WorkFlowyの入門となる一冊

カテゴリー: R25世代の知的生産書評



クラウドなアウトライナーであるWorkFlowyは、この連載でも何度か紹介してきました。シンプルでありながら、なかなか奥深い知的生産ツールです。

で、このたびその入門書が発売されました。

» クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門 (OnDeck Books(NextPublishing))[Kindle版]


WorkFlowyの基本的な説明と使い方が、重厚に語られております。

概要

目次は以下の通り。

さらに、付録も充実しています。

本書は、これからWorkFlowyを本格的に使い始める人にとって役立つ情報源となるでしょう。そもそもWorkFlowyについての本そのものが絶対的に少ない状況ですし、ここまで掘り下げた本は(現時点では)他にはありません。「とりあえずこの一冊」くらいは言えるかと思います。

本書の内容は著者のブログで開示されてはいますが、やはり順番と内容が整えられている方が読みやすいものです。特にボリュームが多ければ多いほどそうでしょう。断片的な情報であれば、Googleの検索で十分ですが(おそらく著者のブログがひっかかることでしょう)、統合的に情報摂取したいのならば、「本」の方がいいかもしれません。

知的生産を日常的に

でもって、本書は「個人の知的生産」に関する本でもあります。もう少し正確に書くと、「個人の継続的な知的生産」に関する本です。それはつまり「知的生活」に関する本ということです。

知識労働者にとって知的生産は仕事の一部なわけですが、そうでない人にとっては特別な活動となります。そして、それが特別な活動であるがゆえになかなか取り組めないジレンマもあります。だから視点を変え、日常生活の中に知的生産活動を取り込んでみてはどうだろうか__そして、その上でWorkFlowyが役に立つ。これが著者の主張です。

WorkFlowyの特異性はファイルを作らず、すべてを一つのアウトラインの中に入れ込んでしまう点にあります。つまり、日常的な買い物リストやタスクリストと共に、自分が読んだ本のメモや、あるいは書きかけの文章を入れておける、ということです。そのある種のごちゃ混ぜ感が、知的生産が持つ非日常性をはぎ取ってくれるのかもしれません。

さいごに

究極的なことを言えば、WorkFlowyは何のマニュアルも見ずに使い始めることができます。優れたツールの証左です。

しかし、「使い始められる」からといって、「うまく使える」とは限りません。特に、自由度が高く、さらに既存のツールにはない思想を持つ__ファイルを使わないのはかなり異端です__WorkFlowyであれば、「で、何をすればいいの? これで?」となってしまうことは想像に難くありません。

本書は入門の基礎的な話から、「結構マニアックだけど、これ大丈夫?」と心配するような内容まで一通り触れられています。きっと導入のよき導き手となってくれるでしょう。

» クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門 (OnDeck Books(NextPublishing))[Kindle版]


▼今週の一冊:

おそらく本書と対を為す一冊。WorkFlowyはクラウド・アウトライナーなわけですが、アウトライナーとはなんぞやを解説した本です。

» アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術[Kindle版]


▼編集後記:




ようやく、よ~~~~~~~~うやく、初稿を書き上げました。感無量です。でもまだ完了ではありません。が、とりあえずは一段落でふ~と息をついております。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。

» 知的生産とその技術 Classic10選[Kindle版]



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