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ノマドのためのタスク管理の技術#02:「仕事ロボット」にスイッチを入れる



佐々木正悟 「仕事ロボット」とはいったいなんでしょう?

クラウドにせよモバイルにせよ「いつでもどこでも仕事ができるようにした」として、それはあくまでも仕事可能になったという条件に過ぎません。仕事をする気になって、実際仕事がはかどらなければ、条件がいくら整っても仕事は進まないのです。

「うーん」とうなったまま仕事が進まない。「じゃあカフェにでも行ってやろう」というとき、人はそこに何を期待するのでしょうか?

カフェに行って「ロボット」のスイッチを入れる

私には「執筆ロボット」がいます。これがなかったら私は絶対に今まともな生活がおくれていません。それほど「彼」には頼り切りです。「彼」にスイッチが入りさえすれば、「私」にはできない速度でタッチタイプしてくれますし、そうしながらアイデアを考え出し、文章を整えてくれたりもします。

「私」が考えることは常にただ1つ。「執筆ロボット」にいかにスイッチを入れるかということだけです。

「運転ロボット」などは車に乗り込みさえすれば作動しますし、Tiwtterロボットなどの作動も簡単です。しかし「執筆ロボット」はちょっと面倒で、少なくとも「運転ロボット」や「Twitterロボット」のスイッチを切ってからでないと、作動してくれません。

「じゃあカフェにでも行って原稿を書こう」と人が言うとき、カフェに行けば「執筆ロボット」のスイッチが入るという期待を込めているのです。この期待はやり方次第で十分報われうるものです。

なぜならカフェに行くと、可能な行動に制限がかかるからです。カフェに行って寝っ転がったり、エッチなサイトを見まくったりするのは、自然とはばかられます。また自分でコーヒーをいれるわけにもいきません。眠ることも難しい。

言い方を変えましょう。カフェに行くと通常はいりがちな様々な「ロボット」のスイッチが落ちるのです。結果として「執筆ロボット」などの「ロボット」のスイッチが入りやすい環境が整います。

「いつでもどこでも仕事ができる」という贅沢さは制限された環境を手に入れられる贅沢さ

私達はつまりわざわざカフェに行くことによって、行動に自然と制限のかかる環境を手に入れるというわけなのです。ここは強調しておきたいのですが「自然と行動に制限のかかる環境」は贅沢な環境です。

不自然な制限は、窮屈さによるストレスを感じさせます。しかし自然な制限はストレスを感じさせません。むしろ人をリラックスさせます。温泉などはよい例です。温泉でできることなんて本当に限られています。極端に言えば裸になって座ることしかできないのです。その窮屈さをストレスに感じる人はしかし少ないはずです。

技術の進歩を見る以前には、カフェなどで仕事をするのはずいぶん面倒か、不可能でした。だから私達はオフィスや書斎など「何でもできるところ」でしか仕事をすることができなかったのです。「何でもできるところ」ではあらゆる「ロボット」のスイッチが入りっぱなしなので「特定の大事な仕事のためのロボット」のスイッチが逆説的にも入りにくいのです。

作家を「カンヅメ」にして作品を書かせたのは、間違いなくそういうやり方です。「カンヅメ」は古い時代のノマドでした。ただ、結局そういう「贅沢」なことができたのは「先生」に限られていたのです。

自然に制限がかかる時空間は贅沢であるという観点は大切です。このように考えないと「何でもできる時空間」で「あらゆることをしてしまう」でしょう。それではなにもなりません。この問題は引き続き検討していきましょう。

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