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『一生太らない体のつくり方』でエネルギーの“不労消費”を増やす

ダイエットには大きく2種類に分けられます。1つは食事の内容や方法を変えるアプローチ。もう1つは運動を取り入れるアプローチ。前者がエネルギーの「入り」を減らすことに主眼を置いているのに対して、後者はエネルギーの「出」を増やすことを目指しているといえます。

食べたものをひたすらメモすることで、自分でも気づかないうちに食事量を抑制するようになることを狙った『いつまでもデブと思うなよ』は前者のアプローチといえます。

一方、最近読んだ『一生太らない体のつくり方』という本は後者のアプローチをとっています。ポイントは放っておいても「出」つづける状態に持っていくことにより、エネルギーの“不労消費”が実現すること。

運動をしていない時でもエネルギーが消費される体をつくる

脂肪を落とす「戦略」としては、「摂取エネルギーに対し、消費エネルギーを大きくする」ということしかありません。

わかりやすくいい換えれば、「エネルギーの赤字をつくる」ということです。今までせっせと蓄えてきた、脂肪という貯金をどんどん使いましょうということです。(p.23)


だからと言って、闇雲に運動をすればいいというものではありません。もちろん、運動すればしただけのエネルギー消費は得られるでしょう。でも、運動をやめた途端に消費もストップするとしたら、運動にかけられる時間がダイエットの限界になってしまいます。例えば、一日1時間しか運動に割けない、週末しか運動する時間が取れない、ということなら、そこで頭打ちになってしまうということです。

一方、運動をしていない間でもたえずエネルギーの消費が行われるとしたらどうでしょう? お金に置き換えれば、不労所得が得られる状態です。エネルギーの“不労消費”を実現するための方法が解説されているのが本書ということになります。

筋トレ“投資”の“リターン”を最大化するには?

人には「基礎代謝」と呼ばれる「普通に生きていれば消費するエネルギー」があります。お金でいえば、家賃がこれに当たるでしょう。収入が減った時に、最も手っ取り早い節約方法は家賃の安い部屋に引っ越すことですが、エネルギーについても同じことがいえます。

誤解されている人が多いようですが、代謝、すなわち、人間が消費するエネルギーで、もっとも大きな割合を占めているのが基礎代謝です。その割合は、消費エネルギー全体の60パーセントから75パーセントにおよびます。運動などの活動によって消費されるエネルギーは、20パーセントから30パーセント程度に過ぎません。(p.35)

つまり、がんばって運動をしてみたところで、それは消費エネルギーの2割か3割でしかない、ということです。収入が減った時に、ケータイの使用頻度を下げたり、今まで吉野家で大盛りを頼んでいたのを並盛りで我慢することでしのごうとすることに近いかも知れません。つまり、支出の大半を占める家賃を削らないことには生活はちっとも楽にならないのです。

では、どうすればいいか。

それは、いうまでもなく基礎代謝を上げること。そのためには筋肉を増やすことです。筋肉が増えるということは馬力が増すということですから、車でいえば燃費が悪くなることになります。基礎代謝を高めるとは、燃費の悪い体に作りかえることを意味するわけです。

三ヶ月間、筋トレをすると、安静時代謝が5パーセントから7パーセントくらい増えます。中肉中背の平均的な成人男子なら、一日あたりにすると、100キロカロリーから150キロカロリー増えるということです。これは、45分から60分間のウォーキングによって消費されるカロリーとほぼ同じです。(p.89)

これぞ不労消費です。「筋トレ」に“投資”することによって、何もしなくてもこれだけの“リターン”が得られているわけです。

当然、筋トレのやり方にもノウハウがあります。本書は前半で基礎代謝の重要性を解説し、後半は効果的な筋トレの方法を詳しく紹介しています。巻末には切り離して使えるイラスト入りのトレーニングメニューもありますから、読み終えたらこのメニューに沿って取り組むといいでしょう。僕自身もこのメニューに従って日々“投資”をし始めました。

自分にあった“投資”スタイルを見つける

ダイエットを「傾いた経営の建て直し」になぞらえるなら、

 食事アプローチは人員整理であり、
 運動アプローチは設備投資に当たるでしょう。

人員整理をすることで固定費(人件費)は減らせるかもしれませんが、それでは人手不足で業務が回らなくなります。一方、設備投資をすることは、一時的には赤字になるかもしれませんが、その効果はじわじわと現れるはずです。

食事制限だけのダイエットの問題点として、脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまうことが挙げられていますが、この状況はまさに人手不足といえます。優秀な社員が辞めることによって彼らが保有していたコンピュータスキルも一緒に流出してしまうわけです。コンピュータ〈設備)があっても、これを操るスキル(人員)がなければ、せっかく固定費を減らすことができても満足のいくアウトプットは出せなくなってしまいます。

最高なのは、少数精鋭で優れた設備を持つこと。すなわち、カロリーが低く筋肉に効く食事をしながら、筋トレをするというライフスタイル。もちろん、それでは楽しみがありませんから、ここを目指すべきポイントとして定め、あとはどれだけここから離れないところで楽しむ余地を見つけられるか、ということになるでしょう。

そんな自分に合った“投資スタイル”を見つけるうえでも、本書は参考になるはずです。