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ストレングスファインダーを11年ぶりにやって自分の強みの活かし方を改めて考えた

By: Chris PotterCC BY 2.0


大橋悦夫ストレングス・ファインダーに初めて取り組んだのは今から11年前の2002年1月21日のことでした。それから11年後の今年2013年1月10日にもう一度受けてみました。

ストレングス・ファインダーとは、180問の質問にオンラインで回答することで、34個ある「強みとなりうる資質」(要素)のうちの5つが明らかになる、という診断テスト(『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』に綴じ込みでついてくるアクセスコードを使うことで受けられます)。

ロールプレイングゲームであれば、ドワーフなら戦士、エルフなら魔法使い、ホビットなら盗賊といった、それぞれの種族がもつ「強み」を活かした職業選択が当然のように行われますが、現実世界ではそういったビルトインな強みが明確に把握されておらず、従って職業(=生き方)の選択はある意味「行き当たりばったり」に決まっているところが否めません。

自分という人間がどんな強みを持っているかが明確にわかっていれば、その強みを最大限に活かした生き方ができるでしょう。でも、そういった生き方が実現できている人はあまり多くないようです。

ストレングス・ファインダー開発者らによる『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』によると、

ギャラップはこれまでに63カ国、101の企業で働く1700万人以上の従業員に、先ほどと同じ「最も得意な仕事をする機会に毎日恵まれているか」という質問をし、その結果をデータベースにまとめているが、実際に何%の従業員が「恵まれている」と答えたか。何%の従業員が自分の強みを発揮できていると実感していたか。

答えは20%だ。この地球上で、企業に勤める従業員のわずか20%しか、自分の強みを毎日発揮できていると感じていないのである。

この調査ではさらにおぞましい事実も明らかになった。それは、勤続年数が長くなり、従来どおりの出世コースを進むにつれ、自分の強みが活かされていると思えなくなる人が増えるということだ。(p.9)


「自分の強みが活かされている」と思えるためには?

「自分の強みが活かされている」と思えるためには、そもそも「自分の強み」が何なのかを知っておく必要があります。

それが先ほども書いた、34の「強みとなりうる資質」(要素)のうちの5つの組み合わせです。ここで気になるのは、まずこの34の資質がどのようなものなのか、という点。

もちろん、この34の資質は人間の特質すべてをとらえているわけではない。人の多様性にはかぎりがなく、そのすべてを分類するのは不可能だ。

しかし、この34の資質は、ピアノの88の鍵盤に似ている。鍵盤を1つずつたたいているだけでは、弾ける曲はかぎられるが、いくつもの鍵盤を組み合わせれば、モーツァルトからマドンナまで、あらゆるジャンルの曲を演奏することができる。

34の資質もそれと同じだ。この資質を踏まえたうえで、人を観察し、理解すれば、その人が奏でる独自の旋律を聞き取ることができるはずだ。(p.16)

ストレングス・ファインダーを受けることで、この34の資質のうちの5つが明らかになる、というわけです。

なお、この5つの組み合わせがまったく一緒になる確率は3300万分の1なのだとか…。

11年たったら5つの資質のうち2つが入れ替わっていた

11年前の最初の診断結果は以下の5つでした。

  1. 着想
  2. 慎重さ
  3. 学習欲
  4. 最上志向
  5. 戦略性

そして、今回の診断結果は以下の5つ。

  1. 最上志向
  2. 原点思考
  3. 戦略性
  4. 慎重さ
  5. 親密性

最初の5つのうちの2つ「着想」と「学習欲」が「原点思考」と「親密性」に入れ替わりました。

5つの資質の順番も重要で、上位に来ている資質ほど無意識に活用しているそうです。

その意味では、「最上志向」が4位から1位に、「戦略性」が5位から3位に上がっており、代わりに「慎重さ」が2位から4位に落ちているという順位変動にも何か意味がありそうです。

それぞれの資質については『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』にて以下のような解説が付されています(今回入れ替わった2つのみ引用します)。実際にストレングス・ファインダーを受けてみて、出てきた5つの資質の解説をピックアップして読んでみられるといいと思います。

原点思考

あなたは過去を振り返ります。そこに答えがあるから過去を振り返ります。

現在を理解するために、過去を振り返ります。あなたの見方からすると、現在は不安定で、訳の分からない喧騒が入り乱れています。現在が安定を取り戻すには、過ぎ去った時――すなわち計画が立てられたとき――に心を向けてみる以外方法はありません。

過去は今より分かりやすく、計画の基礎が築かれたときです。振り返ると、計画の原型が現れるのが見えてきます。そしてあなたは、初めの意図が何であったのかを知ります。

この原型、あるいは意図はあまりにも飾り立てられてしまって、本来の姿がほとんど認識できなくなっていますが、この原点思考という資質によって、これらが再び現れます。

このようにして原型や意図を理解することは、あなたに自信を与えます。

あなたは元々の考え方を知っているので、もはや方向を見失うことなく、より適切な判断を下すことができます。仲間や同僚がどのようにして今のようになったかを知っているので、あなたはより一層彼らの良きパートナーとなります。過去に蒔かれた種を理解しているために、あなたは自然に将来をよく見通すことができるようになります。

初対面の人や新しい状況に直面すると、自分をそれに適応させるのにある程度の時間を必要とするでしょうが、その時間を取ることを心掛けなければなりません。

あなたは原型が表面に浮かび上がるような質問が必ずできなければなりません。なぜならば状況がどうであれ、過去の原型を見たことがなければ、あなたの決断に自信が持てないことになるからです。

親密性

親密性という資質は、あなたの人間関係に対する姿勢を説明します。

簡単に言えば、親密性という資質によって、あなたは既に知っている人々とより深い関係を結ぶ方向に引き寄せられます。

あなたは必ずしも未知の人たちと出会うことを避けているわけではありません――事実、知らない人と友人になるスリルを楽しむような他の資質を、あなたは持っているかもしれないのです――しかし、あなたは親しい友人のそばにいてこそ、大きな喜びと力を得るのです。

あなたは親密であることに心地よさを感じます。一旦最初の関係ができあがると、あなたは積極的にその関係をさらに深めようとします。あなたは彼らの感情、目標、不安、夢を深く理解したいと思っています。

そして、彼らにもあなたを深く理解してもらいたいと願っています。

あなたは、このような親密さがある程度の危険性を含んでいることを知っています――あなたは利用されるかもしれないのです――しかし、あなたはその危険性を解かった上で受け入れます。

あなたにとって人間関係は、それが本物である時のみ価値を持ちます。そして、それが本物であるかどうかを知る唯一の方法は、相手に身を委ねることです。

互いの気持ちを共有すればする程、お互いの危険性も大きくなります。お互いの危険性が大きくなればなる程、自分たちの意思が本物であることを、よりはっきりと証明できるのです。

これらが真の友情を築き上げるための一つひとつのステップであり、あなたはそのステップを喜んで進んで行きます。

※残り3つの資質については、以前エントリーを書いていますのでご参考まで。


「5つの資質」をどのように活かせばいいか?

ストレングス・ファインダーは180問の質問に答えるオンラインテストですが、1つの質問に与えられた制限時間は20秒。この時間を過ぎると強制的に次の質問に移ってしまいます。

結論が下せなかった質問については重要ではないから大丈夫、という解説がありましたので、直感に沿って答えていけばOKです。

おおむね30~40分くらいで終えられるでしょう。

こうして得られた診断結果をどう活かせばいいか。個人差はあるにせよ、おそらく「意外と当たっていてびっくり」という感想をもたれるのではないかと思います。

活かし方については、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』にも詳しく解説がありますが、それを端的に表現しているのが以下のくだりです。

われわれ人間は本質的には変わらない。そのことを踏まえ、自らの才能を素直に受け入れ、その才能を中心に日々の暮らしを集め直すことで、われわれはより自覚的になれる。(p.52)

軸となる棒をしっかり持つことで、自然とその棒の周りに綿菓子がまとわりついてくるように、自分の核心ともいえる軸を常に意識することで、必要な人や物や情報が自然と集まってくる。これが「才能を中心に日々の暮らしを集め直す」ということなのではないか、と僕は解釈しています。

5つの資質1つ1つについて、その解説を読み、同意できるところがあれば、それを仮の指針として受け入れるようにします。

たとえば、「原点思考」であれば「初対面の人や新しい状況に直面すると、自分をそれに適応させるのにある程度の時間を必要とするでしょうが、その時間を取ることを心掛けなければなりません」という記述に同意できる、と思えたなら、

  • 新しい状況に向き合ったら、即座に判断を下さずに過去の類例を探してみる

という指針を導き出します。

こうした指針がないと「なるべく早く結論を下さなければ」という一般的な指針が採用されることになり、そこに自分らしい工夫を加える余地が少なくなってしまいます。

指針を持つことで、意志決定に一定の方向性を加えることができます。そのようにして望ましいと思える結果が出ればその指針を正式に採用していけばいいですし、そうでなければ指針を改めます。

大事なことは、誰かの指針をそのまま真似るのではなく、診断結果から導き出している、という点です。ストレングス・ファインダーというテストがどれだけ信用できるのか、という懸念もあるでしょうが、少なくとも自分とまったく異なる考え方を持っているかもしれない人の指針を闇雲に真似てみるよりは失敗が少ないのではないか、と思います。

毎朝「しないことリスト」や「クレド」をチェックする習慣があるなら、ここに指針チェックも組み込んでしまうと良いでしょう。

最初の結果と2回目の結果を比較してみて思ったこと

1回目の2002年当時と今回の2013年とでは僕自身が置かれている環境はもちろん、仕事の内容も大きく変化しています。

無我夢中でその時々の目の前の仕事に取り組んできましたが、折に触れて「以前はこういう仕事を自分がするようになるとは思っていなかった」という心境の変化を乗り越えてきました。

人の作ったテストですし、ちょっとしたことで診断結果は変わってくることもあるでしょう。でも、11年を経て5つのうち3つの資質が変わらずに残ったということは、僕自身の考え方のある部分はあまり変化していない、ということでもあるのでしょう。

「ブレない」ことが良いことだ言われることがよくありますが、これは日和見主義の対極で、状況がどうあれ、一貫した指針と基準に沿った言動を行うことが、周囲に安心感を与えるとともに、自分自身でもしっくり感が得られるからだと考えられます。

「ブレないようにしなくては」と努力するのではなく、自分にとってしっくりくるスタイルを追求することで、結果として「ブレなくなる」のだと思います。

このしっくりくるスタイルを作る上で、ストレングス・ファインダーの診断結果である5つの資質がヒントになる、と改めて感じました。

本書の言葉を借りれば「常にうまくいき、満足感が得られる場で発揮される才能が真の強み」ですから、気合いを入れたり本気を出したりしなくても満足のいく結果が得られるスタイルを追求したいものです。

ストレングス・ファインダーをもう1度受けるためには?

すでにストレングス・ファインダーを受けたことがある、という方でも、今回の僕のように時間がたっていたり、環境や仕事が大きく変わっているのであれば、もう一度受けてみるのも良いと思います。

そこで立ちはだかるのがアクセスコードの問題。

すでに『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』を購入しているなら、同じ本をもう1冊買うのはもったいないと思いますので、別の方法をご紹介します。

●『心のなかの幸福のバケツ』を買う

ストレングス・ファインダー開発者とその孫による著書です。この本にもアクセスコードがついています(もう1冊、アクセスコードのついた本があるのですが現状Amazonでは中古のみなので割愛)。


●ギャラップ社のサイトでアクセスコードを買う

ストレングス・ファインダーを提供するギャラップ社のサイトでアクセスコードを購入することができます($19.99;クレジットカードのみで米ドル決済になります)。

通常のストレングス・ファインダーとは別に、34の資質のすべての順位がわかるバージョンのアクセスコードも同じページで販売されています($49.99)。


●はじめての方は『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』をどうぞ


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本書の根幹である「バケツとひしゃくの理論」がシンプルながら強烈。言葉とコミュニケーションにフォーカスした一冊です。


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