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文具で迷う人は必読。文具王の文具ハック

By: Sean MacEnteeCC BY 2.0


究極の文房具ハック—身近な道具とデジタルツールで仕事力を上げる
究極の文房具ハック---身近な道具とデジタルツールで仕事力を上げる 高畑 正幸

河出書房新社 2010-09-16
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おすすめ平均 star
star個々のハックも参考になるけど、それ以上にアナログ、デジタルの融合に関する考え方がいい
star蛍光ペン
star中身の濃い本。よい意味で、中上級者向けです。

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ライフハックが好きな人は、たいてい文具も好きですが、私は文具があまり好きではありません。手先が器用でないのでうまく使えないことが理由の一つで、もう一つはたくさんありすぎて買い物に失敗することが多いからです。

こういうことは以前にも書きました。そんな私にとっては、文具王・高畑さんによる「文房具ハック」はとてもありがたい本です。

なぜある文具を選び、別の文具ではダメかがまずわかり、つぎに買った文具をどう使えばいいかまで丁寧に教えてくれる本です。すなわち文具についてのすべてがそろっている本であり、文具で迷うことがある人は、絶対に買って手元に置くべき一冊です。

剥がせるラベルを多用する

著者の方法が私によく響くのは、私が文具を苦手としているからです。著者自身がそうであるとはとても思えませんが、なぜ文具が扱いにくいのかを、よくわかっているような書き方をしてくれます

たとえば著者は、「貼っても剥がせるラベル」を多用するように強く進めています。なぜなら、貼っても剥がせるからです。つまり、失敗に寛容だからです。

前著もこの本も、著者のスタンスにはこれがあります。「失敗に寛容な道具を探す」ということです。「インデックスは「仮」であるべき」とか「必要な項目から貼ればいい」とか「重要なのは「とりあえず」」と言っているのは、すべて同じ意味です。

著者に言わせれば、整理が苦手な人は、一度貼ってしまうと剥がせないラベルをラベルとして用い、付箋は書籍にしか使っていないからなのです。付箋を何にでも貼る。ペットボトルにも、充電池にも。何でそんなことをするのかはぜひ、本書を読んでみてください。

グリーンの蛍光ペンを使う

蛍光ペンというのは、カラフルですね。いろんな色があります。あれもまた、とても使うのに困るものです。何色にどんな「意味」をもたせたか、よくわからなくなるからです。

ここでも本書の著者はなかなかはっきりとしたアドバイスをくれます。「緑色を使う」です。

なぜ緑色なのか。これは著者らしい大事なライフハックと連動している理由です。著者は会社での書類について、「読んでOKだったところは、すべて蛍光ペンでマークする」のだそうです。全部がOKなら「オールグリーン」。しゃれのためにグリーンを使うのではありません。

問題のなかった箇所はそれとわかるようにマークしておかないと、二度読みしてしまう危険があるのです。また、いちいちマークしていくことで、読んだかどうかを目で判断しなくてすむということもあります。いずれも、いかにも著者らしい合理的な発想で、こういうことを確実にこなすことで、どれほど時間と精神力が節約されるか、著者の姿勢に圧倒されます。

ただこのやり方だと、紙面のほとんどが蛍光ペンで埋め尽くされることになるため、なるべく「目に優しい」色を使う必要があるのです。それはグリーンだと、著者は言うわけです。ブルーなどでも良さそうですが、少なくともイエローでない方がいい理由は明らかでしょう。

もう一つ理由があります。グリーンは上からピンクで塗ると、「枯れ葉のような色になる」のです。このライフハックについても、本書をお読みください。

靴下整理術で「6000兆倍の自由」を手に入れる・・・

最後に本書を読んで損をしない理由として、本書はとても面白いということがあります。本書の面白さとは、本人が至ってまじめに書いていることが、自動的にジョークになってしまっているところです。浮世離れした老学者が喋ると、聞きようによっては全部がジョークになってしまうような面白さです。

「文具王」は非常に几帳面なように見えますが、その几帳面さは行きすぎたライフハッカーによく見られる性格です。つまり「面倒くささから逃れるためなら、どんなことでも厭わない!」という極端な性格の持ち主なのです。

著者は同じ靴下を15足買うことで、「靴下神経衰弱」から逃れられるというライフハックを力説しています。「靴下はつがいを見つけて洗濯ばさみで留める」という作業から逃れられないわけですが、著者には「この些細な作業が、面倒で面倒で仕方がなかった」そうです。

そこで考案した解決策というのが、15足の同じ靴下を買うというもの。そうすれば「15足・計30本の中から無作為に2本を取り出す組み合わせ」のことでまったく頭を悩ませないですむ、というわけです。すべてが同じなら絶対に「つがい」になりますから。

ちなみに、「15足・計30本の中から無作為に2本を取り出す組み合わせ」は約6190兆通りあるそうで、その問題に頭を悩ませることから永遠に解放される「自由」を手に入れたと、文具王は言っているわけです。

私は真似をしたいとはまったく思いませんでしたが、抱腹絶倒させていただきました。

▼編集後記:
佐々木正悟
最近Kindleでの読書にはまっています。読みやすさという点では、結局iPadに及ばない気がしますが、圧倒的なアドバンテージがあります。「軽さ」です。

将来はKindleももっとずっと読みやすくなるでしょうし、iPadももっとずっと軽くなるでしょう。どう考えても電子書籍の時代が来ますね。

今は、とりあえずほとんどの人にとって電子書籍を読むデバイスがiPhoneだから制約が大きいのですが、iPadのように美しい液晶の重さがKindleだったら。

そう、Kindleで本を読んでいて思ったのです。入院して病院で読むならこれだろうと。病院で本ばかり読んでいた私は、間違いなくそうだと確信しました。

健康な人にはわからないことかもしれませんが、枕元に大量の本を置くととても邪魔ですし、重い本は病床で読めないのです。