記録をとることで、締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる理由



毎日欠かさず隙間なく分単位で24時間の記録を取り続けている大橋です。

「いや~まめですね。私にはとても無理です(^_^;)」とか「そんなことして何か役に立つんですかね?(つ ・∀・)つ」という、ほのかに「大丈夫かこの人?」というニュアンスが漂う反応が返ってくることには慣れました。

このブログでも自分なりに手を変え品を変え、記録を続けるメリットは伝え続けてきましたが、今後はこの本を読んでもらうのが一番早そうです。

以降、「本書」と記載します。

※Kindle Unlimited対象です。

本書は「記録が何の役に立つのか?」という問いに対して、

と答えます。

そのうえで、

という当然の疑問にもきちんと回答を用意しています。

個人的には、

という点が重要であり、なかなか伝わらないポイントだと改めて実感しました。

今回は、以下の2つについてまとめます。

A.締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる

「優先順位をつけず、いちばん新しい仕事から手をつける」

まず、仕事術として「優先順位をつけず、いちばん新しい仕事から手をつける」というやり方が紹介されています。

自分にとって馴染みの薄い仕事から先に手をつけるべし、ということです。

言い換えると、“常連客”は後回しでもOKということです。

ここで最近読んだ以下の記事を思い出します。客あしらいのうまい飲み屋の店主の話です。

» 飲食店もクラファンすれば良いじゃん→そうとは限らない|Daiji Okuno|note

この店主の、馴染み度に応じた考え方の違いは多いに首肯するところがあった。普段ぼくがこの店主にお客らしからぬ軽い扱いを受けることがあるけれど、それは僕がイラッとしない所を突いてくる観察眼の良さもあるし、そう混んでないとき、食材がちょっと余っちゃったとき、閉店時間の後にも居残りさせてもらったときなんかに、良い思いを何度もさせていただいている。


馴染みのある常連客ばかりを相手にしていると、ご新規さんは居づらくなり、逃げられてしまうでしょう。「あの店はサービスが悪い」という悪評が立ってしまうかもしれません。

もし常連客だけで食ってはいけないなら、ご新規さんを常連さんに変えていく必要があります。

佐々木さんは「重要度の高い順ではなく、締め切りが切迫している順・不安を覚える順に手をつける」と言います。

客体としての仕事自体の重要性ではなく、主体としての自分自身がその仕事にどれほど馴染みがあるかが基準です。

せっかく来てくれた“ご新規さん”は店主にとってはまだ馴染みが薄いはずですから、おのずと優先することになるはずです。

馴染みの薄い仕事は、とりかかりにくい

とはいえ、優先すべきことが分かっていても、馴染みの薄い仕事にはなかなかとりかかれないものです。

なぜか?

これは僕の意見ですが、時間が無限にかかるイメージがあるから、だと考えています。

「(馴染みの薄い仕事は)時間を無限にかけないとうまくいかない」という幻想があるのです。

かくして、以下のような思考プロセスを経て、きっちり追い込まれることになります。

この末路は以下いずれかとなります。

ちなみに、1と2はたいていは幻想で、何もしなければ3になるはずです。

幻想を抱いている限り、幻想を抱いているからこそ、その思考が現実化してしまいます。

「何もしなければ3になる」って、でも何かやってますよね? どうすれば3になるのか、すなわち、なぜギリギリに取りかかったのにベストな出来になるのか、については本書に詳しく書かれています。

馴染みのない仕事を早い時間帯に手がける理由

佐々木さんは「早い時間帯に手がけることで、リスクを最小化できる」と言います。

ただ、これはよく言われている「午前中の方が認知リソースが多く使えるので」という話ではありません。

これは僕の意見ですが、「午前中の方が認知リソースが多く使える」もまた幻想なのではないかと考えています。

午前中にやろうと思っていたことができなかった途端には「今日は…もう…ダメだ…」と落胆してしまう。あるいは「早起きできない自分はダメだ…」とか。

「午前中」に期待しすぎではないでしょうか?

B.なぜ記録が「締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる」うえで役に立つのか?

走りやすい道を整備する

佐々木さんは「一直線の流れを常に持つ」と言います。

僕はこれを、「計画を立てる代わりに、自分がありのままの自然体でまっすぐ前に進めるルートを見つけましょう」と解釈しています。

このルートはどうやって見つけるのか?

記録を取ることによって、です。

もし、まっすぐ前に進むうえで毎回工夫が必要になるとしたら、そのルートには問題があることになります。

多くの仕事術は“運転技術”を磨くことで、どんな悪路でも走りおおせることを志向している雰囲気があります。

ここでは、しかし、運転技術を磨くのではなく、走りやすい道を整備することを志向しています。

走りやすい道を整備するうえで、記録が役に立つのです。

記録することで記憶の精度が高くなる

仕事の大半は同じ手続きの繰り返しであり、手続きを行う際にはその手順を記憶から呼び出すことになります。

従って、仕事を生産的に行うためには手順を正確に記憶したうえで、その記憶の再生スピードを上げれば良いことになります。

ふと、スタジオジブリの鈴木敏夫さんの言葉を思い出します。

» ジブリが「調べるよりも記憶」を大切にする理由 | 読書 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ようこそ、われらが工場へ。
これから毎日、その日にあったこと、おぼえたこと、考えたことを書くこと。
あとでやろうと考えてはいけない。昼間伝えたように、人は、すぐに二割、夜には五割、翌朝には八割忘れている。忘れる前に、書いて、おぼえる。仕事をするにあたって一番大事なことは、全てをメモにとり、頭にたたきこむこと。
大事なのは、記憶力だよ。
よろしく。

鈴木:記憶って2つあると思うんですよね。整理整頓して覚えるものと、そのままで覚えるもの。本当は両方を身につけるべきなんだよね。
──そのままで覚えるというのは?
鈴木:見てそのまま、絵のように覚えちゃうっていうこと。絵で覚えていると頭に入りやすい。例えば僕は、数字は映像で覚える。中日ドラゴンズの大ファンで、昔からスポーツ新聞を丸暗記していたから(笑)。
宮さんは、映像で覚えたものを映像にする。一方、整理整頓して覚えたものは、言葉や文章にするときに役に立つ。人って記憶の動物だから。見たまま覚えるものと、整理整頓して覚えるもの、両方があると鬼に金棒だよね。


佐々木さんは「記録することで記憶の精度が高くなる」と言います。

これは僕の意見ですが、記録は記憶のインデックスになると考えています。

恐竜の骨が残っていれば、元の姿に復元することができるのと同様に、インデックスという骨組みが残っていれば、元の記憶に復元したときの再現度が上がるという理屈です。

インデックスがなければ、記憶は文字通り骨抜きになってしまうでしょう。

記録を積み上げていくことがそのまま仕事を前に進めることになる

馴染みの薄い仕事を敬遠し続けることで、追い込まれてしまいがち、という話を書きました。

これを防ぐにはどうすればいいか?

佐々木さんは「(その仕事に対して)どんな準備をしたいと思ったのかを記録に残していけばいい」と言います。

記録を続けることで、その記録それ自体が仕事の成果になるからです。

この話は「セミナーのスライド作り」についてのものなので、仕事によっては当てはまらないかもしれません。

これは僕の意見ですが、どんな仕事でも、その成果はそれを作り出す過程の全体を含むものだと考えています。

練習も本番もなく、それに関わっている間に生み出したラフスケッチでもちょっとしたメモでも写真でも、とにかくすべてが余すところなく何らかの形で最終成果物に注ぎ込まれているはずです。

それが観客から見えない舞台裏の装置であったとしても、それがなければ成り立たないなら全体に含まれるからです。

逆に言えば、「この作業は、今の仕事を進めるうえで役に立たない」という判断は最後の最後までは下せないと思うのです。

だからこそ、その仕事について感じたこと、考えたこと、やってみたことについての記録はすべて残しておく。

無駄に思える記録でも、積み上げていくことで仕事を前に進めることになりますし、仕事によってはその記録そのものが成果物にもなり得るのです。

中編に続く。


参考文献

※Kindle Unlimited対象です。

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» 記録は、いちばんエネルギー効率の良いルートを見つけ出すうえで役に立つ

『あなたの知らないApple Watch』の中で佐々木さんは次のように述べています。

ごりゅご 一日を楽に乗り切るためにたすくまがある感じですか?
佐々木 「楽」というより、いちばんエネルギー効率が良い過ごし方を考えるときにペース配分が必要ということですね。1,2時間ならペースを上げても大丈夫なんですが、24時間は長い。だからやっぱりペースを維持するしかない。


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