今朝、以下のようなことをつぶやきました。
今日訓:自分が悩んだり苦労したりしたことでしか人の役に立てない。逆に言えば、過去に自分が悩んだり苦労したりしてきたことにヒントがある
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) January 19, 2010
困っている人を助けたい、という気持ちは誰にでもあるでしょう。でも、すぐさま「果たして自分に助けられるだろうか?」という疑問や不安に駆られてしまうかもしれません。
もしここで、目の前にいる困っている人が、かつてのあなた自身のように見えたらどうでしょう?
過去にあなたが抱えていたのと同じ悩みを抱えているのであれば、きっとあなたはその人の役に立つことができるはず。
僕自身、今年2010年でフリーランス歴10年になりましたが、これまでにやってきた仕事を振り返ると、最初こそどんな仕事が自分に向いているのか、どんな仕事が得意なのか、そしてどんな仕事なら食っていけるのか、などなどが分からずに、いつも手探り状態でしたが、年を重ねるごとに仕事との一体感のようなものを感じることができるようになりました。
そんな中から出てきたのが冒頭のつぶやきです。
悩んだり苦労したりすることが最終的に自分の強みになる──。
このことは、フリーランスに限らず、会社勤めをしている人であっても同様でしょう。どんな境遇にあっても、悩みや苦労を乗り越えてきた人である限りは、必ず誰かの役に立てる余地がある、ということです。
フリーランスを続けるうえで大切な3つのこと
経営コンサルタントの小宮一慶さんが以下のようなことを述べられています(「週刊東洋経済2009.11.14」より)。
仕事を手段ではなく目的にすれば、仕事の中身もよくなるし、評価されて収入も上がる。
この点、独立していると仕事によってどう評価されるかがてきめんに出てしまう。いい本を出せば売れるし、ダメだとぼろくそ。セミナーの会員数も、いい仕事をすれば増えるし、ダメだと減る。いい講演、研修をすればリピートしてほしいという声がかかる。
そういったことを経験していると、いい仕事をしないとダメだとわかる。
「いい仕事をしないとダメ」とは極めて当たり前のことではありますが、フリーランスで仕事をしていくことの厳しさとやりがいを言い当てています。
さらに、フリーランスを続けるためには仕事以外の部分にも相当な注意を払う必要があります。せっかく独立して、自分の好きな仕事を思う存分できると思ったのに、現実はそうではないのです。
10年続けてきて考える、フリーランスを続ける上で注意を払うべき大切なことは次の3つです。
- 仕事のケア(依頼を途切れさせない、期待に応える)
- 人のケア(関係を途切れさせない、約束を守る)
- お金のケア(記録を途切れさせない、期日を守る)
この3つの中で個人的に最も重要だと思っているのはお金のケアです。
仕事や人については、放っておいても一定の注意を払いますが、お金については忙しさにかまけておろそかになりがちです。前者2つがしばしば緊急かつ重要になるのに対して、後者は重要だが緊急ではないからです。
だからこそ、うっかり支払期限を超過したり、気づいたら残高不足に陥っていたり、といったことが起こるのです(不意に緊急になる)。
どんなに良い仕事をしても、どんなに人間関係が良好でも、お金の面でルーズだと、ザルで水をすくうようなもので、努力の結果が積み上がりません。
独立したら仕事よりも人よりもまずお金のシステムを整備する
10年間フリーランスを続けてこられたのは、たまたま良い人との出逢いに恵まれたり、そこから良い仕事の依頼に恵まれたり、といったことが大きいですが、転がり込んだこれらのチャンスを取りこぼすことなくフォローできたことがそのベースにあると思っています。
その構成要素は日々の作業記録や「明日よろメール」や「即日感謝メール」などの習慣ですが、もう1つ大きいのが金銭管理です。
つねづね疑問に思うのですが、なぜ多くのフリーランサーは決算前になって慌てて領収書の山と格闘するのか。過去の取引をひっくり返して電卓を叩くのか、と。
例えば、タクシーに乗ったり、文具店で買い物をしたりして、それらの出費が経費にできる場合はレシートを取っておきます。その日のうちに、遅くとも翌日までに会計ソフトなどに入力を終えてしまえば、このたった2枚のレシートの処理にはおそらく数分とかからないはずです。
それが、半年後に大量の紙束の中の2枚となったとたんに「どこからどこに移動したんだっけ?」「これ何を買ったんだっけ?」という疑問に悩まされることになります。
毎日やれば日々数分、数日分を溜めても週末に20~30分程度の積立貯金のような時間投資をしておくことで、決算前に慌てることなく、そのときだけ通常業務を止めて決算対応をすることなく、乗り越えることができます。
言うまでもなく、この態勢は定期・不定期にやってくる支払期限を漏れなく守る程度に注意が払われている状態です。言い換えれば、仕事のみに注意を100%振り向けない、ということです。だからといって、お金に50%も注意を奪われるのでは仕事になりません。
求められることは、必要最小限の注意でお金に関するトラブルが未然に防げるようにすることです。そのためには、毎日することや週に1度することなど、お金のメンテナンスをルーチン化し、同時にこれらのルーチンにかかるトータル時間を可能な限り短くできるように注意を払います。
車の運転にたとえれば、仕事というアクセルをふかしつつも、お金というバックミラーにもきちんと目を向けることで、初めて安全運転ができる、という感じです(急いでいるからといって、アクセル全開で前だけを見て走っていれば、いずれ大事故を引き起こしてしまうかもしれません)。