» 確実に成果をあげたければ「短期間に一気に」よりも「時間をかけて少しずつ」取り組む、そのための頭の切り替え方
この一文に出会ってから、以降のページを繰るたびに、「これ以上の良い一文が出てきませんように…」と祈るような気持ちで読み進めました。
出会った瞬間、この一文を本書における僕にとっての最高の一文に認定したかったからです。
もしこの認定が覆されることになったとしたら、何か非常に残念な気持ちになるのではないか、と恐れおののきながらページを繰っていきます。
そしてようやく最終ページに到達、本を閉じます。
幸い、覆されることはありませんでした。
さて、気になるその一文とは何か?
『スタンフォードの自分を変える教室』における個人的に最高だと感じた一文
それは、以下です。
タバコを吸うなら「毎日同じ本数」を吸うよう喫煙者に指示すると、タバコの量を減らせとは言われていないにもかかわらず、なぜか喫煙量が減っていく。
なぜそうなるのか、についてはこの一文の直後に詳しく書かれていますが、何よりもこの一文に出会った瞬間に、理解するよりも先に僕はこの“原理”がきわめて当然であると直感していました。
「分かる」が先に来て、その後に「理解」が追随するわけです。
その理解したところは何かというと、タスクシュートの原理に符合している、ということ。「毎日同じ本数」を繰り返す、ということは、とりもなおさずリピートタスクにする、ということです。
タスクシュートは、最初にいきなりリピートタスクを作るのではなく、まず、とにかくやってみて、記録に残し、今後もくり返したいと思えたことを複製してリピートタスクに変換します。
つまり、一度以上やったことがあることしかリピートタスクにはならないのです。
言い換えれば、やったことがないことをいきなりリピートタスクにはしない、ということです。
たすくま(TaskChute for iPhone)はこのあたりの原理に忠実に作られていて、リピートタスクを直接作成できないようになっています。まずやってみて、記録に残し、今後もくり返したいと思えたときに初めてリピートタスクに変換する、という一見すると面倒な仕様です。
でも、この仕様があるおかげで悲劇を避けることができます。
「あれもこれも」と未体験のリピートタスクをたくさん作り → 作りすぎて → イヤになって → やめる、という悲劇を、です。
記録とふり返りを通して「無理なく続けられるペース」を見つけ出す
タバコの例は、「今日吸った本数」をそのまま明日以降もリピートするということです。
もう一度、引用します。
タバコを吸うなら「毎日同じ本数」を吸うよう喫煙者に指示すると、タバコの量を減らせとは言われていないにもかかわらず、なぜか喫煙量が減っていく。
たまたま気まぐれにたくさん吸ってしまった日があったとしたら、その「気まぐれ」を翌日以降も継続しないといけなくなります。
いくらタバコが好きな人でも「今日は15本吸うことになっているので」というノルマを課されたら、気分よく吸えなくなってしまうでしょう。
そうなると、なるべく“安全な”本数に抑えようという調整が働き始めます。
これが、本数が減っていく原理なのですが、これはタスクシュートも同様です。
- 今日できたことは明日も明後日もできる。
- これを続けていくと、無理なく続けられるペースというものが確立する。
この「無理なく続けられるペース」を見つけ出すことが、タスクシュートの最初のゴールなのです。
» スタンフォードの自分を変える教室 スタンフォード シリーズ[Kindle版]
» Taskuma — TaskChute for iPhone