この1週間でシゴタノ!で人気のあったビジネス書のご紹介。
「本を読んだら実践すべし」、とはよく言われますが、実践すること以上に大切なのが習慣にすること。
いくら新しい知識を取り込んでも、それを自分の習慣(システム)の中に組み込むところまでいかなければ、得られる効果は限定的なものになってしまうからです。
「思い」と「実現」の法則
毎朝4~6キロほどジョギングをしていますが、そのときに欠かさず聴いているのが本書のオーディオブック版。
パッと見は難解で歯ごたえがありそうに見えますが、内容はいたって平易です。ただし、すごいテクニックとか具体的なノウハウの類は一切書かれていません。本質的なことが平易に書かれているのです。
従って、サーッと通読するだけでは得られるものは少ないでしょう。
それが、オーディオブックで繰り返し聴いていると時々ハッとさせられるフレーズが耳に飛び込んでくることがあります。
何回も聴いているのに毎回「あちゃ~」と思ってしまうのが以下のくだり。
あなたは、読んだものによって精神的に成長するのではなく、それについて何を考えるかによって成長するのです。
考えるということは、あらゆる活動のなかで最もむずかしく、ひどく消耗させられるものです。だからこそ、誰もが尻ごみします。
私たちは、つねに思考へと向かうようにつくられています。でも、それは非常に難しいものですから、そこから逃れるため、ほかのことをしたくなります。
だから、暇な時間ができると、たいていの人はせっかちに楽しみを求めようとします。これも思考から逃れるための努力にすぎません。
ほとんどの人びとは、余暇の多くの時間を思考から逃れることに使っています。だからこそ、いまのような状態にあります。考えることをはじめないかぎり、決して前進することはできません。
「読む時間を減らし、考えることに費やしてください」とも書かれています(具体的に何をどう考えればいいのかについてもわかりやすく解説されています)。
考えるためには時間が必要ですが、なかなか日常的に考えるための時間を取るのは難しいもの。そこで移動時間(本が読めない歩いている時間)などのすき間時間を考える時間にするといいでしょう。
僕自身にとっては、ジョギングをしながら本書のオーディオブックを聴くことが考える時間となっています。考える素材は、耳から絶えず入って来ますから、「今日はこれについて考えよう」と決めたら、いったん再生を一時停止して、考えを巡らせます。
走り終えて、気になったフレーズがあれば、書籍版にあたって文字で再確認します。こうすることで耳で聴くのに加えて目でもインプットできるので、記憶に残りやすくなります。すなわち身につきやすくなるのです。
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マニャーナの法則 明日できることを今日やるな
本書は、シゴタノ!で繰り返し取り上げてきた本ですから、もはや何も書き足すことはありません。
一点だけ、今回のテーマに即して挙げるなら、以下の一文です。
仕事のシステムさえ矯正すれば、問題は解決します。
習慣を改めるとは、すなわち仕事のシステムを改めることです。日々行き当たりばったりに目の前に振ってくる仕事をこなしていくやり方はシステマティックとは言えません。
ATMで硬貨を入金したことがある方ならわかると思いますが、投入口にじゃらじゃらっと種別まくなしに硬貨を放り込んでも、きちんと判別したうえでカウントして、正しい合計金額をはじき出してくれます。
すぐれた仕事のシステムというのは、インプットの質や量にかかわらず、常に一定のアウトプットが出せる仕組みといえるでしょう。
そんなシステムを刷新するためのヒントや方法が学べるのが本書です。
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・不安で何も手につかなくなった時のための5つの問い
・仕事と生活に余裕を持つために欠かせない3つのリスト
今週は2冊ピックアップしました。残りは、毎週更新しているランキング「シゴタノ!ベストセラー」(サイドバーにジャンプします;PCのみ)をチェックしてみてください。
最近読んだ本/読んでいる本
習慣つながり、ジョギングつながりで一冊。
『マラソンは毎日走っても完走できない』というタイトルからして、走っている人にとっては中身がとてつもなく気になります。『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』という本がありましたが、このタイトルも気になりますねぇ。。
余談ですが、中谷彰宏さんのオーディオブックを聴いていたら本のタイトルについて次のようなことが言われていて、「いやまさにその通り!」とガッテンしたのを思い出しました。
- タイトルは客引きの声
- 良いタイトルはツッコミを誘発する(え、どういうこと? ホントに!?)
上記の2冊でいえば「完走できない? なんで!?」とか「足りないの? じゃぁ何をしたらいいの?」といったツッコミをせざるを得ません。つい手に取ってしまうでしょう。
いわゆる「釣り」なわけですが、いくら実力があっても知ってもらえなければ、それが発揮されることはありません。いかにツッコミを入れてもらえるか、ツッコマビリティとでもいうべき能力(ability)を高める必要があるのです。
実際、本書の冒頭でもツッコマビリティを発揮している事例が登場します。「何度もフルマラソンに挑戦しているのに、どうしても3時間が切れない」という相談を受けて、著者の小出義雄さん(高橋尚子選手のコーチ)がアドバイスをしています。
一般人に対してこうしたアドバイスをすることは控えているという著者を動かしたのは、相談者のツッコマビリティの高さゆえだと思うのです。
さらに言えば、「フルマラソンで3時間を切る方法を教えてください」という丸投げな相談ではなく「何度もフルマラソンに挑戦しているのに…」という、自分なりに努力をしてみた上で相談しているという点も大きいでしょう。
つまり、「システム作りの用意がありますよ」というアピールが感じられるのです。
逆に言えば、そういう用意のない人にはあまり役に立たない本です。
一方、すでにタイトルに反応してしまっている人であれば、きっと用意のある人でしょうから、オススメできる一冊です。
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