初めてチームを任された人のための8つの心得

カテゴリー: 書評

「初めて」に限らず、常に「初心」を銘記するために。

1.その週に実施予定の仕事のうち優先順位ベスト5のタスクをメンバーに発表してもらう
2.ミーティングの議事録をメンバーに書いてもらう
3.間違っていても分かりやすい説明をする
4.相手の期待値のギャップをコントロールする
5.スコープ以外の仕事で「貸し」を作る
6.70%の力で仕事をする(100%出し切らない)
7.「あなたはどうしたいの?」とメンバーに繰り返し問う
8.相手を変える前に、まず自分を変える

最近読み終えた『「先読み力」で人を動かす』より。

1.その週の優先順位ベスト5のタスクをメンバーに発表してもらう(p.127)

メンバーのタスクリストの優先上位ベスト5を発表してもらうことによって、リーダーであるあなた自身の想定とのギャップを知ることができます。「そうじゃないだろ」「むしろこっちを優先しよう」といった具体的な指示出しが、これに続きやすくなります。

さらに、こちらからの指示を待たずとも、メンバーに自分で考えるくせがつきます。

2.ミーティングの議事録をメンバーに書いてもらう(p.186)

(リーダーであるあなたが)目的やゴールを意識しながらアジェンダに気を配り、全体をリードして取りまとめることに精一杯だったとしたら、決定事項に対して「何を? 誰が? いつまでに?」にまで意識し続けるのはなかなか難しいものです。

議事録の作成はメンバーに任せよう、という提案です。これによって、メンバーの成長も期待できますし、リーダーであるあなたは、より集中すべきことに目を向けられます。

本書ではさらに、どんなミーティングでも10分以内で書くことが可能な議事録のフォーマットが、紹介されています。

3.間違っていても分かりやすい説明をする(p.201)

以下の例がわかりやすいでしょう。

外国人:「どこから来たのですか?」
あなた:「東京です」
外国人:「ビックシティですよね」
あなた:「ええ。でも実際には東京の南西にある神奈川というところで、東京から電車で30分くらいで、東京からとても近いです」

多少間違っていても、まず大枠を理解してもらうことを優先するわけです。上記の例でいえば、最初から「神奈川です」という正しい返答をしても、「神奈川はどこにありますか?」と聞き返されて説明に苦しむことになるでしょう。相手は外国人ですからなおさらです。

仕事においても、専門家のあなたからすれば、(特に)新人メンバーは外国人のようなものです。彼らによく伝わる言葉で話す必要があるのです。

4.相手の期待値のギャップをコントロールする(p.212)

同じことをしているのに、満足度はぜんぜん違う、ということがあります。例えば、次の2つ。

1.「14日(金)に資料を提出します」と伝えて10日(月)に提出する
2.「 7日(金)に資料を提出します」と伝えて10日(月)に提出する

当然、1.の方が相手の期待値との良い意味でのギャップを作り出すことができます(そもそも2.は期待を裏切っているので問題外)。

これは、以下でもご紹介した「事前期待が実績評価を上回っているか?」に通じる考え方です。

» リピーターになってもらうための7つのチェックポイント 

最初のポイントは事前期待を上回る実績評価を獲得すること。 事前期待とは、事前に抱いている期待、
実績評価とは、事後に下される実際の評価。

要するに期待以上のパフォーマンスを目指そうというわけです。

期待はずれなのは問題外としても、期待通りの「まあまあ」の評価では、「もう1回行ってみようかな(頼んでみようかな)」という気持ちにはなかなかならないでしょう。

そこに驚きや感動がなければ、すぐに忘れられてしまうのです。あなたのお気に入りの飲食店やショップを思い浮かべてみてください。

きっと何か驚きや感動があるはずです。

5.スコープ以外の仕事で「貸し」を作る(p.215)

スコープとは事前にお客様との間で取り決めた約束、あるいは仕事をする範囲を指します。

「本来はスコープ外の仕事ですが、プロジェクト成功のためには必要です。たまたま要員に余裕があるので今回は我々で対応させていただきます」と伝えます。お客様は、成功のためにスコープ外の仕事を実施してくれるんだ、とあなたの好意を理解してくれます。「たまたま要員にも余裕があるので」と表現することで、次に同様なスコープ外の仕事が発生した場合に「要員に余裕が無いので今回は厳しい」と断ることができます。

これは、やや高度なテクニックかもしれません。

6.70%の力で仕事をする(100%出し切らない)(p.237)

マックス100%で突っ走っていたら、トラブルに対処できません。トラブルまでいかずとも、メンバーからの相談に応じたり、予定外の作業に対処したり、といった不測の事態に備えるためにも、余力を残しておく必要があるわけです。

7.「あなたはどうしたいの?」とメンバーに繰り返し問う(p.240)

メンバーに自分で考えて行動してもらえるようになるために。

メンバー:「あれはどうしましょう?」
リーダー:「あなたはどうしたいの?」
メンバー:「そうですねー、○○をやったほうがいいですかね」
リーダー:「その後どうしたいの?」

そのまま「その後、どうしたいの?」の質問を続けていくと何をするべきか、おのずと答えが出てくることがあります。この質問を繰り返していけば、メンバーが自分で考えるくせがついてきます。

8.相手を変える前に、まず自分を変える

やらない人が悪いのではなく、伝えられない自分が悪い

これは、リーダーに限らずあまねく心得ておきたいことですね。

『「心の翼」の見つけ方』でも同様のことが言われていました。

» 自己制限を取り払うための8つの問い 

5.他人を変えようとしていないか?(p.112より)誰にでも「何をやってもうまくいかない時」があるもの。こういう時というのは、「最も変えないといけないものが見えなくなっている時」だと著者は指摘します。

何が見えなくなっているのか? それは「自分」。

何をやってもうまくいかない時というのは、自分を変えることを忘れているのです。

他人を変えるよりも自分を、もっといえば自分の、世界の解釈の仕方を変えることです。そうすることで、当然のことながら、見える世界も変わるのです。

まとめ

活用しやすいように質問形式に直して再掲。

1.メンバーにタスクの優先順位づけをまかせているか?
2.メンバーにミーティングの議事録を書いてもらっているか?
3.正確さよりもまず分かりやすさを優先しているか?
4.相手の期待値を上回る結果を出そうとしているか?
5.スコープ以外の仕事で「貸し」を作ろうとしているか?
6.30%の余力を残しているか?
7.メンバーには「あなたはどうしたいの?」と問うているか?
8.相手を変える前に、まず自分を変えようとしているか?

▼次にすること:
・今回の8項目をクレドカードなど日々目に入る「仕組み」に組み込む

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フラットな関係でチームを組む 
仕事が行き詰まりかけた時に問いたい5つの自問 

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