先週耳にした佐々木正悟さんの言葉がずっと気になっています。
その言葉は、J-WAVEの「POWER YOUR MORNING」という番組で別所哲也さんとの対談の中で出てきました。
J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 別所 哲也 :J-WAVE 81.3 FM
内容をかいつまんで紹介すると、
- 東京という街にはいろいろなものが集まっている
- ストレスも夢も多い街である
- 可能性がたくさんある、あるいは選択の余地が多分にある
- 選択過剰が人をストレスに巻き込む
- これだけ選べるんだから、損くさい選択をしたくない、というプレッシャーがかかる
ということで、気になったのは「人は損をしたくない」という言葉です。
効率の良い方法を求めるのは間違いではないが正解でもない
気になっていることの根っこにあるのはこういうことです。
選択肢が多い中で、後悔のない最良の選択をしたいと誰しもが思うでしょう。でも、いつまでも選んでいるわけにはいかないので、どこかのタイミングで、好むと好まざるとにかかわらず手近にある選択肢をとりあえずつかみ取って、次に進むことを余儀なくされます。
「もっといいチョイスがあったかもしれないのに…でも、それを確かめる時間も術も今はない」というモヤモヤ。これがストレスになります。
僕自身がもっとも気になるのは、方法を探している間は、行動は停止していることです。カーナビが「ルート検索中」のままクルマはアイドリング状態になっているようなものです。
最適なルートが見つからなければ、見つかるまで待つのではなく、とりあえず走り出してみる。そうすることで、“検索結果”も変わってきます。
カーナビがいつも正しいルートを示すわけではないのと同様に、方法も常に正解に導いてくれるわけではありません。ある時、ある条件で、ある人がやってみてうまくいった方法が、別の時、別の条件で、別の人がやってもうまくいくとは限らないのです。
勉強してから行動すると損をすることがある
以前、とあるセミナーの懇親会で知り合った方の話を思い出しました。
「近く起業しようと考えていて、いろいろ情報収集したり勉強したりしてるんです」
とても気になる一言です(なぜ気になるかはここまでお読みいただいた方にはおわかりいただけると思います)。
これを聞いた時、ふいに大学受験時代のことを思い出しました。
試験範囲をまんべんなく勉強するのではなく、志望校の赤本(過去の試験問題)を徹底的にやってみて、そこに出てきた分野を重点的に攻略すれば合格できる──。
この考え方を教えてくれたのは、和田秀樹さんの『受験は要領』という本でした。
思えば、この本はムダな勉強をしたうえに志望校に合格できない、という受験生にとっては最低最悪の損を回避するためのバイブルでした。
合わせて読みたい:
『受験は要領』は受験生時代に繰り返し読み込んでいたのですが、すでに絶版。現在は改訂版の『新・受験は要領』が入手可能です。
↓やはり「方法」ではない、と主張されています。
実際に私の本を読んで成功した受験生に話を聞いてみると、彼らは私の本を“マニュアル”としてではなく、一種の“思想本”として読んでいたことがわかる。本から「受かるための要領」というコンセプトを吸収し、本に出ているノウハウを、より自分に合った形にアレンジしているのである。
たとえば、5章でお話しする「朝の15分を前日の復習に当てる」というやり方にしても、私の経験から導かれたノウハウである。だから人によっては朝の15分より「夜寝る前の10分」、あるいは「昼休みの20分」のほうがいい結果が出てくる可能性もある。
重要なのは、「朝か昼か」ではなく、「効率よく記憶に定着させるには、短い時間の反復が効果的」というコンセプトなのである。これさえつかんでいれば、多少やり方は違っても、自分にとってもっとも効果的な“自分だけのマニュアル”を作れる。受験に強いヤツほど、実はこうした“自分だけのマニュアル”をたくさん持っているのである。(p.144)
読み返してみると、これは受験生にとっての“ライフハック本”であると同時に、大人にとっては、いつのまにか失われていた要領を取り戻すための一冊と言えそうです。
» 新・受験は要領 (Challenge & Success―和田式合格のストラテジー)
社会人向けには坂本桂一さんの本が良いかもしれません。この人の下で働くのはシビれそうですね…。
「マーケットがありません。マーケットがないところで商品をつくって売ろうなんてばかげています」と、なんとか開発を阻止しようと説得を繰り返すのである。そのたびに、私は彼らにこういわなければならなかった。
「マーケットがないから売れないというのは、いったいどういう理屈なんだ。インターネットのブラウザソフトだって、ついこの間までそんなマーケットはなかったじゃないか。インターネット関連のツールがブラウザしかないのなら、それはチャンスと考えろ。新たな市場を私たちがつくって独占してしまえばいいという発想がなぜできない」
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