『いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法』が3刷、計15000部となりました。どうもありがとうございます。
やはり、今の時代は、やりたいこととやるべきことが多すぎるのだと思います。だから「先送り」という問題を何とかすることが、個々人の大きな課題となっているのでしょう。
いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法 | |
中経出版 2010-02-26 売り上げランキング : 319 おすすめ平均 |
今回は、私が本書を書くに当たって参考にした、一見関係なさそうなジャンルの本を一挙にご紹介します。「行動経済学」の本です。
予想どおりに不合理
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 | |
熊谷 淳子
早川書房 2008-11-21 おすすめ平均 |
この本に負ったところは、非常に大きかったと言えます。何といってもこの本の中に、「先送りの心理学」がずばり、登場します。
先送りというのは、多くの場合不合理な行動です。その決断も不合理ですし、全体としては、自分を苦しめることになりがちで、しかもやっている人はそのことに自覚があるのです。
それでも先送りする人は先送りしてしまいます。それも繰り返し繰り返し。そんなに法則性のようなものがあるなら、そこには行動科学でいうところの「強化プログラム」があるはずです。もしそれがプログラムであれば、解除することも可能なはずです。
類書に次のような本もありますが、個人的には『予想どおりに不合理』のほうが面白かったです。
人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く | |
遠藤 真美
ランダムハウス講談社 2008-11-20 おすすめ平均 |
行動経済学
行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書) | |
光文社 2006-05-17 売り上げランキング : 2793 おすすめ平均 |
地味な印象ですが、この本はしっかりした本で、おすすめです。冒頭から面白く読み進めることができます。
私の本の参考資料という意味では、「人は計算間違いをしてしまう」という部分がとても勉強になったのです。しかも、本を読んでいる限りにおいては、自分の間違いを自覚することができますが、日常生活の中では、ダメージを負うまでは計算違いに気づきません。
最悪の場合、先送りは先送りではなく、やり忘れになるというわけです。
FREE
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 | |
小林弘人
日本放送出版協会 2009-11-21 おすすめ平均 |
レビューにも見えていますが「こんなにページ数はいらないのでは」と思った人もいるかもしれません。ですが、この本は「FREE」の話以外の部分も、面白いのです。
もちろん、この本の肝は「無料からお金を生み出す戦略」です。しかし、心理的には「無料につけ込まれやすい人の心」にあります。「無料」に損はない。だから「無料」なら何でもやる気になる。これほど「やる気」にさせる方法はあまりありません。
人は、ただやる気にはならなくても、無料だといわれると、ふだんやる気にならないことにまで、やる気を出します。ここにはなんだか、不合理なところがあります。有料だと思っていたものが無料だとなると、価値がないものに価値を見いだしてしまうのです。
時間の使い方には、これよりもなお、不合理な発想があります。何もすることがないとき、人はしばしば退屈を覚えますが、やらなければいけないことに緊張感を覚えたとき、それをやらなくてすむとなると、すごく気持ちが良くなるのです。
だから「先送り」という行動は、これほど良く繰り返され、強化されるのです。
誘惑される意志
誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか | |
山形 浩生
NTT出版 2006-08-30 おすすめ平均 |
以上の話を学術的にきわめてていねいにまとめてくれているのが、本書です。「人はなぜ、自滅的行動をするのか?」の中には、先送りという行動はむろん含まれます。
選好逆転・双曲線割引など、意志と衝動から不合理な行動が生まれるわけを、学術的に考察した内容のまとめです。直感的には納得できないということもありますが、このような公式が存在するということ自体、面白いものです。
河合隼雄さんの評論で知って読んだのですが、このたびスタジオジブリで映画化されるようですね。ちょっと驚いて、読み直しました。
あっという間に読める本です。基本的には子供向けの童話です。どのように映画化されるのか楽しみですが、映画を見るタイミングを得られるのだろうか?
床下の小人たち (岩波少年文庫) | |
ダイアナ・スタンレー
岩波書店 2000-09 おすすめ平均 |