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新刊を執筆するときに使った「プロジェクトノート」


倉下忠憲私は基本的にEvernoteをホームベースにしています。しかし、Evernoteしか使っていない、というわけではありません。中心はEvernoteに置きながらも、複数のデジタル・アナログツールを使っています。

先日発売した新刊を執筆していたときも、「プロジェクトノート」(という名の大学ノート)を使っていました。その話を持ち出したところ、何人の方に興味を持ってもらえたので、今回はその「プロジェクトノート」を紹介してみます。

ノートとそのページ

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使っているのは、ごく普通のKOKUYOのキャンパスノートです。ただしページ数が100枚の厚めのもの。単一のプロジェクトではなく、そのとき進行している一番大きいプロジェクト(たいていは書籍の執筆)のために使います。右上に見えるフィルム型の付箋はプロジェクトの区切り目ですね。

あとは各ページをざざっと紹介。

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一番最初の段階です。概要とストーリーラインの骨子を考えています。

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マインドマップ的に、どんな内容を入れるのかをアイデア出し。

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具体的なプロットを表組みと付箋を使って考えています。これも執筆前の段階ですね。あとで似たものが出てきますので、ちょっとこの表組みを覚えておいてください。

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とある章のストーリーラインの流れをより具体的に考えています。キーワードを矢印で繋いでいく書き方です。

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こちらも同じ。ともかくストーリーは流れが大切です。

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こちらも話の流れを考えています。書き方に統一的なフォームがまったくありませんね。だからこそアナログツールを使っているわけです。

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ここではとある章のワンシーンをボールペンで書き殴っています。私以外は読解不可能な暗号のような文字ですが、書いた直後にテキストで打ち直したので問題ありません。

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全体のプロットを整える表組みです。このころにはすでに頭の方は固まっていたのでもう付箋は使っていません。その代わり、最初の表組みでは全4章だったものが、こちらでは全5章になっています。

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同じような表組みをもう一度新しく書き直しています。個人的にこの「書き直す」というのが結構重要で、単純なコピペとは違った効果が期待できる__と信じています。ここでは付箋も使っていますが、ごく少数ですね。

だいたい、このページの後ぐらいで本文は完成しまました。残りのページではタイトル案のブレストとかも行われています。もちろん、他にもページはいくつもありますが、代表的なものはこのくらいです。

これらの記述や表現に関しては、今のところEvernote単体では難しいですし、ツールをパソコン一般に広げても簡単ではありません。実現できるとしてもかなり手間のかかるものばかりです。というわけで、そういう役割はアナログツールが担っています。

さいごに

こうやって書いたノートも、必要であればカメラアプリで撮影なりスキャナでスキャンするなりしてEvernoteに放り込みます。

たとえば、プロットを書き込んだノートなどは保存しておく価値はありそうです。同じプロットでもう一度本を書くことはありませんが、似たような仕事をするときに役立つかもしれません。逆に、そうした可能性を持たない情報に関しては、このままノートに閉じ込められ、私がもう一度ページを開くまでは日の目を見ることはありません。

『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』にも書いてあるとおり、本当に「全ての情報」を残す必要はないのです。そこにはある種の選別があった方がうまく機能します。しかし、その選別は(アナログ情報の保存に比べると)ずいぶんゆったりしたもので大丈夫です。

というわけで、「作業ツールはいろいろ、保存ツールはEvernoteに一元管理」の一例でした。参考になれば幸いです。

▼参考文献:

…というような過程を経て書き上げられたのが本書です。

» ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由


▼今週の一冊:

もしかしたら書評記事で改めて書くことになるかもしれませんが、とりあえず早めに紹介しておきましょう。

副題に「7つの新戦略」とありますが、個人的には違和感を感じます。「新戦略」というか、たぶんすごく古典的かつ普遍的な戦略です。ただし、現代においては「注目」を得るのが、非常に難しくなっているという点においては、あらためてこの戦略に注目する重要性は高まっているでしょう。

ややこしいことは書きませんので、とりあえず書店に行って「第一章」を立ち読みしてください。それで読むべきかどうかすぐにはっきりすると思います。

» アテンション――「注目」で人を動かす7つの新戦略


▼編集後記:
倉下忠憲



遂に新刊脱稿ということで、かなり気分が楽になっております。その代わり、次の締切みたいなものも特にないわけですが……。それはそれとして、奈良でセミナーを行います。よろしければチェックしてみてください。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


» ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由