このような本はまず私には書けません。人に好かれる技術など知らないし、知っていても実行できる気がしないからです。
知っていても実行できる気がしない私は、あまり「人に好かれる技術」関係の本に興味が持てませんでした。「人に好かれたいなどと思っていない」わけではありませんが、実行できない知識を持ってももどかしさが募るばかりでしょう。
じゃあどうしてこんな本を読んだのかと言われれば、いただいたのです。そんなに読み出す気もなかったのですが、いつの間にか読み切ってしまいました。それほどすばらしかった!と感じたわけではありません。でも「面白いかも」と感じるところは結構ありました。
人に好かれる人って誰?
こうした本を読む時、私には決まってやることがあります。具体例を1人イメージし、その人のイメージと対照しながら読むのです。
だいたいまず「人に好かれる技術」を身につけて実践しようという気はありません。そんなことを私がもくろんでも時間の無駄です。それより「この本に書いてあることはどうして本当なのか?」を探ります。
もし本当ならたとえ私の役に立たなくても、誰かの役に立つかもしれませんから、たとえば「シゴタノ!」で紹介できます。すると私の役にも立つわけです。
私が本書を読みながらイメージしたのはシゴタノ!執筆陣のひとりでもある北さんです。彼は私の知る中ではもっとも人好きのする人です。本書で説明されているようなことを、無意識的にであれ意識的にであれ、彼が実践しているのかどうか。これを確認しながら読めば、本書の価値が見えてくるはずです。
敵意がなく警戒心もない
検討してみてわかったことは、本書の方がずっとテクニカルだということです。しかし、たしかに北さんがやっていることもちゃんと出てきました。
300ページある本書の半分は、実際私にはなんの役にも立ちそうもありませんでしたが、もう半分は少なくとも参考になると思いました。身近に北さんという実例がいて、その人を見ることもできるからです。問題はその「技術」なるものが、あまりにもありきたりでしかも簡単ではないところです。
・よく笑顔を見せる
・誰に対しても警戒心を解く
・相手の調子・態度にあわせる
・自分の望んでいることをはっきりさせておく
なんとまあ、どこにでも書いてあるようなことですが、本書の読ませどころの1つは実例と説明でしょう。特に説明のこなれているところです。「笑顔」などは特にありきたりで、「好かれる技術」に「笑顔を絶対見せない」と書いてあった本は一例も知りません。
にもかかわらず私にはこれがなかなかできません。なぜなら人を警戒しているからです。警戒しない相手に対してなら笑顔になっているはずです。しかしそうした相手はあまり多くないのです。何を警戒しているかと言われれば、何かを警戒しているとしか答えようがありません。
それから調子を合わせる、ということはできます。ただ相手の調子に、不安感から合わせてしまうというだけです。その場合には「自分の望み」などそっちのけです。つまり「調子を合わせ」なおかつ「自分の望みをはっきりさせる」ということはかなり困難なのです。
警戒の解けない私なりの答え
北さんと会っていて感じることは、敵意と警戒心の少なさです。これが人に好かれる人の持つ雰囲気を作るのでしょう。意識的に警戒を解いているのか、もともとそうなのかまではわかりませんが、自分にはなかなかできないことです。
しかし警戒心を解くことが大事であることは間違いない。東京ライフハック研究会でもっとも感心させられるのは、会長である彼の元に集まってくる人の数です。警戒心を解くだけであそこまでやれるなら、やってみて損はないと頭では思いますが、実際にはそう簡単ではないのです。
そこでライフハック。頭でわかっていてもできないことをやろうとするからライフハックです。
本書のアドバイスでもっとも役に立った部分ですが、「自分が相手に望むことをはっきり自覚する」こと。これが実は警戒心を解くのにも役立ちます。
なぜなら、「実はそんなに大したことなど望んでいない」自分に気づくからです。いつもそう、とは言えませんが、ほとんどの場合にはそうです。
望んでいることが大きなことではないなら、相手に大きな要求をする理由もないわけですから、それほど強い拒否や敵意に遭遇する危険は少ないはずです。このことをよく意識するほど、警戒心を解いていい理由を自覚できます。
何とも理屈っぽく、しかも相変わらず根底にある警戒感を払拭できていないわけですが、本書を読んだなりのことはありました。人と接触する際に「自分の望みをはっきりさせる」ということは、今まではほとんど意識できずにいたことだったからです。
100個チャレンジ 生きるために必要なモノは、そんなに多くない! | |
デーブ・ブルーノ ボレック光子
飛鳥新社 2011-08-05 |
こちら読中、というより検討中です。「人に好かれる」ことに比べれば「持ち物を100個」にする方がよほど私には簡単です。やる気にもすぐ火がつきます。
もっともまだ検討の段階であり、実践にまでは至っていません。100個といっても数え方のルールから決めることもあって、実はすぐできるわけでもなさそうです。
とはいえ、部屋の整理は嫌いじゃないので、どうせなら効果がビジュアルに実感できるところまでやってみたい。もう十分片づいているとたいていの人はいいますし、自分でもそう思いますが、やろうと思えばもっともっといけます。
そう、私は部屋の整理のために生きる、という人生でも物足りなくはありません。ただ掃除家ではないので、それだけでは生活できませんが。