ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書) | |
奥村倫弘
光文社 2010-04-16 おすすめ平均 |
「これさえ読んでおけば」という本ではありませんが、新書ですし、月間アクセス数が1万に満たない状況にあるなら、読んでおいて損にはなりません。
当今、ブログにおいて「タイトル」はとても大事です。これはいうまでもないことです。なぜなら、そもそもタイトルしか読んでもらえない可能性が圧倒的に高いからです。
私自身は、タイトルの付け方などさっぱり分かっていないので、本書のような本はよく読みます。ヤフー・トピックスのように、黙っていても相当の読者がクリックしてくれるところですら、タイトルにこれほどこだわっているのですから、私のようなブロガーが、何の気なしにタイトルをつけていたのでは、誰の目にもとまらないのは当然でしょう。
一目で分かる効果
効果のあるタイトルの付け方として、一言で要点を述べるなら、「一目で分かる効果」ということになるでしょう。一目で分かる効果を発揮してもらうために、ヤフー・トピックスでは13字以内の見出しという制限をつけているようです。
つまり、短いということです。短く、わかりやすく、インパクトのあるタイトルをつけるとなると、「つり」とか「コピーライティングの技術」が連想されそうですが、そうなってはいけないことが本書で強調されています。たとえば次のような見出しの事例があります。
福田首相が辞任を表明
この、面白くも何ともない見出しでも、ちゃんとクリックされます。確かにニュース自体が人目を引くものではありますが、これを何も次のようにする必要はないというわけです。
絶句!なんとあの福田首相が突然の辞任!
あるいは、記事を読んでもらうために伏せ字を使うというテクニックについても、本書は否定的です。
あの有名政治家が辞任を表明
これでは、わざわざ固有名詞を伏せる理由が分かりません。いちばん大きなバリューである福田首相を隠すことで、見出しがもてるはずだったポテンシャルを落としていると言えるでしょう。
「大切なのは中身であり、コンテンツだ」という言い方はしょっちゅうなされていますが、それは当たり前のことであって、その大事なコンテンツを読んでもらうために、見出しをどう工夫するかを考える必要があるわけです。「あとで読む」すら飽和気味の状況にあって、見出しが目にとまらないようなものであれば、コンテンツは最初からなかったも同然になってしまいます。
本書がためになるのは、ヤフー・トピックスだからです。ヤフー・トピックスというものは、基本的にニュースはまるまる借り物であって、自分たちでコンテンツを作っていないのです。
となれば、見出しを工夫するしかなく、見出しへの注力が大きくなるのは必然でしょう。自分のブログについて、コンテンツが「他人のもの」で、しかも見出しに13字以内という制限があったらどうするか? 「つり」であってもいけない。そのように見方を変えてみれば、きっと見出しについての発想が変化するはずです。
読者は時間の節約ができる
本書はブロガーだけではなく、読者の側にもメリットがあります。見出しについて詳しくなればなるほど、RSSリーダーなどで、無視していい見出しを見分ける速度が速くなるからです。
実際私は本書を読んでから、どれが「つり」なのか以前よりもよく分かるようになりました。「つり」には「つり」の構造があって、どうしてそのようにタイトルをつけたかが分かると、簡単に無視することができます。そしてその速度は、日に日に鍛えられるので向上します。
また、「あまりタイトルに気をつけていない」という可能性を考慮に入れつつ記事を探していくと、思わぬ良記事にあたることができます。あまりタイトルに気をつけていないというのは、言い方を変えると、少しも読みたい気持ちがくすぐられないということです。
以上をまとめて、次のような法則が自分の中でできつつあります。
・読みたい気持ちが瞬時にくすぐられるタイトルには要警戒
・読みたい気持ちがあまりくすぐられないタイトルには要注目
もちろん特に後者の法則には、結果として裏切られることも多いのですが、その場合には「購読登録解除候補」に移動することになります。そういう基準としてタイトルを使うこともできるわけです。
さてこれは一体なんでしょう。(笑)
答えは今年の秋に!