「感情タグ」については以下の記事で取り上げています。
» Evernoteに日々の感情の記録を残すことで得られること
感情に関するタグは、先頭に「+」を付加しています。上記それぞれに対応するタグは以下の通りです。
- +approved(認められた)
- +cool(してやったり)
- +impressed(感銘を受けた)
- +favorite(気に入った)
- +frustrating(イライラした)
- +disappointed(ガッカリした)
上記の記事では「感情タグ」で自分の感情を記録に残すことについて書いています。
今回は、「感情タグ」のついた記録を見返す効用について書いてみます。
なぜ、自分の感情を記録に残すのか?
結論からいえば、人は感情で動いているから、です。
もっと言えば、論理は感情の影響下から逃れられない、ということです。
このことを実にわかりやすく解説しているのが、『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』という本の以下の部分です。
原始人の心は、感情を使って我々の行動を制御しますが、感情には、本当はそれほどでもないのに、強く思い込ませる機能がついています。あることのボリュームを上げてしまう機能とでも考えてください。
例えば、ある人が嫌いだと感じたとします。原始人にとって潜在的な危険を感じたということです。するとその人を避けるために、その人のネガティブな情報を集め、その人の悪意を想像し、ますます嫌いになるのです。そうすると、その人をしっかり避けることができ、原始人的に安全を確保できるのです。
好きな場合も、同じようにバイアスがかかります。恋愛し子孫を残せる関係になるために、「あばたもえくぼ」に感じるのです。
» 自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法[Kindle版]
また、『人蕩し術(ひとたらしじゅつ)』には以下のような記述があります。
キリストの言った「汝の敵を愛せよ」は必ずしも「好悪の念を変えよ」と言っているわけではなく「好き嫌いを超越したところで、敵を許してやれ」と言っているのだと思います。
敵を許すということは、自分の心を縛っている憎しみという否定的な感情から、自分が解放されて、自由な心境を得るということに他なりません。
ここでも、感情がいかに強力なパワーを持っているかが語られています。逆にいえば、感情をうまく使うことができれば、望ましい行動の後押しになってくれる、ということになります。
自分が何をしたときに(何があったときに)どんな感情になりやすいのかを把握しておくことは、望ましい行動を起こす、起こし続けるうえで役に立つと言えるわけです。
「感情タグ」を見返す手順
以下が主な感情タグです。
- +approved(認められた)
- +beautiful(心が洗われた)
- +cool(してやったり)
- +disappointed(ガッカリした)
- +favorite(気に入った)
- +frightening(肝を冷やした)
- +frustrating(イライラした)
- +funny(笑った)
- +impressed(感銘を受けた)
- +missing(懐かしい・忘れていた)
- +moved(感動した)
これらの感情タグを週に一度、一つひとつ見返しています。ショートカットに追加しておくことで、ワンクリックでそのタグのついたノート一覧が得られるので、あとは上から順にノートを見ていきます。
直近一週間分を見返し終えたら次のタグに進みます。
言うまでもなく、すべての感情タグがまんべんなく使われるわけではありません。よく使われる感情タグとごくたまにしか使われない感情タグがあります。よく使われる感情タグのついたノートは、実はあまり有意でない場合がほとんどで、むしろたまにしか使われない感情タグに注目します。そこに「自分」が現れることが多いからです。
例えば、「+impressed(感銘を受けた)」は盛大に乱発していて、たいていのウェブクリップや本の引用文にはこの感情タグがついています。少なからず感銘を受けたからこそウェブクリップや引用をしたわけなので。
従って、「+impressed(感銘を受けた)」がついたノートを見返すときは、「どのように感銘を受けたのか?」「自分の中でどんな風に発展させられそうか?」といった質問を投げかけるようにしています。この過程で、そのウェブクリップや本の引用文が自分の関心とどのように絡みあいそうなのかが見えてきます。
「あのセミナーで使えそうだ」とか「あのテーマに関連しそうだ」といった具合にです。
特に注目している2つの「感情タグ」
ごくたまにしか使われない感情タグとしては「+frustrating(イライラした)」があります。一言でいえば「自分ではいかんともしがたい不満」です。
いかんともしがたいものには大きく分けて2つの種類があります。
- 1.いかんともしがたいので、何とかしたい
- 2.いかんともしがたいが、実はどうでもいい
例えば、「レストランに入って席に着いたのに、店員がぜんぜん気づいてくれなくてイライラした」という場合、僕にとっては「2.いかんともしがたいが、実はどうでもいい」ことになります。
一方、「よく使うアプリをアップデートしたら今まであった機能がなくなっていてイライラした」という場合は「1.いかんともしがたいので、何とかしたい」になります。何とかしないと、困り続けることになるからです。
早晩、これはタスクとなって「何とかする」ために実行されることになります。
つまり、「+frustrating」がついたノートは自分にとっての未解決のクエストリストになるわけです。
同時に、「+frustrating」は「自分と同じようにイライラして、何とかしたいと感じている人もいるのではないか?」という潜在ニーズのビーコン(≒目印)でもあるので、そこから商品やサービスを企画するうえでの出発点になりえます。
最近読んだ『30年売れて儲かるロングセラーを意図してつくる仕組み』という本に以下のような一文がありました。
「したい・やりたい」と思っているのに、する手段がない。そういうニーズを探すことが売れる商品やサービスを手にする秘訣なのです。
まさにこれです。
もう1つ、けっこう使う感情タグに「+cool(してやったり)」があります。英単語の「cool」は「カッコいいね」といった意味合いの他人に対するほめ言葉のニュアンスが強いですが、僕自身は「自画自賛」と位置づけています。
もし自分以外に対して「いいな」と感じたことがあれば「+frustrating」をつけて明確に区別しています。従って、「+cool」をつける対象は例外なく自分の言動ということになります。
「+cool」のついたノートを見返していくと何が分かるか?
多くの場合、少し前に「+frustrating」に感じたことが解決したとき、ということになります。
- 「+frustrating」という問題提起 → タスク管理 → 解決 → 記録に「+cool」がつく
という流れです。
この流れがスムーズに行っているかどうかを把握するために、「+frustrating」と「+cool」の2つの感情タグに特に注目しているわけです。
まとめ
「感情タグ」で記録をラベリングすることで、それぞれのタグのついたノートを見返すことでシミジミと思い出に浸ることができます。
でも、それは実はオマケのようなもので、主たる目的は自分が(ひそかに)抱いている不満を捕まえて、これを解消に導くことにあります。
人は感情で動いているからです。
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