このコミックは石田淳さんの『続ける技術』をもとにして描かれています。石田さんの『続ける技術』自体、決して読むのに苦労するものではありませんが、なお楽に「続ける技術」を知っておきたいという人には、こちらのマンガの方がおすすめです。
タイトルに「女のための」とはありますが、全く性別に関係のないテーマです。おそらくこのタイトルは、コミックエッセイというカテゴリーの性格上、付け加えられたものなのでしょう。
本書で取り上げられている「続けたいテーマ」は、次の5つです。
・日記
・ダイエット
・家計簿
・節約
・マラソン
簡単な内容から、難しい課題へとステップアップしていくところに、「マンガらしさ」があります。ビジネス書の内容は、ただマンガに直せばおもしろくなるものではないため、多少のストーリー性が必要になるわけです。
主人公が漫画家本人であるところはいかにも「コミックエッセイ」ですが、その「ダメな主人公」が、いろいろなものを続けていくうちに「成長していく」という上昇物語の形式をとっているのです。
したがって最初は「日記」です。主人公も途中、「日記ごときがなぜ続かない?」と自虐的に反省します。日記を書くのは、たとえばダイエットやマラソンのように、苦しいわけでも何でもないからです。
本書に出てくるコツ自体は、目新しいものではありません。以下の二つに要約されています。
・自分に甘くする
・ジャマになるものを排除する
問題はむしろ、この二つの点を「継続が挫折しそうになる」たびに思い出せるかどうかにかかっています。本書にはこの点がかなりよく描けていて、何気ない日常の中で、主人公は「自分に甘くすること」や「ジャマになるものを排除すること」を忘れてしまっている、ということに気づくのです。
石田さんの『続ける技術』をお読みの方はすでに、「ターゲット行動」と「ライバル行動」というキーワードに馴染んでいると思います。しかし、具体的な日常生活のどのような場面でそれらが重要になってくるか、必ずしもイメージしやすいものではありません。陳腐すぎて表現しにくいのです。
たとえば、マンガの中で主人公は、家計簿を続けることに成功しています。どうやったかというと、家計簿を洗濯機の脇に置いたのです。これはライフハックなのですが、ある種のライフハックが他の人に伝わりにくいのは、あまりにもよくカスタマイズされすぎていて、文脈がなければ意味不明に見えるからです。
洗濯機の脇に家計簿を置く→家計簿を続けられる
というライフハックは「衆知」とは呼べないものです。そのため、抽象化するとか、レイヤーを上げるとか、いろんな言い方がされますが、要するにライフハックから見つけ出せる一般的な法則のようなものを、理解する必要があります。それが先に挙げた、
・自分に甘くする
・ジャマになるものを排除する
という2点なのです。
私が思うに、「三日坊主を克服しよう」としている人は、同じようなことを誰しも考え、すでに実践しているはずです。ただ、時に「続けるための細かな事前準備」を忘れるのです。するとそのまま、継続に失敗することになります。このカラクリは、思ったより見えにくいものです。そのことを本書は実によく伝えてくれます。
2010年にも三日坊主に終わるのが怖い、という方は本書を読んで、後悔はしないと思います。類書はいくつも提示できますが、とりあえずこちらを最初にお読みになることをすすめます。
脱・三日ぼうず!続かない女のための続ける技術 | |
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そろそろ最終告知になると思いますが、12月16日(水)に「ライフハック2010 in 大阪」を開催いたします。
テーマは、「仕事を楽しくするライフハック!」です。大阪セミナーは二度目ですが、今回は1泊して懇親会にも参加します。
前回大阪セミナーでゆっくりお話しできなかったという方には、ご参加いただき、絡んでいただければ幸いです。個人的にはマニアックにライフハックを語り合う会にできたらと思っています。
▼お申し込みは「こくちーず」のページからお願いします↓
http://kokucheese.com/event/index/812/