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ポモドーロテクニックとは何か?

アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門
アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門 Staffan Noeteberg 渋川よしき; 渋川あき

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まずお断りしておくと、本書のテクニックにはさしたる根拠がありません。25分集中し、5分休む。どうして25分なのかが、はっきりしません。認知科学的な解説が差し込まれていますが、はっきり言ってしまうと、ただ書いてあるだけです。

その上、本書に紹介されているいくつもの仕事術は、どれも借り物ばかりです。そういうわけで、あまり紹介する気にならなかった本ですが、実行しやすいことと、実行した場合には効果があるに違いないと思ったので、あえて今回紹介します。

きわめて単純なボトムアップ方式

ポモドーロ・テクニックはきわめて単純なボトムアップ式による仕事術です。

・25分集中して、5分休む。これで1トラックとする
・何に集中したかを、記録しておく
・集中できなかったら、その原因を記録しておく

このような、シンプルな方法を実行する際にはコツがあります。それは、ちゃんとその通りにやらないと、効果のあるなしが判定できないということです。

「このような方法なら、既にこういうやり方でやっている」という人はいるでしょう。25分ではなく15分でやっている、等々。私もそういいたくなります。でもたいていは、それだと話が違ってくるのです。

私は「強制ギブス」と呼んでいるのですが、今ひとつ効果の根拠がはっきりしないユニークな方法論は、相手が言っているとおりにやってみることでしか、効果が体感しにくいものです。私にとっては「TaskChute」がそうでしたが、この方法の効果はやってみることでしか理解できなかったと今でも強く思います。

私はタスクシュートに実際にポモドーロテクニックを組み込んでみました。タスクのいくつかの見積もり時間を25分とし、その直後に5分の休憩をあて、そのタスクについてはiPhoneのアプリでタイマーを計る。これを1日3トラックは実践するようにしてみました。

その結果わかったことは、当面自分には不要だということです。しかし、なるほど25分間集中することが容易でないこともよくわかりました。やってみると著者が本に書いたことの意味はよくわかりました。なぜあの不要とも思える認知心理学の知識の数々を羅列していたのかも、だいたいわかるようになりました。

集中して休むメンタルタフネス

それでも根拠が欲しいというのなら、『メンタル・タフネス』を読みましょう。同じ内容ではないし、『メンタル・タフネス』にあることも、そのいくつかは少なくとも「科学的」とは言い難い内容です。しかし、根拠を示すという意志は『ポモドーロ・テクニック』よりははっきりしています。

両者が言っていることは結局のところ、「私たちは、事前に自分が決めた行動をとれなくなっていることが問題だ」ということなのです。もっといえば「事前に自分が決めた行動を裏切ることが習慣になっている」ということなのです。

そういう要素はいっぱいあります。情報から光から臭いから音まで。何でもかんでも私たちの注意を奪おうと躍起になっています。

ポモドーロ・テクニックとは、トマトのタイマーが集中を持ってきてくれるというものではありません。そういうことはありえないことです。そうではなく、事前に決めたリズムという自由に、しばらく身を任せて、干渉を許さないという状況を設定するのが目的です。

理想的には、その先に至ることが望ましいでしょう。つまり、25分計をスタートさせる前から、生じるであろう集中感覚をイメージできるようになることです。そこまで行けば、タスク処理にもある種の開放感が実感されるはずです。

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▼編集後記:
佐々木正悟

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最近、この本を読み直しています。知識がないとちょっと難しい本のように思えますが、『人はなぜ禁煙できないか?』とタイトリングし直してもいい本です。

はっきり言って、冒頭の「はじめに」だけを読んでみるのもいいでしょう。おそらくそうするには高すぎるとお感じになるでしょうが。