そろそろ本気で継続力をモノにする!
大橋 悦夫
初めに、念のためにお断りしておきますと、本日木曜日のエントリーは、佐々木正悟の書いた記事です。毎週木曜日だけ佐々木の担当なのですが、今週は特に大橋さんの書籍に対する書評ということで、あえてお断りいたします。
日本能率協会マネジメントセンターより刊行される『そろそろ本気で継続力をモノにする!』(以下『継続力』)は、『シゴタノ!』の大橋悦夫さんの最新刊です。本日発売です!
この本を手に取られる方の念頭にあるのは、「何かを続けたりやり遂げるということが、本当にこの本を読むことで可能になるのだろうか?」といったことでしょう。
私は、大橋さんとの共著が2冊ありますが、大橋さんの考えに触れていると、つねに意識させられることが少なくとも2点あります。それは、
1 「信頼できるモノ」を徹底的に活用する
2 基本的に無理をしない
まず1の方ですが、「信頼できるモノ」という概念は当然ながら「信頼できないモノ」と対になっています。
大橋さんにとって「信頼できないモノ」の代表例は「記憶」です。「信頼できるモノ」はそれに対して「記録」ということになります。
「記憶」の他に「信頼できないモノ」として頻繁に登場するのが「自分」です。これに対抗する1つの存在として「他人」があります。
そういうわけで、与えられたテーマが「継続力」ということになれば、信頼できない「記憶」に頼らず、「記録」をつけるべし、ということになるのですし、「自分」を宛にしないで「仲間」(他人の目)をもっと活用しよう、ということにもなります。
信頼できない「記憶」や「自分」に頼ろうとすると、どうしても「無理」が生じてきます。これは、2の「基本的に無理をしない」という姿勢とぶつかることになります。
大橋さんの基本方針には、「可能であれば無理はしない」という性格がありますから、それを貫くためにも、「信頼できないモノ」に頼ることは徹底して避ける必要があるわけです。そのためにも、各種の工夫や方法が考案されることになるわけです。
したがって、上記の「本当に『継続力』を読むと、何かの継続に役立つのだろうか?」に対しては、「継続するための能力」は誰もが持っているのだから、信頼のおける能力だけを使えばできるはずだ、というのが答えになります。信頼できないモノに頼るクセを、できる限り排除すればいいわけです。
『継続力』を読み通すことで「継続」に関して楽しいハックスがいくつも得られるというメリットもありますが、通読するメリットとして少なくとも1つ保証できることは、「継続力」に関する見方が変わるというところです。
「継続力」といえばふつうは、「やる抜く力」という非常に抽象的なイメージがありますが、「力」というよりもこれは「知識」によって体得できるモノなのです。「知は力」というわけです。たとえればこれは、「闘病する力」が「闘病の知識」抜きには語れないことに似ています。