「航海日誌」や「仕訳帳」や「会報」の意味もあります。
もともと jour には day の意味があり、journalist(ジャーナリズム)とか journey(旅)などの派生語もあります。
この「ジャーナル」という言葉に興味をもったのは、1997年2月のことでした。
当時は独立系のシステム開発会社でエンジニアとして仕事をしており、とある開発現場で出会ったのです。
ここでの「ジャーナル」は「変更履歴」の意味ですが、単なる履歴(記録)に留まらず、このジャーナルを使うことで、たとえば、システムに障害が発生した場合に、障害発生前の状態に復旧させることができたりします。
身近な例としては、MacのTime MachineやWindowsの復元ポイントがあります。
僕が「ジャーナル」に惹かれたのは、データベースのジャーナル。
ロールバックとロールフォワード
特にロールバックとロールフォワードという仕組みに軽く衝撃を受けたのです。
以下の記事が分かりやすいです。
» ロールバックとロールフォワード|データベース|基本情報技術者講座
例えば、在庫にある商品を販売した場合を考えてみよう。販売した商品のデータを売上テーブルに登録し、商品の在庫データから販売数を引いてやる処理をおこなう。このようにいくつかの処理を1セットとしておこなうのがトランザクション処理である。
トランザクション処理において、処理の途中で何らかの障害が発生したとき、データの整合性がとれなくなる。トランザクション処理の途中で障害が発生したときは、ジャーナルファイルを用いてトランザクション処理開始時点の状態に戻してデータの整合性を保つ処理がロールバックである。
データベースに対して行った処理を逐一もれなく記録に残しておく。
このジャーナル(記録)はそのままデータベースへに対する処理内容(=トランザクション)でもあるので、
- いったんデータベースを処理前の状態に戻す(ロールバック)
- ジャーナルファイルを読み込ませる(ロールフォワード)
という手順を踏むことで、データベースから余計なデータ(=障害によって不完全な状態で書き込まれたデータ)を取り除き、本来あるべき形でデータを書き込むことができるわけです。
人間でいえば、間違って覚えた学習内容をいったんクリアして、正しく学習しなおす、ようなものです。
とはいえ、人間にはこのようなことができず、間違って覚えた記憶は完全に消し去ることはできず、その後に正しく覚えたとしても、時折「あれ、どっちだっけ?」と頭を悩ませることになりがちです。
そこで、記憶しようとする代わりに記録に残し、同じ仕事をするときは毎回その記録を参照しながら手を動かす、という方式が有用になってきます。
記録は目で見て確認できますから、もし記録のとおりに手を動かしたのにうまくいかなかったのなら、うまくいくように記録に手を加えることで、次回以降は同じ失敗を避けることができます。
記憶に頼っていると、うまくいかなかったとしても、たまたまそのときのやり方がこれまでと違ったからなのか、環境が変わるなどして同じやり方ではうまくいかなくなっていたのかの区別がつかなくなるため、毎回「イチかバチか」になってしまいます。
自分はどのようにして今の自分になったのか
もし、生まれてから今までのすべての行動についての記録が残っていたら、それは自分というシステムのジャーナルになるでしょう。
どこかで判断を間違っていたのなら、間違ったポイントまで戻って、そこからは別の行動をしたという記録で上書きすることで、現在の自分に起こっている“障害”を取り除くことができるかもしれません。
そこまでのことができなかったとしても、自分がどのような変遷を経て今の自分に行き着いたのかの“ジャーナル”を知っておくことは、これからの自分をより効果的に“活用”していく上で、役に立つと思うのです。
ある日に起こした何気ない行動が実は重要なターニング・ポイントであることは少なくないでしょう。
記録が残っていれば「○○に興味を持ち始めたのはいつからだっけ? どうしてだっけ? 何がきっかけだったっけ?」といった疑問に明快に答えることができます。
もちろん、そのためには記録のための時間を毎日確実に確保する必要があり、このコストに対しての理解がなければ続きません。
記録している時間があったら、その時間をより多くの行動に充てるほうが有意義である、と考える人もいるでしょう。
僕自身は記録がままならないくらいの大量行動には意義を感じないので、結果として、記録ができる程度の行動量で手を打っていることになります。
自分はどのようにして今の自分になったのかを知る、そしてこれからの自分をどうしていけばいいのかを決める上で、これ以上にない材料がジャーナルから見つけ出せるからです。
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