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ブロガーのためのアクセス数を急に伸ばす方法

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高橋 啓

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最初に断り書きを入れておきますが、SEO対策やはてなブックマークを稼ぐ話ではありません。また、タイトルで「釣る」方法ということでもありません。そういうテクニックに類する事柄ではなくて、マルコム・グラッドウェルの『急に売れ始めるにはワケがある』を、ブロガーが活用するにはどうしたらいいか、を考えてみようという話です。

マルコム・グラッドウェルの本を読んでいるとよく感じることですが、心地よいもどかしさというものがあります。私は「百式」に触れたときにもそう感じました。すごく「使えそう」なネタ満載なのですが、よくよく考えてみると、自分の仕事や生活に、どう活用すればいいのかわからない。

文庫本のオビによれば、ベストセラー作家の勝間和代さんは、本書を「バイブル」としているそうです。その意味はおそらく、「ものすごく活用できるスーパー・マニュアル」といったところなのでしょう。それはうらやましい話で、私などにとって本書は文字通り「バイブル」になってしまうのです。つまり、繰り返し読めば「ご利益」がありそうなのだが、どんな「ご利益」がもたらされているのか、実感は出来ない。「ありがたいお話でございました」で終わってしまいかねないわけです。

そこを「ありがたいお話」で終わらせないために、何か本当に活用する方法はないものか、と考えていたところ、「ブログを幅広く告知するのに、本書で学んだことはそのまま活用できる」ということに気づいたのです。

「ティッピング・ポイント」って何?

まずは原題の確認です。『急に売れ始めるにはワケがある』でも何も問題はありませんが、原題は『ティッピング・ポイント』で、いわばビンッとグラフが急上昇するようなポイントのことです。

株価でいえば急騰とか、ストップ高といったときに、そうした折れ線グラフが現れますが、極端な場合、グラフのメモリのサイズが変わってしまうので、それまでのグラフの意味があまりなくなるような現象です。ブログのアクセス数でいえば、それまで5とか12とかだったのが、いきなり1986などになってしまうような場合です。

そういうときには、何が起きているのかを、グラッドウェルらしくあの手この手で詳述しているのが、『急に売れ始めるにはワケがある』なのです。本書ではその3原則について書かれていますが、ここでは第1の原則だけに話を絞ります。第1原則は「爆発的現象を引き起こす特別な少数者が動くこと」です。その少数者をグラッドウェルは3タイプに分けています。それを

・コネクター
・通人
・セールスマン

と命名しているわけです。

コネクター

コネクターとは、一種異様な社交家です。会話をしていると、とても追っていけないほどの人名が、次から次へと登場するタイプです。聞いている方は片端から忘れていくのに、話している当人は、その1000倍もの人名が完全に頭に入っているような人です。

たとえばあなたが本を出したとします。その本は広める価値があると思って出すわけですが、たいていの場合簡単には売れません。そこであきらめてしまうということもあるでしょうが、あきらめきれない場合には、「ツテ」を頼っていろいろな人に売り込むことになります。その際、果たして何冊くらい売り込むことができるでしょうか?

親友、友人、知人、肉親、親類、親類の友達・・・。普段は疎遠にしている人の所へも、がんばってアピールすることは可能ですが、それをやっても数字はなかなか「爆発的」というところには行かないものです。「ティッピング・ポイント」に到達するのは、一般的な人脈では無理があります。しかし、知人にひとりでも「コネクター」がいれば、話は全く違ってきます

というのも、「コネクター」の「ツテ」は、ふつうの人のそれとは、異様なほどちがっているからです。もちろん「コネクター」は、ふつうの人が「人間関係の面倒くささ」で経験していることの、1000倍もの苦労を背負っているはずですが、そういうこともいとわず、それどころか嬉々としてやれる人々なのです。

もしもあなたがブロガーで、しかもアクセス数を気にかけているのであれば、このタイプ、「コネクター」に着目しない手はありません。このタイプの人はいつでもどこでも、およそ著名なツールであればたいていのところで、かなりの人と「つながって」いるはずです。とりあえずその「つながり」に接続して、目につきそうな形で情報を流してあげるとよいでしょう。とりあげてもらえる保証はもちろんないのですが、この手の人が精力的だということを考えあわせれば、つながっておいて損になることはありません。

通人

コネクターが異様な社交家なら、通人は異様な「生き字引」です。このタイプの人は社交家であることもあるし、そうでないかもしれませんが、いずれにしても、特定の情報に非常に通じているため、その情報を必要としている人からは信頼されているし、関係を保って欲しいとも思われています。

「通人」が情報浸透力を持つのはもちろんです。というのも特定のテーマについては、人が集まってくるからです。「ネットブックの本」を売るのであれば、ネットブックの「通人」が「よい本だ」と言ってくれるかどうかを、気にしないではいられません。

特定テーマについて書くブロガーにしてみれば、「通人」はある意味で恐怖の存在かもしれませんが、味方になってくれるなら、これほど頼もしい人もいないでしょう。「通人」と「コネクター」には次のような違いがあります。「コネクター」はあなたのブログを1000人に広めてくれても、そのうち実際にブログを訪問してくれるのは、10人くらいにしかならないかもしれません。しかし、「通人」は20人くらいにしかあなたのブログを紹介してくれずとも、その20人は必ずあなたのブログを訪問するのです。

そういう意味で「コネクター」とは弱いつながりがあればそれだけでも十分ですが、「通人」とは少々深くつながっておく方が効果的なのです。ブログに間違いがあれば、それを親切に指摘してくれるといったメリットも得られるからです。

セールスマン

セールスマンは、「説得者」です。セールスマンはコネクターとちがって、社交的であってもそこまで広範な人とつながってはいません。またセールスマンは通人とも違い、そんなにあらゆることに通じているわけでもありません。ただし、通人は「教える」ことはしても「説得」はしませんが、セールスマンは「説得する」のです。

これまたブログを例にとるなら、通人がやることは「ブログ記事の本当の価値」を「教える」ことです。読む読まないは読者の勝手であり、類似の他のブログなども「ついでに」教えてくれるでしょう。その情報は基本的に、正確無比を旨とします。

しかしこれがセールスマンの場合、類似の他のブログなどまず教えることはなく、「紹介されたブログは必ず訪れなければならない」という気持ちにさせるわけです。うまくやらないと、当然こちらはいやがられることになりますが、人間は、感情の伝播を常に受けている、ということも忘れてはいけません。どちらの方が幸せに記事を読めるかは、何とも言えないところがあるわけです。

通人は「価値ある」情報を教えてくれますが、その価値は客観的なものです。しかし、セールスマンは「価値がある情報を手に入れた」という気持ちをもたらしてくれます。情報を受け取る側にしてみれば、結局どっちつかずな「価値」であることも少なくはないので、それならば「幸せな気持ち」にしてもらった方がありがたいかもしれないわけです。

(たとえばうちの冷蔵庫ですが、私が「スペック」を徹底調査して買うよりは、妻が「良さそうなセールスマン」の言葉を真に受けて購入した方が、家庭的にはよい結果がもたらされます。)

いずれにせよ、ブロガーが「セールスマンの力」まで借りられれば、それに越したことはないでしょう。コネクターと通人が紹介してくれれば、それだけでまず「ティッピング・ポイント」が起こるはずですが、セールスマンの存在があるなら、ダメが押せます

以上に加え、本書にはさらに二つの「原則」があります。これらの原則を常に意識して、毎日意味のあるブログを書き続ければ、アクセス数の急騰という体験を、遠からず自分のものにすることができます。それがすべてではもちろんないでしょうが、そういう体験が一度でもあると、ブログを続ける新しいモチベーションが得られるものです。

 

▼編集後記:
佐々木正悟
iPhoneOSがアップデートされましたね。個人的に、新しいiPhoneを買うか買わないかでは相当に迷っているところです。今朝までは、少々動作がもっさりしているように思えたので、思い切って買い換えようと決意しかけたのですが、あちこちのサイトやTwitterのlifehackfanなどに寄せられた情報を試すうちに、結構我慢のできる速度になってきて、また迷い始めています。結局買い換えそうな気もしますけど。