今月読んだ本のうち主だったものについて、実りのあったものを5冊取り上げます。
全体で2つのテーマに分けられます。
» 1.余剰を捨て去る
・『セムラーイズム』
・『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』
・『佐藤可士和の超整理術』
» 2.書き方を改める
・『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』
・『アイデアのちから』
さらに、+αとして1冊。
» 3.習慣の力を最大限に利用する
・月刊『貯徳時代』
1.余剰を捨て去る
何事も放っておくと、無秩序に増えていくもの。意識的にコントロールをしなければ、いつしか手に負えなくなるのです。
そこで、先駆者たちに「捨て方」を学び、そして日々の習慣として採りいれました。
まず、くず籠を用意せよ!
» 『セムラーイズム 全員参加の経営革命』p.498より
時間が不足しているので、誰もが後で読もうと、雑誌や新聞を仕事場のテーブルの上に置くものだ。次号の雑誌が届くと、丁寧に古いものの上に重ねる。見るだけで憂鬱に感じるのは、自分が読まなかった重要な情報がだんだん増えるように思うからだ。ところが、私はある日、天からの啓示を受けて、取っておいた全部の雑誌や新聞を、まったくページを開かないままでくず籠に捨てたのだった。
(中略)
もしあなたが、なんの資産投資もなしで時間管理ができると考えるのなら間違っている。一つ絶対に必要な物件がある。それはくず籠である。
» 『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』p.148より
将棋に「捨て駒」という戦法があるそうです。わざわざ自分の駒を取らせて、それをきっかけに攻めに転じて形勢を逆転する。それと同じように私たちの生活には「捨て時間」といったものが必要であるように思います。
(中略)
「暇がない」というのは、本当ではありません。暇を作ろうと思えば作れるのですが、そんな暇があるくらいなら働きたい…というのが本音なのです。それだけ仕事熱心な人ですが、これではストレスの捌け口がありません。
いまを大事にしろ!
» 『佐藤可士和の超整理術』p.86より
いつ必要になるかわからないものより、いまを大事にしたほうが、どれだけ有意義かわかりません。思い切って捨ててしまって、現状をすっきり明確にしておくほうが、頭の中もずっとクリアになるのです。
» 『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』p.33より
たしかにそんな「人生の目標」が見つかれば、充実した日々にもなるのでしょうが、そんな大層なものは「見つける必要もないし、いっそのこと人生の目標も、志も捨ててしまいなさい」というのが、私の提案です。そんな大それたことではなく、「きょうの目標」を探し出して、そのために力を注ぐほうが「何をするでもなく、ぼんやり暮らす」よりもずっといいこと、といいたいのです。
つべこべ言うな!
» 『セムラーイズム 全員参加の経営革命』p.117より
第三原因:「いまは仕事の上で多少のごたごたがあるから、ちゃんと整理がつくまでは多少の残業はしようがないだろう」
どんな言い訳よりも、「実は、現在…の過程にあるので」という台詞は便利なものだ。この点線の部分に、上層部の人事交代、組織替え、レイオフ、事業拡張、といった言葉を挿入すれば、どんなことでも時間管理のまずさの言い訳になり得る。この種の事柄に自分のその日の仕事のあり方を左右させるのは、ちょうど自分自身が大海にぷかぷか浮かぶコルク栓になり果てるのと同じだ。
定期的に全社的に強制的に!
» 『セムラーイズム 全員参加の経営革命』p.249より
大掃除の規則は簡単で、一人ひとりが自分のファイルの中身を調べ、意味のないものはすべて廃棄処分にする、というものだった。一人ひとりが、例のGMのアルフレッド・スローンの吐いた名文句「もしこれを廃棄すれば起こり得る最悪の事態とはなにか?」を自問自答しながらやるのだ。
» 『佐藤可士和の超整理術』p.102より
こうしたバーチャル空間の整理に関して、僕はスタッフにも耳が痛くなるほど徹底させています。「毎週月曜日の朝は、Macの中のデータを整理すること。午前中いっぱいかかってもいいから、納得いくまですっきりさせるように」と。
これも、空間の場合と同じ理屈です。忙しいから整理は後回し、ではなく、仕事の効率を上げるために整理をするのです。週はじめにきちんと片づいた状態になれば、週末までの一週間の進行が、断然スムーズになりますから。システムのメンテナンスをきっちりすれば、アプリケーションがさくさく動くのです。考え方を柔軟に切り替えて、ぜひ定期的に行ってみてください。
2.書き方を改める
人は言葉を使って思考しますから、言葉の使い方、ひいては文章の書き方は常に見直しをかけていきたいものです。書き方を改めることは伝わり方を改善することに直結します。伝わり方が改善すれば、伝達エラーによる機会損失が減り、チャンスが拡大します。
言葉のプロは何に気をつけているのでしょうか。
個人的には2つの学びがありました。1つは「型」の重要性、もう1つは「メッセージ」のパワー。
読みやすさにとらわれるな!
» 『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』p.23より
ただ、考えの伝わる文章を書くということと、読みやすい文章を書くということは別物です。読みやすい文章だからといって、筆者の考えを読者が間違いなく受け止めてくれるかというと、必ずしもそうはなりません。
記憶に焼きつく書き方をしろ!
» 『アイデアのちから』p.102
つまり、アイデアを記憶に焼きつくものにするには、次のようなプロセスをたどるとよい。
- 自分が伝えるべき中心的メッセージを見きわめる(核となる部分を見きわめる)
- そのメッセージの意外な点を探し出す(核となるメッセージが言外に示す意外なことや、当たり前のようなのになかなか実現しない理由など)
- どきりとさせる意外なメッセージの伝え方で聞き手の推測機械を破壊する推測機械が作動しなくなったら、今度はその修正を促す
本書にはほかにも大量のヒントが紹介されています。自分の書いたメッセージで人を動かしたい、と思っているなら、読んで損のない一冊です。
3.習慣の力を最大限に利用する
余剰を捨て去る、書き方を改める、いずれも一朝一夕に結果を出せるものではありませんが、それだけに少しずつであれ、継続することで確実に競争優位性を獲得できる、ともいえます。
そんな中、友人の山本時嗣(ときおみ)さんが発行人として取り組んでいる『貯徳時代』は、ユニークかつ野心的で、習慣の力を最大限に利用して、少しずつ確実にステップアップするうえで役に立ちます。
2月28日23:59までの期間限定9大特典付きのキャンペーンを開催中とのことですので(ギリギリの紹介になってしまいましたが…)、是非チェックしてみてください。
» 月刊『貯徳時代』
追伸
『LIVE HACKS!』が小さくなりました!
『LIVE HACKS!』が文庫化されます(3月2日発売)。ワーク中心の本なので、コンパクトになった分だけ使いやすいと思います。
『リストのチカラ』文庫版も同日発売です。こちらも、たくさんのリストを随時参照するという使い方をするなら文庫版は打ってつけですね。