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アナログでタスクシュートをやるならこれ

佐々木正悟 アナログでタスクシュート式仕事術を実践するのは、まず不可能です。見積もり時間の総和を出すことと、並べ替えが、あまりに煩雑で、とうてい現実的ではありません。

しかし、他にやり方がなければ(たとえば職場でエクセルのマクロが使えないなどの制約があって)付箋と手帳でやるしかないかもしれません。その場合、もっとも回答に近いのが、「テンミニッツ仕事整理術」です。

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これを見ただけで、慣れた人なら「タスクシュート」の考え方に近いとわかるでしょう。一見したところ、手帳に付箋で予定を貼っているだけに見えるかもしれませんが、「OVER」の事例をわざわざ示しているところを見るとわかるとおり、付箋が示しているのは「予定」ではなく「タスク」(予定を含む)なのです。

世界で最初の「タスクシュート本」に限りなく近い本

『テンミニッツ仕事整理術』は東洋経済新報社さんからでた本です。一読してみるとわかりますが、「タスクシュート」の考え方に、酷似しています。

ただし酷似しているのであって、同じではないことには、一応注意してください。もとよりエクセルで数分単位から見積もることの出来るタスクシュートと、付箋で時間を見える化するテンミニッツでは、出来ることに大きな違いがあります。

しかし根底にある発想には、間違いなく共通するものがあります。たとえば、『テンミニッツ仕事整理術』には次のような表現があります。

今日中にしたい仕事が、持ち時間からあふれているということは、スーツケースに荷物がおさまらない状況と同じだ。一度、荷物を詰めてみたけど、とてもスーツケースにおさまりそうにない。もう一度入れ直している。そんなシーンをイメージして欲しい。
 スーツケースに荷物を入れるときは、「これは持っていかないと絶対に困る」ものを一番先に入れていくはずだ。
 これは、今日中にしたい仕事の中でも、「なんとしても今日中に終わらせないと困る! 明日以降に絶対回せない!」という急ぎ、かつ内容的にも重要な仕事に当たる。

多くの手帳術や時間術に慣れ親しんだ人でも、ピンと来ないかもしれません。しかし、タスクシュートの愛用者であれば、何を言っているのか完璧にわかるはずです。

タスクシュートを使っている人なら、「今日」を「スーツケース」に喩え、「タスク」を「荷物」に喩えるというイメージが、非常に理解しやすいでしょう。

どこを読んでも、タスクシュートを使っている言いたそうなことが、書いてあります。しかし、どこを読んでも、タスクシュートのタの字も出てきません。こういうものであるだけに、家でやっている活動はタスクシュートで管理できるけど、会社では出来ないという人は、試してみる価値があります。

1日10分

ところで、本書のタイトルは、やむを得なかったとは言え決していいとは思えませんでした。「テンミニッツ」(10分)とはいったい、何のことを指しているのでしょうか?

たぶん、これの意味を即座にわかる人は、非常に少ないと思います。テンミニッツとは、一日の計画を付箋で組み上げるのにかかる時間が、10分だという理由で付けられているのです。

つまり著者は、たった10分で、一日の流れを把握できるようになるのだから、これほど手軽に出来て効果が上がる習慣もない、と強調しているわけです。なぜそうしたかったかは、よくわかります。「毎日計画を作るなんて、そんなヒマはとてもない」と多くの人に思われたからでしょう。

私もセミナーなどでタスクシュートの話をすると、「佐々木さんは毎日毎日、そんなに正確な予定を組むのに、どれくらいかけているんですか?」と尋ねられます。おそらく「1時間」くらいの時間を予想されているのでしょう。答えはだいたい7分30秒です。だから「テンミニッツ」に誇張はないと知っています。

だからと言って、「テンミニッツ」はわかりやすくはありません。タスクシュート式仕事術を「セブンミニッツ仕事術」などと言っても、ちょっと伝わらないのではないかと思います。

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