最初に断っておきますと感情的になることや、感情的であることが、決して悪いということではありません。ただ、私たちに与えられている時間が1日24時間であるように、体力や気力にも限界というものがあって、特に気力の方は、想像以上に限界に達するのが早いのです。
したがって「自分は感情の大火ですぐにエネルギーを使い果たしてしまう」という人があったら、それをコントロールしようとしてみることには意味がありますし、比較的感情的ではない(理性的だ)といわれている人でも、感情をコントロールする価値はあります。
意外と理性的な人ほど「感情のことで時間を費やしたくない」と思っているせいか、ストレスを野放しにしていることがあるからです。
不要な感情をできるだけ早く鎮めること
先週も紹介した『自衛隊メンタル教官が教える心の疲れを取る技術』の中で、もっとも役立つと思えたのが、この方法論でした。
方法といっても、方法については控えめに語られていて、どちらかと言えばその「必要性」が強調されていた印象です。
「不要な感情をできるだけ早く鎮める」ことができたら苦労はない。と思うかもしれませんが、やってみる価値は大いにあります。もともと心理学には「理性で感情をコントロールできるよう、もっと真剣に取り組むべき」とする一派があって、かれらに言わせると、「理性から感情のコントロールを試みる」ことに関して私たちは否定的にすぎ、あきらめすぎているのです。
理性から感情をコントロールするということは、非常に悪いことのように言われることがあります。しかし、ほとんどの人が言う「コントロール」は、実は「コントロール」ではなくただ「ガマンしている」だけなのです。
ただ「ガマンする」「感情を抑圧する」のはいいことではありません。しかしそれはコントロールとは別のことです。コントロールすることは、そこまで批判されることでもありません。
ここで感情のコントロールについて長々語る余裕はないので、2つの点に絞ります。「不要な感情を早く鎮める」ためには
- コントロール可能であることを理解する
- 感情のモヤモヤを放置しておくとかなりのエネルギーを消耗することを意識しておく
ことがまず大事です。
特に2点目が大事です。今まさに感情的になっているというとき、今まさに誰かにものすごく腹を立てているけれども、そのことを表現できないという状況の時、私たちは相当のエネルギーを用いて、脳内と体内にダメージを与えながら、時を過ごしています。
しかも悪いことに、自分を傷つけ続けているエネルギーと、ほとんど同じエネルギーを使って、私たちは仕事をしているのです。(記憶や思考にエネルギーが必要)。だから「不要な感情」が走るに任せたままにしておくことは、自分を傷つける上に、仕事の遂行のための力も消耗していくわけで、結果としてかなりの不利益を被り続けてしまいます。
でもどうしようもない、とあきらめる前に、以上の事実をおさえることです。そうすれば「怒りそのものはともかくとして、できればこのエネルギーの消耗だけはやめたい」と考えるようになります。この考えが十分に自分を納得させるものであれば、感情的な消耗は徐々にでも沈静化されていきます。
1度でも経験すればわかりますが、意識的に感情を沈静化できたという経験は非常に気持ちのよいものです。1度でもこうした成功体験があれば、以後は、火事が起こったら火が消えるのをただ待つよりいい方法があるしそれを使える、と思えるようになります。
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書) | |
下園壮太
朝日新聞出版 2013-02-13 |
第12回タスクセラピー、最終のご案内となります。
お申込期限は本日までです。
「悩めるビジネスパーソン」など、ご好評いただいているコーナーはそのままに、今回から、洗い出しのためのトリガーリストを用意するなど新しい取り組みも始まります。
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