錯誤すると百も承知。少しの失敗にも、慣れた仕事のミスよりは大目に見てくれます。どう進めていいか分からないお仕事は自分の能力を伸ばす大きなチャンスと思って、心の中で怖がりながら率先して手を挙げましょう。やってみると、案外恐怖は消えて、かわりに面白いことになるかも。

『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』『給食のオバサン~』ともに、決してスタイリッシュな内容が述べられているわけではありません。むしろ、泥臭いこと、生活に密着すること、お金のことを、隠し事なく述べてくれています。それがこれからこの著者のように『なにものかになっていく』うえで実践的な内容で役立つし、興味深いと感じて面白く読めるのです。

これからフリーランスとして独り立ちしようとする方にこそ、ご一読をおすすめしたい本たちです。

コヤナギユウ
サンクチュアリパプリッシング ( 2010-04-15 )
ISBN: 9784861137235

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本
内沼 晋太郎
朝日新聞出版 ( 2009-03-19 )
ISBN: 9784022505460
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

 
▼新井ユウコ:
1分で読めるビジネス書ベストセラーiPhoneのある生活をライブ中継。メルマガ「1分で読めるビジネス書ベストセラー」主宰。