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タスクシュートで重要なことをする時間を見つける方法

By: Tim ReganCC BY 2.0


佐々木正悟 「タスクシュートとは何か?」

これを伝えることが私のメインの仕事の1つです。

しょっちゅう書いたり喋ったりしている「タスクシュート」について改めて、こうこうこういうものだから、こうこうこういうメリットがある、という話をいたします。

まず「タスクシュートをした効果を確実に得る」ためには、最低でも次の条件を満たす必要があります。

1分以上かかるすべての仕事を量的にとらえる

この条件を見るとわかるとおり、タスクシュートは「GTD」とは違います。「7つの習慣」とも別のものです。「ポモドーロテクニック」とも違います。

私の知る限りタスクシュートを実行するツールとしては「TaskChute」か「たすくま」である必要があります。

ほとんどのツールでは「1分以上かかるすべての仕事を量的にとらえる」という条件を満たすことができないのです。

この「すべてを量的にとらえる」ことの重要性は言葉で言い尽くせないくらいですが、むしろ問題にされてすらいないことがよくあります。

たとえば「バケツの中にはまず大きな石を入れ、ついで砂を入れ、最後に水を入れればいい」というアレゴリーを耳にします。

手元にバケツがあると想定しましょう。1週間という期間の中に、あなたには実に様々なこまかい予定や出来事があります。バケツの中に、そうしたこまかな予定、つまり小さな石か砂を先に入れてしまうと、すぐに半分ぐらい埋まってしまいます。

そうすると、あなたにとっての重要で大切なこと、「人間関係作り」「自己啓発」「健康な身体作り」「子どもとの時間」「将来の計画」といったようなこと、つまり大きな石が入るスペースがなくなってしまいます。

そして、あなたにとって重要なことが、また先送りされてしまうということになってしまいます。

第三の習慣 重要事項を優先する 重要事項を優先する方法 ~大きな石を入れる|フランクリン・プランナー

私はこういう説明にはごまかしがあるとしか思えません。

大きな石を先に入れれば、きちんとそれがバケツに収まり、かつ小さな砂までも入ると言いたげです。それは石と石の間にスキマがあるせいですが、これこそ、時間不足の問題を量的にとらえ切れていない証拠です。

粒度を揃える

お金に換算すればよくわかります。これがタスクシュート側でよく使う比喩なのですが、「あなたにとっての重要で大切なモノ」を先に買ってしまったら、どうなるでしょう?

「人間関係作りのためのパーティ費用」
「自己啓発のための勉強グッズ」
「健康な身体作りのためのフィットネス費用」
「子どものための知育玩具」

以上にお金を使ううちに、家賃も払えなくなったとしたら、家から出て行かねばなりません。

「実に様々なこまかい予定や出来事」=食費、光熱費、水道代、ゴミ袋代などなど。それらはたしかに「自己啓発のための勉強グッズ」ほど高尚とは言えませんが、むしろ絶対に「重要で大切」です。

収入は増やせるからまだしもですが、時間は増やしようがないのです。削りようのない時間を削ろうなどと考えても仕方がありません。

そういう考え方を採用する限り「重要で大切」な時間をどんなにがんばって予定に組み込んでみても、「些末で細々とした用事」に結局は追い出されることになり、残るのは自分に対する残念感だけです。

だから次のように考えても、効果が上がらないのです。

ではどのようにしたら、たくさんの大きな石を入れることが出来るでしょうか? 大きな石を先にバケツに入れ、小さな石や砂を後から入れればいいのです。

第三の習慣 重要事項を優先する 重要事項を優先する方法 ~大きな石を入れる|フランクリン・プランナー

私はこれはまったく反対だと思うのです。

まず、先に小さい砂や石を、できれば水から入れてしまうことです。それがタスクシュート式です。それ以上砕くのが難しい単位(1分ごと)の、どうしたって削りようない毎日の行いからまず注ぐことで、バケツ(1日)を埋めてしまいます。

トイレに行かずには済まないでしょう。何度も口にしたセリフですが。食事をせずにもすまないはずです。たとえフランス語の勉強がどんなに大事だとしても、やっぱり削れないものは削れない。

その上で、では次のような議論に対しては、どうするか?

たいして重要でない用事(=砂)を先にあなたの予定に入れてしまうため、肝心の重要な予定(=大きな石)に時間を割くことができないのです。

第三の習慣 重要事項を優先する 重要事項を優先する方法 ~大きな石を入れる|フランクリン・プランナー

先に砂や水でバケツが埋まっていたら、大きな石などそこには入りません。それが現実だからです。それでも大きな石を入れたいのなら、肝心の重要な予定(=大きな石)を砕くのです。そして水と同じ粒度にする。

そうすればもしかしたら、バケツのほんの上澄み辺りに、薄い膜を張るくらいのことはできるかもしれません。

それが「重要な予定」に割くことのできる時間という現実です。

ただし、実際にそれができるとしたら、よほどラッキーなケースで、ほとんどの場合、重要な予定に割くことのできる時間など、0分0秒です。

ムダな時間は削られている。ムダでない時間まで削る

これを出発点とするべきです。この出発点に立ってみてはじめて、どうしても削りがたい日々の用事を削るか、さもなければ重要なことをあきらめるかという、真に価値のある自問を発することができるからです。

判断とか決断といったものはそもそも、考えるに値する問題を考えた末にできることのはずです。

「ムダな時間を削るべきかどうか?」とか「時間が有り余ってやる気も満々な時なら、重要なことをした方がいいか?」などという問いに答えるのに、どうして思考力や決断力が必要でしょうか? そんな問題なら「イエス」に決まっているではないですか。

先に大きな石(重要で価値のある時間のかかること)をバケツに入れさえすれば、それができるというほど簡単ではないのです。そんなことなら、みんなとっくにできるようになっているから、フランス語も中国語も英語もブログもプログラミングも筋トレもマラソンも、いまよりずっと相対的価値が低くなってしまうでしょう。

そうではなく、砕くことです。

どうしても1日50分かかるものを、5分か10分にする。それで効果がそれなりに上がるように工夫する。そうしてこそ「工夫」というものです。

そして、翌日の5分が前日の5分の「続き」として機能するようにする。そのへんが難しいのです。5分だけでは、昨日やってことを思い出すので精一杯でしょう。ですから記憶には頼れないのです。記憶に頼れなくなるから、記録が必要になったりもします。

もしどうしても1日に5分や10分ではなんの効果も感じられないなら、あちらこちらにかけている必須行動(たとえばトイレ)の時間を1~2分ずつ削り出す。そういうことをするためにも「自分が1分以上の時間を使ってしている全ての行動を洗い出す」という作業が必要になるわけです。

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▼編集後記:
佐々木正悟



6月20日 第7回タスクシュート超入門(東京都)

というわけで、タスクシュート式仕事術のセミナーを開催します。今回で7回目となります。
使うツールは、TaskChuteかたすくまに限定です。みなさまのご参加、お待ちしております。