先日アップされた大橋悦夫さんの記事にも登場させられているとおり、私はChatworkというツールを使って最近仕事を進めています。これが大変に便利なのですが、なぜ便利なのかをここにまとめておきたいと思います。
なお、このようなツールの利便性については2007年に上梓した『チームハックス』(日本実業出版)の中で、大橋さんとともに長々と書き連ねてありました。あの本でいわんとしていたことは、Chatworkを使っていただくことでおおむね実現されるはずです。
『チームハックス』でいわんとしたことというのは、つきつめれば次の2点に要約されます。
・抱えているプロジェクトを共有すること
・プロジェクトの中のタスクを共有すること
チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術 | |
大橋 悦夫 佐々木 正悟
日本実業出版社 2007-07-26 |
いずれも当たり前のことに思えます。しかし「会社」と呼ばれる組織の大半において、この当たり前の半分も実現されていないものです。
面白いことに「当たり前のことが実現されずに苦しむこと」を私達は「成長への試練」と呼びたがります。にもかかわらず、当たり前のことを実現しようとする精神に対しては、「平凡な発想」と揶揄する傾向があります。だから無用な苦しみがいつまでも続くことになるわけです。
抱えているプロジェクトを簡単に共有できるようにすること
気を取り直していきましょう。
画面左側に縦に並ぶグループチャットの一覧においては、更新されたグループチャットは一番上に移動するようになっています。書き込みが活発におこなわれている順調な案件は上方に集まり、閑古鳥の鳴いている放置状態の案件は下方に沈滞することになるわけです。
このグループチャットの一覧をチェックすることで、遅れ気味の案件(=下方に沈んでいるグループチャット)が見つかりますから、自然とそこから「次にすべきこと」を検討する後押しが得られます。
チャットワークはプロジェクト管理ツールも兼ねるわけです。
「シゴタノ!」大橋悦夫さんによるチャットワークレビュー|チャットワーク (ChatWork)
この機能がとても重要です。これがChatworkとメールを分ける機能であり、Skypeではちょっと使いにくい機能なのです。
Gmailを使えばプロジェクトごとに「ラベル」を作ることで、類似の情報交換を実現することはなんとか可能です。しかし「ラベル」と「グループチャット」は根本的に違います。前者は自分だけが作ったもので、後者は最初から関係者に共有される前提のものです。
「グループチャット」にメンバーを追加すると、追加されたメンバーは同一名称の「グループチャット」を共有することになります。こうなって初めて「プロジェクトに関する情報」をことごとくそこへ投げ込めるのです。
Skypeでもチャットに関しては同じことがやれますが、プロジェクトに関してはChatworkほどのことはできません。
プロジェクトの中のタスクを共有すること
たとえばSkypeではグループ内のメンバーの権限を定義したり、タスクを割り当てたりはできません。
Chatworkは最初から「プロジェクト」を「メンバー」が共有し、そこにどんな「タスク」があって、それを誰が処理することになっているかを意識させる作りになっているため、
・プロジェクトごとにグループチャットを分ける
・どのグループチャットに今注目するべきかが分かる
ようになっています。これをもっともよく示しているのが大橋さんと私だけのグループチャットが7個になっていることです。
大橋さんと私だけがやりとりする場は、Skypeでいえば1つでいいはずです。しかし、いろいろなプロジェクトをお互いが抱えている関係になると、グループチャットごとにプロジェクトを割り当てておいた方が何かと都合がいいのです。
2人で共有しているプロジェクトが7つもあると、どちらもお互いが何を共有しているのかを忘れてしまうのです。覚えていたとしても、「優先順位」はお互い違って感じているでしょう。
しかしChatworkでは共有されているプロジェクトの優先順位は少なくとも並び順に関する限り、強制的に統一されます。これはすごく大事な点です。たとえば大橋さんが私と共有中のプロジェクトのタスクを完了させると、そのグループチャットは私のChatworkでも最上部に並び替えられます。
メールやSkypeだけを使っていても、こうしたことは決して起こりません。「大橋さんがこのプロジェクトの1タスクを完了させたのだから、私も少しはそのことに一定の注意を払うべきだ」ということを、チャットワークはツールで視覚化してくれるのです。
もちろんこのようなことは「共有を可能にするタスク管理ツール」であれば何でも可能でしょう。しかし、連絡手段ではないタスク管理ツールを、共有プロジェクトのためだけだけに利用するというのは、特にフリーランスにとってはまったく現実的ではありません。
大橋さんと私がChatworkにツールを統一できるのは、それがコミュニケーションツールだからなのです。
本文中にも登場した『チームハックス』ですが、改めて読み直してみると書き直したくなりました。
あれからいろいろな展開がありましたし、なによりChatworkのようなツールが登場しました。以前はずいぶんいろいろな苦労をしていたことを読んで思い出します。wikiを使ったりしたのも結局今やっていることをやりたかったからです。
ただまだChatworkにはいくつか期待したいところがありますね。特にグループチャットの絞り込み機能が進化してくれるといいかと思っています。