6月に読んだ5冊

カテゴリー: ビジネス心理書評

恒例の「今月読んだ本」シリーズですが、今月から「5冊」に減らしました。厳選するためです。なおリストをご覧いただくと分かりますが、佐々木が今月読んだ本のリストなため、「最新刊」から「今さら刊」まで時間の幅があります。

10冊なら中間地点の第5位。

もしも落ちこぼれが社長になったら…
実藤 裕史


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非常に「読ませる本」です。一気に読めます。
いわゆる「社長本」でも、一部物語のように、「主人公」に感情移入できる「自伝的奮闘記」になっていて、おそらくIT起業にほとんど関わりのない人でも、充分面白く読めるでしょう。

「落ちこぼれ」とは言うものの、子供の頃から明らかに才気活発で、その才気活発さが、人生に極端なアップダウンを生んでいるようなところも読み取れます。現実に起業しないまま、起業する苦境と喜びの一端が味わえます。そういう意味では、非常に小説的な読み物です。

» 書評『もしも落ちこぼれが社長になったら…』 

第4位。

謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦
須田 将啓


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同じく「起業奮闘記」ですが、こちらはもう少し抑制がきいていて、構成も考えられています。どんなアイデアが、誰と、どんなふうに実現されていくか、資金繰りはどうするか、といった細かいことが、エピソードとともに紹介されているので、とても興味深く読めるでしょう。

しかし本書の読みどころは、複数人で「起業奮闘記」が書かれている点です。基本的には二人の著者がいますが、関係者による解説も随所に挿入されています。

これは一人の視点ですべてを語られた話とは違って、特定の誰によって語られているわけでもない、一つの「物語」を読めるという意味になります。どんな物語も、それが実話であれば、誰か一人の視点からではわからないものです。整合性は取られていますが、主体の見えない話だけを受け取ることができる。ここにとても面白いポイントがあります。

早くもベスト3。第3位。

レバレッジ勉強法
本田直之


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いかにも「今さら」な感じは否めないでしょうが、こうした本は、内容が良ければいつ読んでも悪くはないものです。最近はビジネス書の出入りが激しいために、少し「前」の本に思えるかもしれませんが、実際にはきわめて新しい本です。

本書がベストセラーになった頃から、いわゆる「勉強本」で、「どう勉強するか」のみならず「何を勉強すべきか」まで踏み込むようになってきました。本書は実のところ、非常に「現実的」な本です。その目標も現実的で、実際の勉強法も、丁寧に解説されている上に、無理のないやり方ばかりです。

本書を読んでいくと、おそらくは頁の耳を折ったり、付箋をたくさん貼ったりするでしょう。しかし、その全てを実践するような性質のものではないと思います。勉強を実践する中で、必要なところを何度か見直すのが、自然でしょう。

» 年収2000万への道 

第2位!

論理療法による3分間セラピー 考え方しだいで、悩みが消える
Michael R. Edelstein David Ramsay Steele 城戸 善一


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「論理療法」の精髄は、本書の副題に見て取ることができます。「考え方次第で、悩みが消える」ということに、気づかせることが狙いなのです。

「心の問題」にほとんど無頓着な人は、「理性」と「感情」は別物としてとらえています。もう少し内省的な人ですと、「理性」も「感情」に左右されているのだ、と考えるでしょう。つまり、暗い気持ちの時には、考え方も暗くなりがちだというわけです。

しかし、「論理療法」はその逆の点を強調します。「感情」は「理性」に左右されるという点です。つまり、暗い自問や理性的な推論が、気持ちを暗くするというわけです。ならば、明るい言語表現や論理的思考が、気持ちを明るくすることもできるはずです。

そのように考えるなら、「ツいてる!」は論理療法の一種、ととらえることもできるわけです。

» 論理的に思考して、気分を変えられるか? 

今月の第1位!

世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ
米谷 敬一


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ややありがちな時間節約本、と思われるかもしれません。「哲学を3分で学ぶ」といった類の本です。

そうした面も否定できません。しかし本書は、まず本の選別基準がよく、心理学の専門書ばかりではなく、ビジネス心理学、犯罪心理学などから、考察の優れた本は片端から取り上げています。

また、ベストセラー・ロングセラーの心理系書籍を、専門家の視点から取り上げているため、とても使い勝手のよい本です。こうしたモノがあったら、と思っていた人はきっと多くいるはずです。私はその最右翼に近かったかもしれません。

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