久しぶりに、今月読んだ10冊の本を紹介いたします。今月はいろいろな意味で、収穫の多い読書月間でした。こういう月が続くことを祈ります。
まずは、第10位。
【超保存】アスキー PC特選 ウィンドウズXP[SP3対応]究極操作1000技+α (アスキームック 超保存アスキーPC特選) (アスキームック 超保存アスキーPC特選) アスキー・ドットPC編集部 by G-Tools |
本書は、保存版のムックですから、「読み切った」わけではありませんが、もともと事典的に使うものだと思います。
そろそろXPユーザーの肩身が狭くなりつつありますね。ですが私は、なかなかビスタに移行する気になれません。しかし確かに、徐々にではありますが、マイPCの起動もアプリ起動も遅くなり始めました。
そうなったら、レジストリをいじるとか、診断ソフトを買うなりするという方法もあると思います。しかしそれらを試してみた私には、苦い思い出があります。ですからこうしたムックで勉強し、もっともリスクのない方法ばかりを試しているわけです。
つづいて第9位。
成功本はムチャを言う!? (青春新書INTELLIGENCE (PI-209)) 新田 義治 by G-Tools |
本書は、今流行の「成功本」を横断的に分析し、その「無理のある部分」を指摘し、批判している本です。
批判だけに終わることなく、「自分流のやり方」をもって、成功本を「活用しよう」という提言もされています。
ではどうやって「自分流に活用」するのか?著者は、「自分の性格に応じて、成功法則を応用しよう」と言います。これはあまり見かけない提案です。
成功本をたくさん買って、たくさん読んできた、という方は、本書の方法を試してみるのも良いかもしれません。そうすると、新しい発見があるということも、充分考えられます。
そして第8位。
人を見る目がない人―なぜ人は人を見誤るのか? (セオリーBOOKS) 植木 理恵 by G-Tools |
心理学畑の人間からすると、本書は非常にためになる本です。比較的社会心理学では、「セオリー」に近い知見を総動員し、それらを日常の人間関係に役立てようという、野心的な試みだからです。
そういう試みは、あって当然と思えるのですが、実はほとんどないも同然です。そこにはいろいろな理由が考えられますが、基礎研究を日常事例に応用するとなると、どうしても理論上の飛躍を試みなければならず、それをアカデミックな人間がするのは、リスクが大きいからでしょう。
そうしたリスクを取ったからといって、本人が得るものが大きいとは限りませんから、アカデミーの世界に属する人が、基礎研究にエネルギーを集中しようとするのも無理はありません。本書は、そういう意味で貴重な試みなのです。
もちろん本書の内容にも、無理なところは見受けられます。しかし、そういった欠陥は、本書のような試みがいくつか重ねられるうちに、次第に解消されていくのが自然なのです。
第7位
すぐにできるウィンドウズXP快速&快適技 決定版|SP3完全―「遅い・重い・不調」をスッキリ解消 (Gakken Computer Mook) by G-Tools |
第10位のムックと並び、類書をもう一冊選びました。
それだけ、最近私が、PCの面倒を見る時間が増えている、ということでもあります。
本書を最初のムックよりも上位に持ってきたのは、とりあえずやるべきことが絞られていたからです。効果が上がるのであれば、本書のような本は、薄ければ薄いほど価値が高いとも言えるでしょう。
第6位。
IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣 原尻 淳一 by G-Tools |
何となく「既視感」があって、「今さら」という感じがするかもしれません。しかし、本書が出たのは、決してそれほど大昔ではありません。
今や、急速に本の寿命が短くなって、書籍の「旬」が過ぎるのが急すぎると感じる人も多いでしょう。難しい問題であり、時代の流れとしてある程度は受け入れるほかないのかもしれません。
けれども本書は「今どきの本」であり、しかもロングセラーです。いまだに、郊外のTSUTAYAなどにも一冊くらいは置いてあります。
で、思うところがあって再読してみたのですが、やはりこの本は「ライフハックの源泉」と言えるでしょう。利用しているツールやその活用方法は、今では代替え可能なものが多いとはいえ、「考え方」は健在なのです。さらに、そうした「古いツール」を少々無理をして使っていたところを、今どうしているか、考え直すのも有益な「ライフハック」と言えます。
中間地点の第5位。
あたらしい戦略の教科書 酒井 穣 by G-Tools |
本書は明らかに畑違いの本です。担当の編集さんより戴いた本ですが、自分で買うことはたぶんなかったでしょう。
そうした本を、電車で二往復するうちに読み終わってしまったりするから、本というものは面白いのです。もちろん、面白い本だから、そうしたことができたと言った方が正しいでしょうが。
私などにはわからないような話が、本書では実にわかりやすく、たとえを使って丁寧に説明されています。こうしてみると、文章の書き方を勉強する上でも、有益な一冊です。
第4位。
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891) 福岡 伸一 by G-Tools |
いまや、遺伝子、生命科学、分子生物学抜きでは、脳科学という分野もほとんど成り立ちません。本書のフィールドである分子生物学と、今ブームとなっている「脳」とは、密接な関係にあります。
ですから、脳に興味を持つ人は、自然とこの分野に入り込んでしまうわけですが、とは言っても脳科学だけでも読み物は数多く、そのうえ生物系の本となると、山のようにあります。難しく、専門的な本も数多い。
そうした中からとりあえず一冊選ぶとすれば、間違いなく本書でしょう。入門書としても、「思い出すための書」としても、実に面白く、最適の一冊です。
ここからベスト3。第3位。
時間はどこで生まれるのか (集英社新書) 橋元 淳一郎 by G-Tools |
実用書ではありません。時間管理の本でもありません。いわゆるビジネスパーソンが言う「時間」と、本書で扱う「時間」とは、同じものでありながら、全く違うもののように描かれています。
私は時にこのことについて、あれこれ思いをめぐらせてしまいます。ビジネス書で、「時間管理」「時間活用術」などと言うけれど、「時間」っていったい何だろう?もちろんビジネス書で言う時間こそ、日常生活でとらえている時間と同一であり、もっとも私たちの生活で身近な時間であることはまちがいありません。
けれども「時間」というものは、子供にとって謎めいていて、物理学にとって複雑で、ビジネスパーソンにとっては扱いにくいものです。そうした謎めいたところや扱いにくいところに、不思議な魅力を感じさせるものでもあります。本書はそんな「時間」について、物理学的な視点から、わかりやすく、明快にしてくれます。
第2位!
ゆらぐ脳 池谷 裕二 by G-Tools |
本書こそ、私が待ちに待っていた本です。
これまでも、一度は池谷裕二さんにお会いして、あれこれ尋ねてみたいと思っていました。しかし、本書を読んで、とりあえずそうした欲望が沈静化してしまいました。本書にはそれくらい、「私が聞きたかったこと」がふんだんに盛り込まれていたのです。
もちろん私以外の人が池谷さんに質問し、その答えをまとめた本ですから、私の聞きたかったこと全部が網羅されているはずもありません。それでも、本書からの情報をとりあえず得れば、お忙しいお時間を戴くまでもないか、と思わせてくれる本です。
やってきました第1位!
ここまで解明された脳と心のしくみ (ニュートンムック) by G-Tools |
第2位と第1位とで迷いましたが、こちらを上位にしました。理由は、全体としてはこちらから得られる情報量の方が多いからです。
本書は素晴らしいムックです。不可能なのは重々承知ですが、できれば毎月こうした本が出て欲しい。月間1万円までなら、必ず買います。
そんな本書ですが、町の本屋さんからすでに姿を消して久しくなっています。これはとても残念なことです。類書はほとんどないのですし、「脳ブーム」なのですから、一冊くらいはどこにでも置かれていて欲しいところです。