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もっと早く帰るための5つの技術

翔泳社様より明日、『ルーチン力』という本を上梓させていただきます。100p弱のライトな本で、半分は概念図という、徹底的に「イメージで理解してもらう」ことに力を注いだ本です。

では何をイメージで理解してもらうのかというと、不安から自由になって仕事をするための、ルーチン力です。「不安」というのは心理学でも難しい概念ですが、一般的なビジネスパーソンにとっての「不安」というのは、無用な緊張感です。(必要な緊張感というものも、当然あります)。

「ルーチン力」を高めれば、かなりの程度「無用の緊張」からは解放されます。その分を、集中すべき仕事に注ぐことができます。どうすればそうできるかは、本書をお読みいただきたい(その概念図から直感的に把握していただきたい)のですが、一足先に、こちらでそのダイジェストを紹介させていただきます。

1.車の運転技術のようにルーチン力をつける
2.小さな壁をいくつも設けてモチベーションを高めておく
3.ルーチンワークをスケジュールに組み込む
4.突発タスクに対処する時間を用意しておく
5.電話とメールのチェックを減らし、対処はなるべく翌日に



1.車の運転技術のようにルーチン力をつける

仕事において、多くの作業は繰り返し発生します。一つ一つの作業は単純作業の繰り返しとは限りませんが、全体のパターンは繰り返します。

これは車の運転とよく似ています。教習所では、全く同じパターンの教習にはなかなか行き当たらず、S字クランク、坂道発進、幅寄せ、地図教習と、次から次へと新しいパターンが登場すると感じられますが、運転して10年も経ちますと、運転とは同じ事の繰り返しに過ぎないことがよくわかります。

ドライバーはその間、当然かなり運転技術に磨きをかけています。同じ事を繰り返せば繰り返すほど、人は技術記憶を蓄積させて、洗練させることができるのです。ここを意図的にトレーニングすれば、仕事の対処能力も明らかに高まります。その高められたスキルで仕事を進めれば、短時間で一定の効果を上げたり、一定の時間で仕事の質を上げることができるようになるわけです。

2.小さな壁をいくつも設けてモチベーションを高めておく

とはいえ、ルーチン化することの最大の問題は、飽きることです。これは、人間の脳の特質です。脳は、できるだけ新しいことを知りたい、覚えたいと思っているので、繰り返し受ける刺激に、あまり関心を示さないのです。

というわけで、仕事が繰り返しになればなるほど、退屈になってしまいます。これを押さえるために必要なのが、締め切りと、締め切り後にくる喜びです。

大きな仕事に区切りが付いたら旅行に行く。小さな仕事に区切りが付いたらデートする。単純ですが、こういうパターンを3回ほど繰り返すと、そのパターン行動が強化されます。もちろん、これだけを糧に仕事を進めるのは、じつはモチベーションを損ないかねませんが、これをサポートとして用いることは、必要です。

3.ルーチンワークをスケジュールに組み込む

誰でもが考えつき、誰もがすぐできるという、ライフハックとしては目新しさのないつまらない方法論ですが、なぜかこれを回避される方が多いのです。ルーチンワークはやることがわかりきったことだから、手帳に書くのがばかばかしく思えるのでしょうか。

ルーチンワークを予定として手帳に入れるのは、あるいはGoogleカレンダーに入れるのは、これを忘れないためではありません。そうではなく、すでに時間が取られていることを、声高に主張させるためです。

そうすれば第一に、自分に時間がないことを強く自覚できます。
第二に、他人に対して時間がないことを、ある程度示すことができます。

「時間はある」これは虚偽の報告です。「時間がないワケじゃない」これもウソです。「時間はない」これが本当です。残念なことではありますが、現代人は慢性的な時間不足で、「あとで」やろうにも、「あと」にもどこにも時間の空きがありません。

これをつねに自分の目で確認する必要があります。予定でびっしり詰まった手帳をじっと眺め、そのいずれも「本当に自分がしたいこととは違うような気がする」のであれば、もう少し余白を増やしたいと感じるようになります。

4.突発タスクに対処する時間を用意しておく

私は派遣社員時代、一時期「突発タスクがすべてのタスク」という状態におかれまして、とても困りました。このような事態に置かれてみて、初めて、「自分の仕事」をするための特別の時間を設けないと、頼まれた仕事のせいでできなかった仕事のことで、仕事を頼んだ方から叱責される、という事態があり得ることを知りました。

誰もがするように、こうなれば

・突発タスク用の時間
・突発タスクでないタスク用の時間

の二通りの時間を用意する、という方法をとらざるを得ません。すなわちこれが、「突発タスクに対処する時間を用意する」というやり方です。

「分けることにどういう意味があるか」というよりも、「分けなければ自分の仕事をする時間がなくなる」のです。自分自身のルーチンワークは、継続的にこなして初めて結果が現れてくる場合が多く、1日放っておいてもその危険は目に見えて現れません。これがじつに恐ろしいことなのです。

放っておかないようにするには、手当てする時間を設けるしかないでしょう。結果として、「突発タスク」を頼んだ人に、若干待ってもらうことになりますが、その人がどれくらい待つことができるかがわかってくると、突発タスクにも対応できるようになっていきます。

5.電話とメールのチェックを減らし、対処はなるべく翌日に

特にメールですが、メールに対応する時間と、時間の長さをあらかじめ決めておかないと、どうしても必要以上に長くかかってしまいます。メールからは、他の仕事が派生しやすいからです。

メールを頻繁にチェックし、気になるものはその場ですぐに対処する。それは結局「突発タスク」に他なりません。突発タスクにかかる時間と、ルーチンタスクにかける時間とをせっかく分けたとしても、ルーチンワーク中にメールという突発タスクに対処していては、どうにもなりません。

すなわち、メールチェックというルーチンワークは、チェックだけで済ませ、それから派生する仕事は、他に用意した時間を当てるのが理想的でしょう。常時メールをチェックしないと不安でも、せめて1時間に一度程度に絞りたいところです。