自己啓発書の効果的な使い方 – 4つの実践法

カテゴリー: ビジネス心理書評

私がここで述べているのは、「自己啓発書」であって、いわゆる「ビジネス書一般」のことではありません。

「自己啓発書」を明確に定義するのは難しいのですが、実務書ではなく、「ライフハック」系の実用書よりも、もう少し「心がけ」や「心の持ちよう」に関する内容を中心テーマに置いている本と、私は考えています。

たとえば次のような本は、自己啓発書というカテゴリに入るでしょう。

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自己啓発書には「読み方」がある

自分の知性に自信をもち、あるいは強い自信をもちたくて、「自己啓発書」など頭から拒絶するという人でなければ、こうした本から得られるものも少なくはありません。

しかし、自己啓発書に過剰な期待を抱き、なかなか人生が一変しないからといって、何冊も何冊も買い込んでいくというのも、あまりいいことではないと思います。

もちろん、自己啓発書を一種の推理小説のように、楽しみのために何冊も読むというのは、別に悪いことではないと思います。私がここで言っているのは、人生に関する真剣な期待を自己啓発書に抱いたあげく、そのことによって依存症のような症状を呈し、かえって苦しさが増しているようならば、そんなことは止めた方がよいと思うのです。

自己啓発書には読み方、ないしは「使い方」があります。年に100冊は読みすぎですが、年に1冊程度であれば、読むだけの価値はあるのです。本を出している経験も一応踏まえつつ、「自己啓発書を効果的に読む」ための簡単なコツをここで紹介しましょう。

ここで紹介するコツを全部やる必要はありません。どれか1つか2つ、気に入ったやり方を試してみてください。相互に矛盾する方法論もあげます。

1.しっくりくる本をじっくり探す

「人生の悩み」などいくらでも生じ得るものです。素敵な異性に巡り会えないことから、チョコレートが止められないことまで。

「あらゆること」を網羅した「自己啓発書」もあれば、「禁煙セラピー」のように、目標にピンポイントで絞っている本もあります。どちらにもそれなりの流儀があるわけですが、いずれにせよ「指南書」ですから、文体から著者の思想まで、しっくりこない本は読んでいられません。

逆に言えば、テーマに緊急の必要性は感じなくても、しっくりくる本には意義が認めやすいでしょう。そういう本を時間をかけて選び抜きます。選ぶのに半年もかかるかもしれませんが、そうして手に入れた本は、手元に置くだけで価値を持ちます。それもまた読書の一形態なのです。

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2.「ピンときた本」は何度も何度も読み返す

逆に、直感的に「響く本」というものも、このジャンルの本には確かにあります。偶然、そうした本に巡り会えれば、月並みな言い方ですがラッキーです。その出会いを大切にし、安易に他の本に乗り換えないように気をつけましょう。

直感的に響く本には、あなたの問題に関係した「何か」があるのです。「ピンときた」時にはそれがとらえられているようで、とらえ損ねていることが多くあります。本当に自分の問題に焦点が合うまで本を読み返し、その本のどこに魅力を感じたかを明らかにして、どこまで参考にできるか、見極めることです。

たんに勇気づけられただけかもしれませんが、それだって小さなことではありません。「そんな本を読んだって、問題の解決なんかになりっこないよ」と正しく指摘してくれる人が、あなたを勇気づけてくれるとは限らないのです。

類書をたくさん読んだところで、同じ効果はまず得られません。本に書かれていないところを自分の問題の中で解するのが、自己啓発書を読み解く最大のカギです。

たとえば私にとっては次の本がそうした本でした。

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3.同じ作者の本を片端から読みこなす

2とは逆に、好きな作者が書いた本だが、なかなか本を読んだだけの成果が得られないときに、その作者が書いた本を片端から読んでみる、という方法もあります。

ひとりの人間の書いたことですから、手を変え品を変え、またテーマが変わっていたところで、中心となる発想には同じものがあるのです。これを理解することが、その作者なりの「メッセージ」を我がものにすることになります。

ひとりの人間が「真実だ」と信じて伝えてくることは、一文に直らないことがままあります。文章能力の問題、ということもありますが、発想を文章で伝えるのは、そう簡単ではないのです。

同一作者の書いたものをひととおり読めば、一文では表しきれない中心思想のようなものが、見えてくるものです。それを知ることは、類似のテーマについて色々な人の書いたものを読むよりも、価値があります。

たとえば私にとっては、コリン・ウィルソンがアブラハム・マズローを扱った次の本が、両者の本を数多く読み込むきっかけになりました。自己啓発というカテゴリーに入るかどうかは意見の分かれるところでしょうが、私にとって両氏の本にはそういう意味合いもありました。

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4.書かれているとおりにひととおりやりこなす

冒頭にあげた「10日間のレッスン」を10日かけて律儀にこなしてみても、およそ期待したようなことは起こらない、という方が普通です。だからといって、その本がまるきりデタラメということでもありません。

本には許されている分量と、体裁があります。もちろん、人目につかせたいという多くの関係者の希望もあります。結果として、「10日間プログラム」のような体裁に落とし込まれるわけですが、1000人の人間に10日間のレッスンを受けさせて、その56%が満足のいく結果を得たというような統計的事実はないのです。

しかし筆者に筆者なりの、イメージがあります。そのイメージにそって「型どおりに」実践すれば、筆者が描くイメージに近づくことはできるかもしれません。最初にテニスの「形」を教わるようなものです。テニスのコーチは初心者に向かって、「この通りにやれば100%うまくいく」というようなこと言いますが、そんなことは絶対にありません。

それでも型どおりにやることには意味があります。型どおりに出来ないということに気づくだけでも意味があるのです。型どおりにできなかったという体験を経て、自分なりにどうしなければいけないのかが、徐々に見えてくるからです。

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