ADDを仕事に生かす

カテゴリー: ビジネス心理書評

タイトルに誤りはありません。やりようによっては、「注意力散漫」に積極的価値を見いだしうる、と私は考えています。

昨日の記事の最後に、大橋さんが引用されていた本はADD(注意欠陥障害)がテーマになっている本です。この本によると、ADDとは次のような特徴を持ったタイプの精神障害とされます。

・注意散漫
・集中持続時間が短い
・よく考えずに物事に取りかかる
・空想癖がある
・よく動き回る
・整理整頓、金銭管理、スケジュール管理が苦手
・リスクを好む
・指示に従えない
・直情的で短気、ムラ気で頑固
・割り込み発言、失言が多い
・他人につらくあたる時がある
・時々うつっぽくなる

あさ出版
発売日:2007-01-18
おすすめ度:
良い本です
好きなことには集中できるのに、仕事になると集中できない人へ
もうすこし踏み込んだ分析が欲しい

なんだかあまりいいところがないようですが、とらえようによっては「創発的気質」と考えることもできます。そうとらえるためにまず、ADDの「躁っぽさ」について、ほんの少しだけ考えてみます。

ADDの「躁っぽさ」

「躁」というのは一般的な見方からすると、過度なハイテンションです。必ずしもそれを表に表さなくても、内心のテンションは非常に高まっています。

この「躁っぽさ」。「落ち着きがなさ過ぎる」と斥けられることもあるでしょうが、自分でその傾向を自覚し、上手にコントロールしてあげれば、むしろ「仕事向き」「有能」ととらえられなくもありません。たとえば、

・注意散漫→・色々なことに興味が向く
・集中持続時間が短い→・短気集中型
・よく考えずに物事に取りかかる→・決断が早い
・空想癖がある→・発想力豊か
・よく動き回る→・行動力がある
・整理整頓、金銭管理、スケジュール管理が苦手→・実践的
・リスクを好む→・大胆
・指示に従えない→・起業家タイプ
・直情的で短気、ムラ気で頑固→・自信家
・割り込み発言、失言が多い→・歯に衣を着せない
・他人につらくあたる時がある→・リーダーシップ

で、以上のように生きていれば、時々疲れてしまいます。だから「時々うつっぽく」なったとしても、それほど不思議ではありません。

また言うまでもなく、ADDだからといって、上記のすべてが当てはまるわけではありません。12項目のうち、7項目以上が当てはまれば、一応ADD的気質と言うことはできるでしょう。

「ものは言い様」「そんなふうに言えばなんとでも言える」とも言えますが、本の中でも、スティーブ・ジョブズやホリエモンなどを「ADD的ビジネスパーソン」としてとりあげています。うまく自分の気質を活用すれば、大きな成功につなげることもできる、というわけです。

自分のADDをうまくコントロールする方法

現代の文明社会は、ADD的な人を、よりいっそうADD的に促進させる、刺激剤として働くところがあります。気を惹くものがいっぱいありますし、新しい発想、行動力、リスクテイカーを後押しするような環境も整っています。

そんな中で、若干「躁っぽい」自分の気質を上手に使い、社会の中で能力を発揮させることのできる人と、自分の気質に振り回されて、身の回りや人間関係をかき混ぜてしまう人もいる、ということです。

私自身は、あまり自分のことをADDっぽいと感じることはないのですが、それでもこういう時代ですから、いろんなことに手を出したくなったり、想像力が一種の焦燥感を生み、非生産的なほど内的圧力が高まってしまうことはあります。

そんな時には、だいたい以下のようなことを心がけて、乗り切っています。

1 「他人のこと」は他人に任せる
2 「やりたいことたち」をやる時間を予め制限する
3 ムダ・過剰・中途半端が生じても罪悪感を持たない

1は要するに、余計なお節介を焼かないということです。他人の非効率を助けようとして、自分も相手もイライラするくらいなら、見て見ぬふりをした方がお互いに幸福です。

2は、一応どんなことにいくつ手を出してもいいけれど、予め決めた総時間数は守るようにします。だから、手を出すことの数が少なく、かつ簡単なことだと、やりたいことがやり遂げやすくなります。

3は、ADD的にあれこれやった結果、やるだけムダだったこと、やらなくてもいいのにやってしまったこと、やっただけの成果を上げる前に投げ出してしまったことが増えていきますが、そのことは自分の気質上仕方がないと割り切って、自分をいっさい責めないことです。そうすることで、さらにテンションをあげてしまうのを、防ぐことができます。

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