の続きです。
第二の習慣:アイデアの種を集める
第一の習慣は、情報のインプットでした。しかしそれは、単に情報に「触れる」ことでしかありません。アイデアを生み出すには、そうして触れた情報から何かを取り出す必要があります。
ぼけーっと風景を眺める人もいれば、同じ風景から着想を次々に生み出す人もいます。同一の情報に触れていても、アイデアへの貢献はまったく違っているわけです。つまり、情報集めだけではなく、その情報を眺める視点もまた大切になってきます。
異なる位相の情報をインプットし、さらにそこから着想を生み出していく。そのためには、アイデアの種を見つける視点が必要です。
「アイデアの種を集める」
これが第二の習慣となります。
具体的には、以下の4つのポイントを押さえると良いでしょう。
- 疑問を投げかける
- 誰かの帽子をかぶる
- 不満に敏感になる
- ルーズ・タイムもを大切に
疑問を投げかける
アイデアの天敵が「当たり前」です。慣例、前例、習慣、と呼び方はいくらでもあります。
昔からやっていることをそのままやるのは、ノーアイデアです。そもそも、そのままやって問題がないのなら、アイデアの必要はありません。今のままでは何かしら不具合があるぞ、という状況だからこそアイデアが必要なわけです。
ある状況を当たり前と思って放置せずに、「それって本当に正しいのだろうか?」「この人の意見にはどれだけ合理性があるのだろうか?」という疑問を持つことが、アイデアの種を取り出すことに繋がります。
つまり、鍵は<疑問>です。
疑問の立て方はさまざまありますが、たとえば、「ある状況をまったく正反対にしてみたらどうなるか」を考えるのは、とっかかりやすいかもしれません。「男性に人気の○○」という情報を見かけたら、「では、女性版で同じものをつくればどうなるか?」を考えるわけです。こうした思考から、アイデアの種は生まれてきます。
誰かの帽子をかぶる
情報に触れる際、役立つのは「自分以外の誰かになってみる」ことです。ある種のロールプレイをやるわけです。それにより、強制的に視点が移動され、あたらしいものの見方で情報と接することができます。
自分以外の誰かは、身近な人でも、著名人でも、過去の偉人でも構いません。
「友人の△△くんなら、どういう印象を覚えるだろうか?」
「人気作家の○○さんならどういう感想を持つだろうか?」
「諸葛亮ならどう考えるだろうか?」
こういったことを考えてみるわけです。
他にも、売り手が買い手の立場に、先生が生徒の立場に、探偵が犯人の立場に、解答者が出題者の立場に、といった真逆の帽子をかぶる方法もあります。どれも有効な視点の拡張です。
不満に敏感になる
アイデアが問題解決だとするならば、不満こそ純然たるアイデアの種です。
世の中を見渡せば、さまざまなところに不満が転がっています。それはつまり、アイデアの種がそこら中に転がっているということです。
ただし不満があればそれで良い、というものでもありません。その不満が何に起因しているのか、どうすればそれが解消できるだろうか、という問い立てまで進めることです。そこまでいけば、アイデアの種を掘り出すことができるでしょう。
ルーズ・タイムもを大切に
ルーズ・タイムは、そのまま緩い時間という意味。
「会議中」や「アイデア出しの時間」という決まり切った時間ではなく、朝起き抜けに思いついたこと、散歩しているときにふと湧いてきた着想、飲み会中に盛り上がったアイデア、と言った「考えようとも思っていなかった時間」に思いついたものも大切にしたいところです。そういうアイデアは、飛び抜けた「突飛さ」を持っている場合が多いものです。
もちろん、そうしたアイデアを現実的に着地させるのは困難を極めるかもしれませんが、その方が新しいアイデアを生み出しやすい傾向があります。これは交渉事で、無難なところから徐々に広げていくよりも、無理難題なレベルから現実的なレベルに落とし込んでいく方がより良い条件を結べる、というのに近いかもしれません。
さいごに
ここまで紹介してきたような、視点の持ち方・考え方でさまざまな情報から「アイデアの種」を拾い上げていきましょう。
ただし、単に拾うだけではいけません。「集める」ことが必要です。つまり、こうして着想したものは、必ずメモしておきましょう。アナログツールでも、デジタルツールでも、自分の使いやすいものを選んでください。とにもかくにも、メモしておかないと、有益なアイデアの種が、ボロボロとこぼれ落ちていってしまうことだけは保証しておきます。
▼今週の一冊:
たまには漫画でも。
「時間」を扱ったある種のSFなんですが、レトロな雰囲気とのミスマッチがとても良いです。構成も細かい部分まで配慮されていますね。
» 僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)
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気がつくと、いつも月末……。という感じの進行ですが、今月もぼちぼちと電子書籍作りは進んでおります。徐々に、スケジュールの回し方が安定してきましたね。まあ、それでもだいぶ不義理がおおいわけですが……。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。