1.事前期待が実績評価を上回っているか?
2.笑顔で接しているか?
3.裏と表で扱いを変えていないか?
4.内輪の話に花を咲かせていないか?
5.伝わるまで伝えたか?
6.相手の都合で話しているか?
7.説明が言い訳になっていないか?
1.事前期待が実績評価を上回っているか?(p.75より)
では、どうすればリピーターになってもらえるでしょうか?
そのための7つのポイントを『沈黙のクレーマー』という本からあぶり出してみます。
最初のポイントは事前期待を上回る実績評価を獲得すること。
事前期待とは、事前に抱いている期待、
実績評価とは、事後に下される実際の評価。
要するに期待以上のパフォーマンスを目指そうというわけです。
期待はずれなのは問題外としても、期待通りの「まあまあ」の評価では、「もう1回行ってみようかな(頼んでみようかな)」という気持ちにはなかなかならないでしょう。
そこに驚きや感動がなければ、すぐに忘れられてしまうのです。あなたのお気に入りの飲食店やショップを思い浮かべてみてください。
きっと何か驚きや感動があるはずです。
2.笑顔で接しているか?(p.92より)
「笑い」と「笑顔」は似て非なるものだといいます。
「笑い」とは自分一人でもできる、個人的なもの、
「笑顔」は人に対する、社会性の強いもの
とされています。人は自分が思っている以上に見られているものです。
自分ではそんなつもりはなくても、
「怒っているのかな? この人は不機嫌そうだな」
という印象を持たれることがあります。本書では、「微笑まない罪」という言葉が使われていますが、それぐらい意識しなければ「笑顔」をキープするのは難しい、ということです。
合わせて、笑顔のポイントが3つ紹介されています(ここでは割愛)。
3.裏と表で扱いを変えていないか?(p.105より)
仕事に限らず、ウラオモテのある人は警戒されます。仕事においては、お客様の前では慇懃な態度なのに、陰では呼び捨てにするなどの二面性が問題になります。
いついかなるときも「オモテ」でいれば、いちいち切り替える必要がなくなります。
本書では、次のような提案をしています。
パソコンのファイル名などにも、普段から企業名に「様」や「御中」をつけるようにしてはいかがでしょう。メールでファイルを添付して送付するような場合もありますから、「○○用」と呼び捨てで書かれているのを見ると、先様はいい印象を受けません。
態度が一貫していれば、そこに1つの「驚き」をもたらすことができます。
4.内輪の話に花を咲かせていないか?(p.110より)
「人は自分が思っている以上に見られている」ことにも通じますが、本書では次のような場面を挙げています。
平日の午前中のデパートのインテリアフロアなどは比較的空いているものですが、そういう売場で、ベテランのスタッフ同士が横に並んでおしゃべりしているのを見かけることもあります。
おそらく管理職で、接客よりも頭を占めることがあるのでしょう。話の内容は、フロアの売上やスタッフのこと、商品のディスプレーや新商品のことかもしれません。まさか「今日、どこに飲みに行く?」などと仕事以外の話をしているとは思えません。
ここで大事なのは、お客様にとっては話の内容は関係ないということです。「話をしている=自分は二の次」の印象をもたれてしまうことが問題なのです。
こうした小売業に限らず、お客様と同じ空間を共有するシーンというのはどんな業種にもあるでしょう。僕自身の例でいえば、セミナー会場が思い出されます。
セミナー中に、たとえ小声であったとしても、スタッフ同士でずっと話し込んでいるのは、あまり見栄えのいいものではありません。受講者の方に気を配り、講師の声が聞こえにくくないか、空調や照明が適切かどうかをたえずチェックするのに忙しい、ぐらいが、ちょうど良いでしょう。
5.伝わるまで伝えたか?(p.118より)
ここからは実際にクレームを受けてしまった時に、その後のフォローでいかに挽回するかのお話です。
本書では、レストランで出された料理に対して「中がまだ冷たい」というクレームをつけたお客様とのやり取りが例として紹介されています。
●良くない対応例:
温めなおした料理を持ってきて「いいですか? これで」
これでは「言われたとおりやりましたけど、まだ何か文句ありますか?」とでも言わんばかりです。火に油を注ぐことになりかねません。
●望ましい対応例:
「先ほどは申し訳ございませんでした」とお詫びしたうえで、
「温めてまいりましたので、ちょっと召し上がってみてください、
いかがですか?」
このように、最後まで「見届ける」ことが望ましいわけです。
6.相手の都合で話しているか?(p.129より)
商売ですから、いつもお客様の都合に合わせてばかりもいられません。とはいえ、手前勝手なことばかりを通していては、いずれ通らなくなります。
何かを尋ねられたとき、それに答えるうえでお客様の情報が必要なら、なぜ必要なのか理由を添えたうえで質問する。
本書では、保険商品についての例が挙げられています。
お客様「年金商品についてお聞きしたいのですが…」
銀行 「お住まいはどちらですか?」
いきなり突っ込んだ質問を投げ返していますが、これは銀行側が地域に分けて担当している、という都合によるものだと説明されています。
それゆえ、銀行側としてはこのような質問をすることは何ら筋違いではないのですが、お客様としては戸惑ってしまう、というわけです。
コンピュータメーカーのカスタマーサポートなどは典型的かもしれません。自分が知りたいこととは何ら関係のないようなことについて次々と質問攻めにあい、必要以上にそのメーカーのイメージを悪化させてしまうのです。
7.説明が言い訳になっていないか?(p.151より)
特にお客様からお叱りを受けた時というのは、必要以上に萎縮し、自分を守ろうという意識が働きますから、説明のつもりが「○○だから仕方なかったのだ」という言い訳になってしまうことがあります。
このような場合に、本書の以下のひと言には勇気をもらるのではないでしょうか。
「誰でも、悪意があってクレームを起こしているわけではありません」(p.23)
まとめ
タイトルからして、小売業や流通業向けの内容に思えます。
それでも、今回この本を読んでみようと思ったのは、黙って去っていくお客様は、どんな業界にもいるはずであり、仕事を続ける限りは、きちんと対策を立てておく必要性を感じたからです。
実際に読んでみて、それは正解だったと感じています。
本書では、「意図的にクレームを言ってくる、悪質な人」がいる一方で、それ以上に恐ろしいのは、何も言わずに去っていったうえに、さらに、ネガティブな噂を広められてしまうことが挙げられています。
これが本書でいうところのサイレント・クレーマーなのですが、むしろ、クレームを言ってこられる方が手の打ちようがあるわけです。
本書のスタンスは、起きてしまったクレームにいかに対応するか、という対症療法的ではなく、そもそもクレームを起こさせないようにするにはどうすればいいか、という予防に重きを置いています。
身近な例を題材にわかりやすく「恐ろしさ」を教えてもらえます。
全体を通して、ポイントを一つに集約するとすれば、
お客様を大事にしているか
ということに尽きるでしょう。結局、クレームを言ったり、悪い噂を流す人というのは、大事にしてもらえなかったことに対する報復活動を展開しているのです。
そういう意味では、今回ご紹介した7つのポイントは、お客様を大事にするための具体的な方法ということになるでしょう。
▼次にすること:
・自分の仕事について、7つのポイントでチェックしてみる
▼関連:
・あなたの油断をいましメール
・私家版・フリーランス六訓
・困ったら、人間関係を気持ちよくする方向に
・「もっと儲かる」より「もっと喜ばせる」