ふだんから雑誌はほとんど読まないのですが、シェアオフィスに置かれている雑誌を休憩がてらパラパラとめくることはあります。自分で買ったわけではないので、本当に「何となく」手に取るわけですが、そういうときに意外な出会いがあるものです。いわゆるセレンディピティです。
今回、手に取ったのはフォーブスジャパン(Forbes JAPAN)2017年07月号です。
特に、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏の記事が目に留まりました。
» ForbesJapan (フォーブスジャパン) 2017年 07月号 [雑誌][Kindle版]
「長期的思考」の重要性
いろいろと啓発されるキーワードやコンセプトが散見されたのですが、とりわけ印象深かったのが「ロングターム」(長期的思考)というキーワード。
ロングターム(長期的思考)がすべてである
ウォール街の反応に振り回されず、長期的な利益を追求する。臆病な決断ではなく、“大胆な賭け”をすれば、失敗もするだろう。でも、そこから必ず学べる。(1997年年次書簡より)
「借り手」にではなく、「貸し手」になること
ある夫婦が家を貸したところ、借り手に部屋を乱暴に扱われた。所有者なら自分の家にそんなことはしない。「所有者」になれば自ずと長期的思考を持つはずだ。(2003年年次書簡より)
発明に失敗は付きもの、絶対不可避と覚悟せよ
発明しようものなら、必ず失敗はする。だからこそ、早く失敗して改善することが大事。これがうまくいくと、失敗によるダメージも相対的に小さくなる。(2013年年次書簡より)
いずれも、「まぁ、そうですよね」という内容ばかりではありますが、実際に何か新しいことに挑戦しようとすると、誰しもリスクの少ない、あるいはリスクの無いやり方を探し始めるものです。
つまり、「短時間あるいは一瞬で何とかならないか」、「お金をかけずに無料で何とかならないか」と考えるのです。
その証拠に、Googleで検索窓に映画のタイトルを入力すると、高い確率で2つ目のキーワードとして「動画」が提案されます。
これは、映画を観に行く時間やお金といったコスト(=リスク)をかけずに、その場でサクッと観てみたいという欲求の現れだと感じます。
もちろん、あらゆる映画を時間とお金をかけて鑑賞するわけにはいかないので、貴重な時間とお金をかけるに値するかどうかの値踏みという意味もあるでしょう。
でも、値踏みの時間も惜しんで、いわゆる前情報なしで映画館に直行する人もいるはずです。
中には「これは時間とお金を損した…」という失敗を被る作品もあるかもしれませんが、そのようにして実際に足を運び、自分の目と耳と心で映画を観続ける人は、時間とお金と、そして駄作を掴まされるという失敗と引き替えに何かを得ているはずです。
その「何か」は失った時間とお金を取り戻してあまりあるリターンをもたらすことになるかもしれません。
もちろん、1本や2本の映画を観ただけでは失うばかりで得るところはほとんどないでしょう。
でも、それが100本、200本、1000本と数を重ねていくと、いつしか「何か」が生まれることもあるでしょう。
というより、それだけの数をこなせるくらいですから、そもそも当人の中にすでに「何か」があったというべきかもしれません。
これも「長期的思考」と言えると思うのです。
「時間を味方に付ける」という表現がありますが、長期的思考はまさに時間の“支援効果”を得るための考え方と言えるでしょう。
1980年代に「ネクタリス」という戦闘シミュレーションゲームに夢中になっていました。「PCエンジン」というゲーム機で、20万本売り上げたほどのヒット作。
僕が夢中になった要因の1つに、戦闘時に考慮に入れるべき3つの特殊効果がありました。これらの効果を最大限に引き出すための戦略の妙味に酔いしれたのです。
3つの特殊効果とは次の3つです。
- 地形効果
- 支援効果
- 包囲効果
成功者の発想法=長期的思考?
「長期的思考」で思い出したのがマクドナルド創業者のレイ・クロックの自伝『成功はゴミ箱の中に』です。
この本の巻末で、ユニクロの柳井正さんがレイ・クロックの成功法則を7つ紹介しています。
その筆頭が以下。
1.成功者の発想法──商売の神髄は be daring, be first, be different
つまり、「失敗を怖れず、誰よりも先に、人と違ったことをする」ということです。
これはまさにジェフ・ベゾス氏の「臆病な決断ではなく、“大胆な賭け”をすれば、失敗もするだろう。でも、そこから必ず学べる」に通じる長期的思考そのものでしょう。
ちなみに、7つとは以下です。
- 1.成功者の発想法──商売の神髄は be daring, be first, be different
- 2.失敗を乗り越えるカ──原理原則を「知る」ことと「わかる」ことは違う
- 3.リーダーシツプ──お客様に配ったアンパンと牛乳への想い
- 4.成長する組織づくり、人材づくり──なぜ、高学歴社員だけでは駄目なのか
- 5.ヒツトの作り方──売れるブランド、売れる営業の相関関係
- 6.ライバルとどう戦うか──なぜレイ・クロックはゴミ箱を見るのか
- 7.大富豪の金銭感覚──お金は儲けるより使うほうが難しい
マクドナルドといえば、レイ・クロックの自伝的な映画が来月末(2017年7月29日)に公開されるようです。
タイトルは「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」。
↓予告編
個人的に、かなり気になっています、「ファウンダー 動画」とか検索したくなるくらいに。
参考文献
↓「長期的思考」以外にも、ジェフ・ベゾス氏の独特な考え方に刺激を受けました。
» ForbesJapan (フォーブスジャパン) 2017年 07月号 [雑誌][Kindle版]
↓レイ・クロックの自伝です。巻末付録の孫正義さんと柳井正さんの対談が充実しています。