このタイトルを見て、私を知る人は吹き出してしまうのではないかと思いますが、べつにいいわけをしているわけではありません。たしかに私はものすごく道に迷いやすいのですが、とりあえず以下をお読みになってください。
「方向オンチ」でなくても道には迷う
いわゆる「方向オンチ」と思っている人の中で、本当に「方向オンチ」であることはまれです。ネズミにさえ、方向感覚が備わっている以上に、原始的でも優れた方向感覚をおそらく、私たち人間は共有しています。
私たちが自分のことを「方向オンチ」と言うときには、目的地にうまくたどり着けない、地図をもらっても迷う、二度・三度と同じところへ行っているのに道が覚えられない、という悩みを抱えているからです。
じつは私自身がそうなので、この悩みはよくわかります。そして何とかしたいと思ってiPhoneをはじめ、いろいろなツールを駆使しているのですが、それでも道に迷うことはあります。だから、一度訪れたところは、二度と迷わないなどという人を見ると、うらやましいと同時に、不可解な気持ちになります。
しかし、様々な心理実験を通して計測してみると、私自身の「方向感覚」はそれほど平均人に劣っているわけではないのです。優れてはいませんが、特別劣ってもいない。それなのに、人並み外れて道に迷いやすく、道順が覚えられないのには、方向感覚以外の要素が関係していると考えるのが妥当です。
私が道に迷うわけ
道に迷いやすい私のような人間の、弱点とは何なのか。いくつかリストアップしてみます。
・パニックになりやすい
・地図の情報を活用し切れていない
・不適切な目印を利用する
・周りが見えていない
・平面(立体)的な想像力が弱い
まず道に迷う人の大きな特徴として、パニックに陥りやすいことが上げられます。これはなかなか、落ち着こうと努力しても克服しづらい問題です。道に迷い始めたと同時に、すでに頭がパニックになりかけているからです。こうなると、判断力も想像力も低下するから、ますます道に迷いやすくなります。悪循環です。とりあえずは、ありきたりですが多めに時間を見積もる、地図を頻繁に参照するなどして、パニックにならないようにすることが必要でしょう。
次に、道に迷いやすい人が、地図情報を生かし切れないことも多々あります。地図情報を生かし切れないということの意味は、「平面的(立体的)な想像力の弱さ」と連動しています。ここに立ったら、どんな風景が見えるか、何が聞こえてきそうかなどといった想像ができないのです。だから、全くおかしなところを平気で歩いていることになりやすいわけです。
また、目印の選び方が不適切ということもあります。むしろ私などには、なぜ適切な目印が選べるかわからないのですが、時とともに変化してしまいやすいお店や、経路からは見えないはずの建物などを目印にすると、迷うことになります。
そして、周りが目に入っていないこと。地図との照会が苦手という話ともつながってきますが、周りを注意してみていないと、行きは順調でも帰り道で迷います。二度、三度と訪れても、やはり迷います。
このように、じつは道に迷うという人は、地図と想像力を連動させる能力が足りなかったり、周辺情報への不注意のせいで、大事な記憶が抜け落ちてしまっていることが少なくないのです。その他に、地図をうまく回したりするといった、単純なテクニックを適切に活用できていないこともあります。
以上をまとめると、次の通りになります。
1.パニックに陥らない
2.Googleのストリートビューなどを使ってイメージを持つ
3.変わらぬ建物を目印に選ぶ
4.周りに注意して歩く
5.地図を回すのはOK
といったことを私は、以下の本から学びました。認知心理学は、幅広く応用が利くと思うのは、こんな時です。
方向オンチの謎がわかる本―人はなぜ地図を回すのか? | |
村越 真
集英社 2003-04 |
シゴタノ!隔週火曜日担当の堀正岳さんとの「対談コラム」が今日からマイコミジャーナルでスタートしています! 私が張り切ってあれやこれやの「堀式情報整理ハックス」の神髄に迫りますので、今後ともよろしくお願いします。